ピアサポートピアサポート(英語: peer support)とは、一般に、「同じような立場の人によるサポート」といった意味で用いられる言葉である。なお、相談に力点を置いた「ピアカウンセリング」、傾聴に力点を置いた「ピアリスニング」なども類似の概念である。 セルフヘルプ活動としてのピアサポートいわゆるセルフヘルプ活動の文脈でこの語が使われる場合は、「同じような課題に直面する人同士がたがいに支えあう」といった含意が基本となる。 ミーティング参加者相互によるピアサポートを目的として、同じ個人的課題を抱える人同士が集まるミーティング形式の活動が広く行われている。 ミーティングの典型的なスタイルは以下のようなものである。
「普段口にできないようなことでもここでなら話して聴いてもらうことができる」というのが大きな特長であり、また、人の話を聴くことによって自分の気づきも促され、各自の成長・回復へとつながっていく。 メンバーシップは限定(クローズド)の場合もあれば「誰でもOK」というものもある。 基本的に、その時その時、まさに課題を抱えている最中の人が集まるものであり、メンバーの固定を想定したものではない。 多くの場合、各参加者の名前は伏せたままにされる。 指導者的な役割は存在しないが、ファシリテーター役を置くことは多い。そうした役はその場にいる当事者の中から意のある人が買って出たり、ランダムに選ばれたりする。 保健分野→詳細は「自助グループ」を参照
一般に、抱える問題のマイノリティ性が高いほど、当事者は「普段はなかなか口にできない」悩みに苦しんでいるわけであり、その点においてピアサポートは課題解決の大きな力となり得ると考えられている[1]。 依存症米国に源流をもつ AA(アルコホーリクス・アノニマス; アルコール依存症を抱える人たちの集い)、NA(ナルコティクス・アノニマス; 薬物依存症の集い)、GA(ギャンブラーズ・アノニマス; ギャンブル依存症の集い)などが有名であるが、このほかにもさまざまな各種の課題ごとに、各地でグループが結成され、定期的・準定期的なミーティングを行っている。 慢性疾患を持つ患者→詳細は「Category:患者支援団体」を参照
障害者→詳細は「Category:障害者団体」を参照
PTSDと帰還兵
傷病軍人とその家族→詳細は「傷痍軍人」を参照
学校教育
障害者福祉におけるピアサポート
医療者を対象とするピアサポート医療分野では、がん患者をはじめ各種患者団体等のピアサポートが行われてきたが、近年は医療事故を経験しトラウマに苦しむ医療者へ向けてのピアサポートも広がりつつある。アメリカでは、事故を起こした医療者について、個人に帰責するのではなく背景のシステムの問題を解析することのほうが、第2第3の事故防止に繋がるという考え方が一般化し、事故を起こした医療者も第2の犠牲者であると捉える動きが2000年頃より始まった。実際、医療事故後に自殺する医療者も多く、ハーバード大学やジョンズ・ホプキンズ大学などの先進的病院では、患者家族へのケアとともに医療者側へのケアも重要な課題として認識され、事故を起こした医療者へのピアサポートシステムが整備されつつある。 日本では、医療事故後の患者家族・医療者双方へのケアを目的とする初のピアサポート団体「HEALS」(Healthcare Empowerment and Liaison Service)が設立され、医療事故後の医療者を対象とするピアサポートの取り組みが始まっている[3]。 脚注
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