フリントコーン
フリントコーンという名称は粒が堅いことからきており、いろいろな色をしている。
種
Zea mays 変種
Zea mays var. indurata テンプレートを表示
フリントコーン (英語 : Flint corn 、Zea mays var. indurata、別名インディアンコーンあるいはキャリココーン [ 1] ) はトウモロコシ の一種である。ひとつひとつの粒の外側にやわらかい胚乳 を保護する堅い層があるため、火打石 (フリント、flint)のようだということでフリントコーンという名が付いた[ 2] 。フリントコーンはトウモロコシ の主要な6種のうちのひとつであり、あとの5種はデントコーン、ポッドコーン、ポップ種、フラワーコーン、スイートコーンである[ 3] 。
来歴
20世紀初め頃、ホワイトフリントコーン畑の様子
フリントコーンはトウモロコシ類の中でも最も古くから知られていたもののひとつである[ 4] 。フリントコーンはグレートプレーンズ のポーニー族をはじめとする、ニューイングランド や北部の州一帯に住むアメリカ先住民 が栽培していた3種のトウモロコシのうちの1種である。考古学者 の調査により、紀元前1000年より前から現在のアメリカ合衆国 にあたる地域でこうしたトウモロコシが栽培されていた痕跡が見つかっている[ 5] 。アメリカに西洋人がやって来てからは、初期の植民者にとって重要な農作物となった[ 4] 。
特徴
よく熟したデントコーンには、それぞれの粒の中にはっきりわかるくぼみがある。フリントコーンにはくぼみがない。
フリントコーンはデントコーン (Zea mays indentata ) よりデンプン が少なく、デントコーンと違ってひとつひとつの粒にくぼみ(デント、dent)がない[ 6] [ 7] 。粒の全体が堅いデンプンの層に覆われている[ 7] 。
強さ
フリントコーンは害虫に強く、温度が低くても受粉が可能である[ 7] 。非常に水分が少ないため、他の野菜に比べて凍結に対する耐性が強い。1816年 、ニューイングランドは悪名高い「夏のない年 」に襲われたが、バーモント州 で生き残った作物はフリントコーンだけであった[ 8] 。
色
フリントコーンの粒は他のトウモロコシによく見られる白や黄色のみならず、青や赤など多様な色をしていることも多い[ 4] 。
グラス・ジェム・コーン
オクラホマ州 に住むチェロキー の血を引く育種家カール・バーンズは、アメリカ先住民が栽培していたトウモロコシ類をかけあわせてグラス・ジェム・コーンというフリントコーンを開発した[ 9] 。このトウモロコシはひとつの穂軸に非常にいろいろな色の粒がつく[ 10] 。極めて色鮮やかであるため「食べ物というよりもスワロフスキー クリスタルのような[ 9] 」外見であると言われ、2012年にフェイスブック に写真が掲載されて話題になった[ 9] [ 10] 。種は一般に販売されている[ 9] 。
利用
フリントコーンの穂軸
スイートコーン とは異なり、堅いので熱してそのまま穂軸から食べることはできない[ 9] 。堅い果皮を溶かすため、アルカリ性 の水につけるニシュタマリゼーション というプロセスを経て処理する必要がある[ 11] 。ひきわりトウモロコシにして、ポレンタ やコーンブレッド として食べることができる[ 9] 。
ポップ種 (Zea mays everta , 「裏返しのトウモロコシ」) はフリントコーンの1種だと考えられている[ 12] 。 フリントコーンもポップコーン として食べられる[ 9] 。
フリントコーンは色鮮やかであるため、アメリカ合衆国では感謝祭 の時期に装飾のために使われることがある[ 4] [ 13] 。1621年に行われた最初の感謝祭では、おそらくフリントコーンの収穫を祝うことが行われたという伝承がある[ 14] 。
脚注
^ “Corn Health Benefits: Not just delicious, corn is also loaded with health benefits! ” (英語). The Times of India (2019年2月7日). 2019年5月27日 閲覧。
^ “Seeds of Change Garden ”. www.mnh.si.edu. July 22, 2009時点のオリジナル よりアーカイブ。2010年3月17日 閲覧。
^ Linda Campbell Franklin, "Corn," in Andrew F. Smith (ed.), The Oxford Encyclopedia of Food and Drink in America . 2nd ed. Oxford: Oxford University Press, 2013 (pp. 551–558), p. 553.
^ a b c d Nix, Elizabeth. “Indian Corn: A Fall Favorite ” (英語). HISTORY . 2019年5月27日 閲覧。
^ Smith, C. Wayne. (2004). Corn : origin, history, technology, and production . Betrán, Javier, Runge, E. C. A.. Hoboken, N.J.: John Wiley. p. 136. ISBN 0471411841 . OCLC 52271699 . https://www.worldcat.org/oclc/52271699
^ nmsu.edu Archived April 3, 2011, at the Wayback Machine . Blue Corn Unique to American Southwest
^ a b c “トウモロコシの種類、製品の特性と用途|農畜産業振興機構 ”. 農畜産業振興機構 . 2019年5月27日 閲覧。
^ USA, Slow Food. “Roy’s Calais flint corn ” (英語). Slowfood USA . 2019年5月27日 閲覧。
^ a b c d e f g Sáša Woodruff (2014年5月13日). “Gardeners' Gems: Designer Crops That Will Wow The Neighbors ” (英語). NPR.org . NRP. 2019年5月27日 閲覧。
^ a b “Glass Gem Corn ” (英語). Atlas Obscura . 2019年5月27日 閲覧。
^ Grant Gerlock (2016年11月18日). “Tribes Revive Indigenous Crops, And The Food Traditions That Go With Them ” (英語). NPR.org . NPR. 2019年5月27日 閲覧。
^ Tori Avey (2013年10月29日). “History of Popcorn | The History Kitchen ” (英語). PBS Food . PBS. 2019年5月27日 閲覧。
^ Evans, Miranda (2015年11月19日). “Thanksgiving and the American garden: heritage corn varieties” (英語). The Telegraph . ISSN 0307-1235 . https://www.telegraph.co.uk/gardening/grow-to-eat/thanksgiving-and-the-american-garden-heritage-corn-varieties/ 2019年5月27日 閲覧。
^ Dora Mekouar (2018年11月22日). “What Really Happened at the 1st Thanksgiving ” (英語). VOA . Voice of America. 2019年5月27日 閲覧。