ブリーダーズカップ
ブリーダーズカップ(Breeders' Cup)は、アメリカの競馬の祭典である。世界でも1・2を争う高額の賞金が提供される大イベントで、様々なカテゴリーのチャンピオン戦を1度にまとめて開催する。 概要1970年代後半から始まっていた競馬人気の下降を食い止め、アメリカ競馬サークル内に活気をもたらすために創設された。提案者はケンタッキー州ゲインズウェイ・ファームのジョン・ゲインズ。1日に多くのG1競走を行なう競馬の祭典という趣旨の開催である。名称は、創設当時は優勝賞金がブリーダー(生産者)の資本から拠出されていたことに由来する。 特筆すべきは、全ての競走に世界各国のG1競走と比べても比較的高額の賞金が懸けられることである。その多くはアメリカ国内で繋養されている種牡馬の所有者にその種付け料1回分の資金を負担させ、資金を出した種牡馬の産駒のみに出走権を与えることで成立している。一方で登録外種牡馬の産駒の出走には多額の追加登録料が課せられるため、特にアメリカ国外からの移籍馬などは有力と目されても出走回避する例も少なくない。 しかし2011年からは出走に必要な「プログラム」が大幅に変更・緩和され、出走が促される事になった[1]。具体的には以下の通り。
かつてアメリカでは地域ごと(主に中部、東海岸、西海岸)の有力馬が、それぞれ拠点にしている地域のG1競走に出走していた。しかしブリーダーズカップの創設により、アメリカ全土から有力馬を集めるレースを行うことに成功した。それまでの国際競走で世界の強豪が出走したワシントンDCインターナショナルはこの影響を受けて年々有力馬が集まらなくなり、1995年をもって廃止された。2002年からは全米サラブレッド競馬協会(NTRA)代表ティム・スミスの提案により「世界最高クラスの競馬開催」という地位についての訴求力を強化するため、名称が「ブリーダーズカップ・ワールド・チャンピオンシップ(Breeders' Cup World Championships)」に変更された。 現在では凱旋門賞ウィークエンドやロイヤルアスコット開催、ドバイワールドカップミーティング、香港国際競走などと並んで世界の有力馬が集う開催となっており下半期の目標としてブリーダーズカップ各競走を据える競走馬は各国に存在する。また、ドバイミーティングの創設以降遠ざかっていた「世界最高賞金開催」という地位も2007年より復権している。 競走番組の変遷創設当初は古馬中距離路線の有力馬で競われる「クラシック」を筆頭に3歳以上牝馬で競われる「ディスタフ」、それぞれ2歳牡・牝馬限定競走の「ジュヴェナイル」と「ジュヴェナイルフィリーズ」、短距離競走の「スプリント」、芝12ハロンで行われる「ターフ」、同8ハロンで行われる「マイル」の7競走(=オリジナル7)で行われていた。1986年に障害競走のスティープルチェイスが、1999年に牝馬の芝路線有力馬で争う「フィリー&メアターフ」が新設され、この編成時点まで平地競走は1日の開催で行われていた。 2007年1月にブリーダーズカップの拡大構想が発表され、2010年までに競走数が16まで増加される事が決定。まず2007年にダートのマイル戦「ダートマイル」、牝馬限定の短距離戦「フィリー&メアスプリント」、芝の2歳限定戦「ジュヴェナイルターフ」が追加され従来1日の開催で行われていたブリーダーズカップは2日間開催となり、新設3競走が1日目、従来施行されていた競走が2日目の開催となった。 さらに2008年からは芝の短距離戦「ターフスプリント」、芝の2歳牝馬限定戦「ジュヴェナイルフィリーズターフ」、ダートの12ハロン戦「マラソン」(2009年より14ハロン)の3競走が新たに加わり、その一方でスティープルチェイスが除外され、全14競走、初日5競走・2日目9競走の構成となる。また同年は初日は全て牝馬限定戦の「レディースデー」となり、これを受けて「ディスタフ」の名称が「ブリーダーズカップ・レディーズクラシック」に変更された(2013年に元のディスタフに戻された)。 2011年からは2歳限定の短距離戦「ジュヴェナイルスプリント」が追加され全15競走となったが、わずか2年で廃止され2013年は全14競走となった。 2014年には「マラソン」が除外[2]されたため、全13競走となる。 2018年からは2歳限定の芝短距離戦「ジュヴェナイルターフスプリント」が追加され全14競走となる[3]。この年から初日は2歳戦の5競走を施行する「フューチャーズスターズフライデー」、2日目は「チャンピオンシップサタデー」として銘打たれることになった[4]。 長らく騎手に対する表彰が存在しなかったが通算8833勝を挙げた騎手のウィリー・シューメーカーが2003年に死去したことに伴い、その功績を記念して同年より「シューメーカー賞」が創設。ブリーダーズカップ開催日を通じて最も顕著な働きを見せた騎手が記者投票で選出されるようになった。2008年からは着順ポイント制で競われる形となり、受賞者には賞金1万ドルが贈られる。 施行競走(2024年)2024年及び2025年はデルマー競馬場で行われる。
ターフとクラシックはワールドレーシング・チャンピオンシップの対象競走に指定。施行コースは現在は上記の通りであるが施行コースが設定できない場合、至近距離で施行される場合があり流動的に変更される(ターフスプリントは芝5.5f、フィリー&メアターフは芝10fで行われるケースも多い)。 2023年はブリーダーズカップ史上初めてBCクラシックがシリーズの最終競走から外れた[注 1]。 2024年もレース順が一部変更され、またクラシックとターフは総賞金がそれぞれ100万ドルずつ増加された[5]。 過去に施行されていた競走
歴史
各年の開催地
日本調教馬の遠征ブリーダーズカップを参考にした競馬行事
脚注注釈
出典
関連項目
世界的な競馬イベント同日複数重賞競走
外部リンク
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