Adieu donc et bons jours aux tyrans de nos cœurs !
全声部
Et bons jours !
ランドルよ! ティルシスよ! そして我らを組み敷く一統よ!
ミルティルよ! リデよ! 我らの心を奪う女王よ!
奴らのなんたる挑発、いつもなんたる冷血!
我らの命運と生活、牛耳ろうとはなんたる僭越!
気をつけろ!
わきまえろ分別!
おお忌まわしき侮蔑!
さほども弛緩なき進行!
そしてかほども確実なる破滅!
我らは必ず奴らを黙らせてくれよう!
我らは日ならず奴らの下僕とされよう!
なんと醜い奴らよ!
いとおしき面差し!
なんといかれた奴らよ!
うるわしき眼差し!
そしていつも同じ!
そしていつもこう揃う!
愛し合う! 憎み合う! おのが恋を呪う!
愛し合う!
憎み合う!
おのが恋を呪う!
さらばミルティルよ! エグレよ! クロエよ! ふざけた悪魔の一党よ!
いざさらばそしてご機嫌よう、我らの心を灼く暴王よ!
そしてご機嫌よう!
脚注
^中世の恋愛譚に登場する牧童。パリ・オペラ座やコメディ・イタリエンヌ(Comédie-Italienne)の演劇・歌劇・バレエにもしばしば登場する。ボーマルシェ「セビリアの理髪師」ではアルマヴィーヴァ伯爵が名乗る偽名であり、のちに劇中歌「私はランドル」(Je suis Lindor)をもとにモーツァルトがピアノ変奏曲 K.354/299a を作曲。ロッシーニの「セビリアの理髪師」ではイタリア語名Lindoro(リンドーロ)で、リンドーロはまた「アルジェのイタリア女」の登場人物。ほかにゴルドーニ「ゼリンダとリンドーロの恋」(Gli amori di Zelinda e Lindoro)を、スタンダールが「ゼランドとランドルの恋」(Les amours de Zélinde et Lindor)として仏訳している。カラファの歌劇「眠れる森の美女」では王子の名がLindorである。