パラミツ
パラミツ(ハラミツ、波羅蜜、菠蘿蜜、学名:Artocarpus heterophyllus)はクワ科パンノキ属の常緑高木。英語で、ジャックフルーツ(英: Jackfruit)と呼ばれ、東南アジア、南アジア、アフリカ、ブラジルで果樹などとして栽培されている。東アジアでは台湾南部や中国海南省、広東省、雲南省などで栽培されている。原産はインドからバングラデシュと考えられている。 名称バングラデシュ(ベンガル語)ではカタール(kathal)、インド(ヒンディー語)ではカタル(katal)、インドネシア語やマレー語ではナンカ(nangka)、フィリピン(タガログ語)ではランカ (langka)、タイではカヌーン(タイ語: ขนุน)、ベトナム語ではミッ(mít)と呼ばれる。 和名は漢語由来の波羅蜜であるが、ほかにマレー語のナンカを語源とする南果(なんか)とも呼ばれ、同属異種のパンノキとの対比で、パラミツの木を長実パンの木(ながみぱんのき)とも呼ぶ。 英語でjackfruit(ジャックフルーツ)と呼ばれるのは、マラヤラム語の「chakka」が、ポルトガル語に借用されて「jaca」となり、それが英語に借用され、類型を示すfruitと結びついた結果と考えられる[1]。 形態常緑の高木で、葉は成木では長楕円形だが、幼木では大きな切れ込みがあり、学名(種小名)のheteropyllum(異形葉)は、こうした成木と幼木で著しく葉の形が異なることを指している。 雌雄同株で、雄花のみをつける雄花序は枝の先につくが、雌花のみをつける雌花序は幹生花と呼ばれ、幹に直接つく。 幹や太い枝に連なってぶら下がる果実は長さ70cm、幅40cm、重さ40-50kgに達することもあり、世界最大の果実といわれる。その形は、歪んだ球形や楕円形が多いが、ときに円柱形となり、長さにも差がある。果実の表面には数mmのいぼ状の突起があり、熟すと全体に黄色になり、強烈な甘い匂いを放つ。果実はクワ科の特徴である集合果で、花序を形成する組織の多くが合着して果実となる。繊維状にほぐれる淡黄色から黄色の果肉や仮種皮を食用にする。種子は2cmほどのやや長円形で、これも食用になる。パラミツは実生から3年で果実をつけることもあるほど生長が早い。 コパラミツの送粉体系同属のコパラミツ(A. integer)で、非常にユニークな送粉体系が2000年に報告された。コパラミツの雄花序には接合菌コウガイケカビ属の一種(Choanephora sp.)が共生して菌糸体を広げて胞子をつけており、Contarinia属の2種のキノコバエの仲間が飛来して菌を摂食し、産卵する。雌花序には菌は共生しないが、キノコバエは雄花序と同じ臭いに騙されてこちらにも飛来し、雄花序を訪れたときに付着した花粉を運ぶ。雄花序で孵化した幼虫は、ここに繁殖した菌を食べて成長する。 利用熟した果肉や仮種皮は甘く、生で食用にされる。樹脂分を含み、みずみずしさには乏しいが、弾力や粘りのある食感がある。未熟な果実は野菜として、タイ料理、ベトナム料理やインドネシア料理などで煮物、炒め物などに使われる。種子は焼くか茹でることで食用にされる。 熟す前の果肉は、デザートではなく総菜として食用となる[2]。果肉にほぐしながら熱を通すと、熱を通したマグロ(ツナ)肉・牛肉のようになるため、代替肉として利用される[3][4][5]。 産地から遠く離れた欧米および日本では、輸入果実を扱う専門店にて空輸された生の果実が購入できる他に、シロップ煮缶詰、チップス、乾燥果実が一般的である。 パラミツの木材は建材、家具、仏像、印鑑の他、ガムランなどの楽器に使われる。また、材は仏僧の法衣などの黄色の染料に使われる。 ギャラリー
関連項目
脚注
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