パンと魚の奇蹟 (ムリーリョ、セビーリャ)
『パンと魚の奇蹟』(パンとさかなのきせき、西: Milagro de la multiplicación de los panes y los peces, 英: The Miracle of the Loaves and Fishes)は、スペインのバロック絵画の巨匠バルトロメ・エステバン・ムリーリョが1669–1670年、または1670–1674年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。ムリーリョ自身が所属していたセビーリャのカリダー信徒会からカリダー施療院のために委嘱され[1]、現在も同施療院に所蔵されている[2][3]。なお、同主題のより早い時期の習作がエジンバラのスコットランド国立美術館にある。本作は2018年に修復された[4]。 背景カリダー信徒会会長のミゲル・マニャーラは、「キリスト者の慈愛」を主題とする8点の連作をムリーリョに注文した[2][1]。ムリーリョが描いた8点の連作中4点 (本作『パンと魚の奇蹟』、『病人を治療するハンガリーの聖エリザベト』、『ホレブの岩から水を出すモーセ』、『病人を担う聖フアン・ディ・ディオス』) は現在もカリダー施療院に所蔵されている[2][1]が、『ベトザタの池で足萎えを治すキリスト』 (ロンドン・ナショナル・ギャラリー) と『放蕩息子の帰還』 (ワシントン・ナショナル・ギャラリー) 、『アブラハムと3人の天使』 (カナダ国立美術館) 、『聖ペテロの解放』 (エルミタージュ美術館) は1810年にナポレオンの軍隊によりスペインから持ち去られた[1]。 作品本作は、イエス・キリストによる聖餐の奇蹟を描いたもので、キリストが群衆に食べ物を与えているところが表されている[2]。「マタイによる福音書」(14章14-21) には以下のような記述がある[5]。
本作の画面に描かれているのは、キリストが少年から差し出され、使徒フィリポによって受け取られた5つのパンと2匹の魚を増やしている瞬間である。この作品は、貧者に食べ物を与えるという慈悲の行いを表している[2]。 脚注
参考文献
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