ブロカール点(ブロカールてん、Brocard point)は、幾何学用語のひとつ。第一と第二の2つがあり、それぞれ任意の三角形においてひとつずつ存在する。
1875年に論文を発表したフランスの軍人アンリ・ブロカール (Henri Brocard、1845 - 1922) から命名された。
- 第一ブロカール点(1st Brocard point)
- △ABCの内部の点Ωにおいて、∠ΩAB=∠ΩBC=∠ΩCA=ωを満たす点のこと。
- 第二ブロカール点(2nd Brocard point)
- △ABCの内部の点Ω'において、∠Ω'AC=∠Ω'CB=∠Ω'BA=ωを満たす点のこと。
- それぞれの三線座標は以下のように与えられる[1]。
ブロカール角
定義中に登場した角度ωをブロカール角と呼ぶ。三角形の3つの角の大きさをαβγ、3辺の長さを abc、面積を S とすると以下の式が成り立つ。
その他の性質
- 2つのブロカール点と外心との距離は等しい。
- 2つのブロカール点は外心とルモワーヌ点を直径の両端とする円の上にある。この円をブロカール円という。
関連する点
2つのブロカール点の中点をブロカール中点という。この点は外心と類似重心を結ぶ直線(ブロカール軸)上にある。ブロカール中点X(39)の三線座標は以下のように与えられる[2]。
ΩB と Ω'C の交点を A'、ΩC と Ω'A の交点を B'、ΩA と Ω'B の交点を C' としたとき、AA',BB',CC' は1点で交わる。この点を第三ブロカール点という。この点は類似重心の等長共役点であり、キーペルト双曲線上にある。第三ブロカール点X(76)の三線座標は以下のように与えられる[2]。
四角形におけるブロカール点
F. G. W. Brown は1917年の The Mathematical Gazette において、四角形のブロカール点について記述している[3]。
四角形が ABCD が円に内接し、AB×CD=BC×DA のとき、∠PAB=∠PBC=∠PCD=∠PDA=ω となる点Pが存在する。同様に∠QAD=∠QBA=∠QCB=∠QDC=ω となる点Qが存在する。
脚注
- ^ Weisstein, Eric W.. “Brocard Points” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年3月21日閲覧。
- ^ a b “ENCYCLOPEDIA OF TRIANGLE CENTERS”. faculty.evansville.edu. 2024年3月21日閲覧。
- ^ F. G. W. Brown (1917-05). “508. [K1. 8. a.] Brocard Points for a Quadrilateral.”. The Mathematical Gazette 9 (129): 83-85. doi:10.2307/3603502.
関連項目
外部リンク