バード・オープニングバード・オープニング
バード・オープニング (Bird's Opening) は、チェスのオープニングの1つで、1.f4の1手だけで「バード・オープニング」という名前が付いている。右図がその基本形である[1]。19世紀後半に活動したイギリスのチェスプレーヤーヘンリー・バードが好んで用いたことからこの名が付いた[2]。 バード・オープニングにおける黒の1手目としては1.… d5や1.… c5、1.… e5、1.… e6、1.… g6等があるが、その中で1.… d5と指すのをダッチ・アタックと[2]、1.… e5と指すのをフロム・ギャンビットと呼ぶ[2]。なお1.… c5 2.e4或いは1.… c5 2.Nf3 g6 3.e4と指すと手順前後でシシリアン・ディフェンスになる[2]。 ダッチ・アタック1.… d5 2.Nf3 Nf6 3.e3 g6 4.b4 Bg7 5.Bb2 0-0 6.Be2 Bg4 7.0-0 c6 8.a4 Nbd7[3]。 黒の1手目で1.… d5と指すと、白黒逆のダッチ・ディフェンスになることから「ダッチ・アタック」と呼ばれる[2]。 白の2手目で2.g3と指すのは以下2.… Nf6 3.Bg2 c5 4.Nf3 Nc6 5.c3 g6 6.0-0 Bg7 7.d3 0-0 8.Nbd2 Qc7と進行し形勢互角[4]。この変化における白の駒組みはeファイルのポーンがe2にあることとcファイル及びfファイルのポーンがc3及びf4に進められていることを除けばキングズ・インディアン・アタックそのものといえる[4]。なおこの手順の途中で黒が3.… c6と指すのも良い手[4]。 黒の3手目では3.… e6と指す手もある[4]。以下4.b3 Be7 5.Bb2 Nbd7 6.Bd3 0-0 7.0-0と進行する[4]。 白の4手目は他に4.b3や4.c4、4.d4と指す手もある[4]。 フロム・ギャンビット1.… e5 2.fe d6 3.de Bxd6 4.Nf3 g5 5.d4 g4 6.Ng5 f5 7.e4 h6 8.e5 Be7 9.Nh3 gh 10.Qh5+ Kf8 11.Bc4 Rh7 12.Qg6 Bb4+! 13.Ke2 Rg7 14.Bxh6 Nxh6 15.Qxh6 Qg5[5]。 この変化は黒が有利[6]。 白の2手目で2.g4??と指すと2.… Qh4#となり、たった2手でチェックメイトとなる(フールズ・メイト)。また白の4手目で4.Nc3??と指しても4.… Qh4+以下チェックの連続でメイトになる。 黒の4手目では4.… Nf6または4.… Nh6と指す手もある[6]。 白の6手目で6.Ne5と指すのは以下6.… Bxe5 7.de Qxd1+ 8.Kxd1 Nc6 9.Nc3 Be6 10.Bf4 0-0-0+ 11.Ke1 Nge7 12.e3 Ng6と進行し黒が指しやすい[6]。 黒の7手目で7.… Be7と指すのは8.Nh3! gh 9.Qh5+ Kf8 10.Bc4 Bb4+ 11.c3 Qe7 12.e5と進行し白有利[6]。なおこの変化の途中で10.… Qe8??と指すと11.Qh6+! Nxh6 12.Bxh6#となりチェックメイト[6]。 白の13手目で13.c3と指すのは13.… Rg7 14.Bxh6 Qh4+の後15.… Qxh6と指され黒の勝ち(白はクイーンを失う)[6]。 フールズ・メイト→詳細は「フールズ・メイト」を参照
1.… e6 2.g4?? Qh4#[7]。 初手からたった2手でチェックメイトになるため「フールズ・メイト(愚かなメイト)」と呼ばれる。 白の1手目で1.f3?(バーンズ・オープニング)と指しても1.… e6(1.… e5もある) 2.g4?? Qh4#でメイトになる。また黒の1手目で1.… e5(フロム・ギャンビット)と指しても2.g4?? Qh4#でやはりメイトになる。 その他の変化1.… g6 2.Nf3 Bg7 3.e3[8]。 1973年にベント・ラーセンが来日した際に名古屋市のホテルで日本人との超早指し戦[9]が行われ[10]、日本人は入れ替わり次々と挑戦したものの有田謙二が4局指したうち1局のみ勝ったほかは全て日本人が時間切れで負け[10]、ラーセンは1度も時間切れにならなかった[10]。ここで取り上げた変化は日本人唯一の勝ち星となった有田対ラーセン戦のゲームである[10]。黒の3手目は3.… Nf6とするのが定跡だが[11]、この時黒番のラーセンは3.… f5と指した[11]。その後28手目でラーセンが投了し白番の有田が勝ったが[12]、残り時間は有田が1分くらい[12]、ラーセンは数秒だった[12]。 参考文献
脚注・出典
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