フィンランドのオペラ

ヘルシンキにある、フィンランド国立歌劇団（英語版）のオペラハウス。2016年撮影。

マクベスの終幕、2007年のサヴォンリンナ・オペラ・フェスティバルにて。

本項では、フィンランドのオペラ（英語: Finnish opera）について述べる。

歴史

フィンランドにおけるオペラの起源は18世紀末および19世紀まで遡る。フィンランド初のオペラ上演は一般的には1768年にトゥルクで行われた、カール・ゴットリーブ・セウエルリング（Carl Gottlieb Seuerling）一座によるヨハン・タイレ作『アダムとイヴ』の上演とされている[1]。しかし、このときの上演にはオーケストラがない（従ってオペラではない）とする文献もある[2]。

フィンランドで作曲された初のオペラ作品は『クング・カルス・ヤクト（英語版）』（『カール王の狩猟』）で、フレドリク・パシウス（英語版）作の音楽とザクリス・トペリウス作のリブレットが使われている。クング・カルス・ヤクトの初演は1852年3月24日にヘルシンキで行われた[3]。

フィンランド語で行われた初のオペラ上演は1873年に行われたフィンランド劇場（英語版）による『ランメルモールのルチア』の上演であり、当時劇団の会社はそのレパートリーにオペラ25から30本を有していた[4]。

アイノ・アクテとエドヴァルド・ファゼル（フィンランド語版）により創設された歌劇団は1911年10月2日にはじめて演出し、後にフィンランド国立歌劇団（英語版）になった[5]。

サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバルは毎年サヴォンリンナのオラヴィ城（英語版）で行われるが、このオペラ音楽祭は1912年夏にアイノ・アクテによりはじめて行われた[6]。

フィンランドが1917年に独立した後、元はロシアの財産であったアレクサンドル劇場はフィンランドの財産になった。劇場は「暫定的」にフィンランド歌劇団に与えられ、フィンランド歌劇団はオペラハウスが建てられるまでアレクサンドル劇場を70年間使用した[5]。

フィンランド歌劇はヨーナス・コッコネンとアウリス・サッリネンの作品により1970年代に世界で評判になり、コッコネンが1975年に作曲したオペラ『最後の誘惑（英語版）』は1983年にニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演、世界中で500回以上上演された[7]。

有名なフィンランド出身のオペラ歌手はマルッティ・タルヴェラ、カリタ・マッティラ（英語版）、ソイレ・イソコスキ（英語版）などがいる[8]。BBCミュージック・マガジン（英語版）は2007年にマッティラを音盤時代における最高のソプラノ20人のうちの1人に選出した[9]。

21世紀にはカイヤ・サーリアホの作品がよく上演されている[10]。

脚注

1. Olli Alho et al. (1999). Finlande: une approche culturelle. Helsinki: Société de littérature finnoise. p. 256. ISBN 9789517460316 
2. Silja Geisler-Baum (2004). Die Loreley in Finnland: zur Entstehung, Aufführung und Rezeption der Oper von Fredrik Pacius und Emanuel Geibel. Mainz: Are Musik. p. 14. ISBN 978-3-924522-19-3 
3. Ruth-Esther Hillila and Barbara Blanchard Hong: Historical Dictionary of the Music and Musicians of Finland (Greenwood, 1997) p. 293.
4. Szíj Enikő (1979). Finnország. Budapest: Panoráma. pp. 142–143. ISBN 963 243 111 1 
5. ^ “Century of dance and song” (英語). National Opera. 4 December 2016閲覧。
6. “History”. Savonlinna Opera Festival. 4 December 2016閲覧。
7. Wright, David (1998年). “Joonas Kokkonen”. Wright Music. 4 December 2016閲覧。
8. Facts Finland
9. “Are these the 20 best sopranos of the recorded era?”. The Guardian (2007年). 4 December 2016閲覧。
10. “Kaija Saariaho gets lots of love for Love from Afar”. Toronto Star. 2017年11月7日閲覧。