ヒトラーのキンタマ
「ヒトラーのキンタマ」(Hitler has only got one ball、ヒトラーにはひとつしかキンタマがない )は、ケネス・アルフォード作曲『ボギー大佐』に連合国の敵であるヒトラーをバカにする歌詞を付けた歌である。第二次世界大戦中のイギリス軍兵士の間で広まった。歌詞はナチス・ドイツの指導者を揶揄する四行詞であるが、さまざまなバリエーションがある。 起源アイルランド系イングランド人の情報筋にして広告業のドノー・オブライエンの自伝『Fringe Benefits』によると、この歌の起源はドノーの父でやはり広告代理店業であったトビー・オブライエンが、1939年8月にイギリスのプロパガンダとして書いたものとしている[1]。 この主張するところによるとオリジナル版は「ゲーリングのキンタマは1つだけ」という行で始まり、ヒトラーは小さいのを2つ持っていたと続く。ほとんど全ての後の版では、これは逆になっている。 全ての版でヒムラーは「sim'lar (似たようなもの)」という言及が共通している。オリジナルとその後の一部の版では、最後の行はゲッベルスは「no balls (タマ無し)」という巧みな言葉遊びで終わっている。これらのバリエーションは、オブライエンの版が非常に早い時期のものであるという説を強力に支持する。 オブライエンの主張は確証されていないが、より知名度が高い「ヒトラーのキンタマは一つだけ」で始まる歌詞の作者も特定されていない。この歌詞または音楽に著作権を主張する試みも知られていない[1]。 歌詞どの版も『ボギー大佐』の曲に乗せて歌う。 トビー・オブライエンのオリジナルとされる版Göring has only got one ball Hitler's [are] so very small Himmler's so very similar And Goebbels has no balls at all! ゲーリングのキンタマは1つだけ ヒトラーのはすごく小さい ヒムラーのもほとんど同じ そしてゲッベルスはタマが無い バリエーションバリエーション1 (最もよく知られたもの)Hitler has only got one ball, Göring has two but very small, Himmler is rather sim'lar, But poor old Goebbels, has no balls, at all. ヒトラーのキンタマは1つだけ ゲーリングのは2つあるがすごく小さい ヒムラーのもだいたい同じ 哀れなゲッベルスにはタマが無い (1行目はone left ball, one brass ball, one big ballになっているものもある。「V」に登場したのはほぼこの版と同じ) バリエーション2 (2番目に追加されたよく知られたもの)Hitler has only got one ball, The other is in the Albert Hall, His mother, the dirty bugger, Chopped it off when Hitler was small. She threw it into the apple tree, the wind blew it into the deep blue sea, Where the fishes got out their dishes, And ate scallops and bollocks for tea. ヒトラーは金玉が1つしか無い もう1つはアルバート・ホール(ロイヤル・アルバート・ホール)にある 彼の母親(クララ・ヒトラー)は汚い盗賊で ヒトラーが幼いときにそれを切り落とした 彼女はそれをリンゴの木に投げ込み 風がそれを真っ青な海に吹き飛ばし そこで魚たちは皿を取り出し ホタテ貝やキンタマを食べた バリエーション3 (3番目に追加されたあまり知られていないもの)グエルフ・ハンバー大学の民俗学教授であるグレッグ・ケリーによって、あまり知られていないバリエーションがあると発表された。以下がその文章である。 Rommel has four or five, I guess, No one's quite sure 'bout Rudolf Hess, Schmeling's always yelling, But poor old Goebbels has no balls at all. 3行目では、ドイツ人ボクサーのシュメリングが1938年にアフリカ系アメリカ人のボクサー、ジョー・ルイスに敗れ、ルイスが決定的なパンチを当てたとき甲高い「叫び声」を上げたことを書いている。この「叫び声」は、ナチズムに対するアメリカの勝利の象徴となった。 諸メディアにおけるヒトラーのキンタマこの歌は諸メディアで頻繁に現れている。
ヒトラーの睾丸は本当に一つだけだったのか?→詳細は「アドルフ・ヒトラーの単精巣症の可能性」を参照
戦後すぐに行われたとされるソ連によるヒトラーの死体解剖によると、ヒトラーは単睾丸であったと主張している。しかし大部分の歴史家はこの言及をプロパガンダとして退けている。この解剖は1970年頃になって初めて公開されたものである。しかしその一方、記録によるとヒトラーは1916年にソンムの戦いで負傷しており、一部の情報源では彼の負傷は鼠蹊部だったとしている。第一次世界大戦中のヒトラーの中隊長は、性病検査のときにヒトラーには睾丸が1つしかないことが見つかったと言っている。ロバート・G・L・ウェイトは著書『The Psychopathic God: Adolf Hitler』(1978年)でこの証拠の正確さを認めている: 子供時代以降のヒトラーの心理的成長にとって相当に重要な問題であるから、ここで一旦本題を措いて、総統の睾丸問題について考察しよう。ここで、イギリス歩兵はボギー大佐の一行目について全く正鵠を得ていたと断言できるが、最後の行については明らかに間違っている。すなわち、ゲッベルスの6人の子供が養子か代理母か、考えたくも無い「Gott mit uns」型の神の仲裁でもない限りである。 赤軍病理学者によるヒトラーの死体解剖は明瞭な結果を得た: 左の睾丸は陰嚢、鼠蹊部の精索、小骨盤腔のいずれの中にも発見できなかった。 この問題について、1970年代初期のイギリスの雑誌ニュー・ステーツマン誌の投書欄で数週間に渡り議論が行われたことがあるが、すべての投書がソ連の解剖を本当だと受け止めていた。ある者は、イギリスの情報部がヒトラーが単睾丸だったことを発見し、ヒトラーを一層怒らせるために歌にしたのではないかと主張した。また、それはただの偶然の一致だという者もおり、さらにナポレオンについても同様の歌があったと主張する者すらいる。英語圏の話者は「ゲッベルス (Goebbels)」を正しく発音できず、「ゴーボールズ」のように発音するため、これが「ノーボールズ (no balls)」の着想を呼んだのだと言うものもいる。この一連の投書は、不法入国者が拘留されているとされる状況についての問題提起と、ヒトラーの睾丸より重要な問題があるという指摘の投書により、終息した。 不幸にして、ソ連のヒトラー解剖は真実と取ることはできない。なぜなら、ヒトラーの自殺後、死体は完全に焼却されており、医師が分析できないほどわずかしか残っていなかった。いわんや、さような小さな部位に言及できる道理がないのである。 2008年、ミュンヘンの公記録保管所からヒトラーの検診の記録が発見された。1923年11月9日のミュンヘン一揆の後、逮捕されて送られたランツベルク刑務所でのもので、まったく健康と記録されている[4]。 これが本当であれば、第一次世界大戦で負傷したという噂は退けられる。現在では、右の潜在精巣であったというのが定説になっている[4][5]。 脚注
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