バンクシア属
Banksia ericifolia
分類
学名
Banksia L.f.
亜属
Banksia subgen. Banksia
Banksia subgen. Isostylis
バンクシア (Banksia )は、ヤマモガシ科 の属のひとつ。約80種 が含まれる。
オーストラリア 原産。オーストラリアのもっとも乾燥した地域を除く全域に産する。特徴的な花序と果穂を持ち、オーストラリア産の野生の花の中では有名で人気があり、よく庭木 として利用される。
特徴
匍匐性の低木 から25mの高さになる高木 まで様々な形をとる。
最大の高木になるコースト・バンクシア (B. integrifolia ) とリバー・バンクシア (B. seminuda ) は15m以上になり、時には25mに達する。
低木のバンクシアは普通は直立するが、いくつかの種は地表または地中を匍匐する茎を持つ。
バンクシアの葉 は種によって大きく異なる。
1–1½ cmの長さで細い、エリカのような葉をつけるB. ericifolia から、45cmの長さの葉のブル・バンクシア (B. grandis ) のように非常に大きな葉を持つものまで様々である。
多くの種の葉縁は鋸歯 をもつが、少数の、たとえばB. integrifolia はそうではない。
葉は枝に不規則ならせん状に並ぶのが普通だが、いくつかの種では輪生 に集まる。
バンクシアはその特徴的な穂状花序と、花の後にできる木質の果実によって容易に認識できる。花序は柔毛質の覆いのある木質の軸でできている。通常は直立しているが、いくつかの種では垂下している。これは、軸に対して直角に着いた、密に配列した花によって覆われる。単一の花序で1000以上の花が含まれる。
バンクシアの花は通常は黄色の色調を持つが、橙色、赤や桃色の花もある。花の色は花被または花柱によって決まる。花柱は花被よりかなり長く、初期には花被の上部で引っかかる。数日かけて上部から、または下部(の花)から離れていく。花柱と花被の色が異なっている場合、花序の上と下で花の色が異なって見える効果をもたらす。
時間が経つと、花は乾燥していき褐色の色調が強くなる。いくつかの種では古い花は脱落し、柔毛質の軸が現れる。他の種では数年にわたって花は宿存し、毛の生えた花序の姿が残る。古い花序は球果(厳密にはソテツと球果類のみにある)とよばれる。
花序が巨大で花の数が多いにもかかわらず、果実をつけるものは少数で、全く果実をつけない花序もある。バンクシアの果実は「球果」に並んだ木質の袋果である。果実は水平に並んだ弁状の構造が種子を堅くつつんでいる。袋果は縫合から裂けて種子を放出するが、いくつかの種では弁も裂開する。果実は種子が熟したときに裂開するものもあるが、多くの種では山火事 によって刺激を受けたときにのみ裂ける。袋果はふつうは小さな種子を二つ含んでおり、くさび形の紙質の翼をもっていて落下するときに回転するようになっている。
分布と生育
1種を除きバンクシアはオーストラリアに固有 である。
例外はB. dentata でオーストラリア北部からニューギニア 、アルー諸島 (Aru Islands) に広がっている。
他の種は2つの地理的区分に分布している。南西部および西部オーストラリアと東部オーストラリアである。
南西部および西部オーストラリアは生物多様性 の主要な中心であって、バンクシアの4分の3以上の種はこの地域にのみ産する。
東部オーストラリアには、産する種ははるかに少ないが、もっともよく知られていて、広く分布している種、コースト・バンクシア (B. integrifolia ) とシルバー・バンクシア (B. marginata ) が含まれる。
バンクシアの多くの種は砂質の土壌 でよく生育し、他のものは岩の多い土壌を好む。
リバー・バンクシア (B. seminuda ) は水系に沿った肥沃なroamを好む点で例外的である。
多くの種はヒース や低地の疎林 に生えるが、B. seminuda とB. integrifolia はどちらも森林 に生える。
多くの種は海岸では生育が良好ではないが、ごく最近記載されたB. rosserae は砂漠に生育する。
東オーストラリアの多くの種は高地に生育する一方で、西オーストラリアの種ではただ一種スターリング・レンジ・バンクシア (Stirling Range Banksia, B. solandri のみが高地に生える。
生態学的側面
バンクシアは大量に蜜を生産するので、蜜を食料とする動物の重要な食物資源である。ミツスイ科 やhoney possum 、pygmy possum 、コウモリなどである。これらの動物はバンクシアの花粉媒介に貢献している。
他に関連する動物相には、ガやゾウムシの幼虫が「球果」や袋果に穿孔して種子を食用にし、pupate が袋果に穿孔する。また、鳥ではcockatoo が「球果」を壊して種子と幼虫を食用にする。
バンクシアにとって脅威になるのは、山火事である。バンクシアの種のおよそ半分が山火事で死亡するが、火事を発芽の刺激にして世代更新する。この種の個体のうち残りは、ふつう、非常に厚い樹皮を持っていて幹を炎から守るか、lignotuber があって火災後に発芽するか、いずれかで、山火事を生き延びる。山火事が頻繁でなければ生態として問題にならないが、頻繁であれば実生が結実年齢に達する前に死んでしまうので個体数を減らしてしまう。
バンクシアの他の脅威として、(以前は菌類と思われた)卵菌類 の Phytophthora cinnamomi が根を腐らせる。proteoid root は貧栄養の土壌でバンクシアが育つのに役に立っているが、根腐れに関係があると疑われている。
多くのバンクシアがrare あるいはendangered と見做されている。
B. brownii : rare
B. cuneata : endangered
B. goodii : endangered
B. oligantha : endangered; 1箇所からのみ知られる
B. plagiocarpa : endangered; 3箇所の小さな個体群のみ
B. sphaerocarpa var. dolichostyla : endangered
B. tricuspis: endangered
B. verticillata : endangered; およそ10の小さな個体群が知られる。
B. chamaephyton は以前はrareだと宣言されたが、新しい個体群が発見されたためリストから除外された。モニターは継続されている。
分類
バンクシア属は小リンネ によって1782年 4月にSupplementum Plantarum systematis vegetabilium の中で記載命名された。
そのためこの属の正式名は"Banksia L.f."である。
属名は、初めてのバンクシアの標本を1770年 にジェームズ・クック の最初の航海中に採集していた、イギリス の植物学者ジョゼフ・バンクス 卿 (Sir Joseph Banks) にちなんでいる。
バンクシアの名前は実際には1775年 にBanksia J.R.Forst. & G.Forstとして、現在はPimelia の名前で知られているものに対して発表されている。
しかし、この先行する発表に対して、1800年 までには小リンネの名前が一般に受け入れられるようになった。
1891年 にはクンツェ (Kunze) が小リンネの名前をSirmuellera にしようとしたが、受け入れられなかった。
1940年 にはスプレーグ (T. A. Sprague) によって、Banksia L.f.がBanksia J.R.Forst. & G.Forst に対して公式に保護されることになった。
バンクシアの正確な種数は論争点になっている。
最近の権威ある梗概であるGeorge (1999) では76種がリストに上っている。その後でB. rosserae が記載された (Olde and Marriott, 2002) ので、77種になる。
しかし、George (1999) は以前にThiele and Ladiges (1996) によって種のレベルを与えられていた4分類群 を種より下のランクに置いている。
オーストラリアの多くのハーバリウム (標本庫)ではThiele and Ladiges (1996) のシステムに従っているのでこれらは種扱いであり、そのため81種があることになる。
さらにHarden (2002) はB. cunninghamii Sieber ex Reichbを種としている。
George (1999) もTheile and Ladiges (1996) もこれをB. spinulosa の亜種 として扱っている。さらに、B. paludosa subsp. astrolux が現在査読 中で、間もなく種のレベルに昇格されるであろう。
バンクシア属は2つの亜属 に分けられる。イソスティリス亜属 (Banksia subg. Isostylis ) とバンクシア亜属 (Banksia subg. Banksia ) である。
前者の亜属はいずれも西オーストラリア産の3つの近縁な種を含む。この3種はいずれもバンクシアの特徴の穂状花序のかわりに頭状の花序を持つ。
イソスティリス亜属の頭状花序は表面的にはドリアンドラ属 (Dryandra ) のものに似ていて、この亜属はドリアンドラ属との進化 的な関連性を示すものと考えられている。
もう一方のバンクシア亜属は残りの種が含まれていて、バンクシア属に特徴的な穂状花序を持つ。
George (1999) に基づくバンクシア属の配列については英語版の
バンクシアの分類 を参照。
アルファベット順のバンクシアの種の種の、英語での一般名とGeorge (1999) で種として認識されていないものも含めたリストは英語版のバンクシア属の種のリスト を参照。
利用と文化的言及
大きくて見栄えのする花序と、大量に生産される蜜が鳥類 や小型の哺乳類 を引き寄せるために、バンクシアはオーストラリアではポピュラーな庭木 である。
庭木で一般的なものには、ワラム・バンクシア (Wallum Banksia, B. aemula ) 、ソー・バンクシア (Saw Banksia, B. serrata ) と園芸品種 のバンクシア・ジャイアントキャンドルズ (Banksia 'Giant Candles') などがある。
バンクシアは種子で簡単に繁殖でき、多くの種は挿木 で殖やせる。
手入れはほとんど必要ない。
もし施肥 するなら、遅効性の低リン酸 の肥料 を使うのがよい。
proteoidの根が土壌の肥料の多さで損傷を受けるためである。
種苗 産業以外では、バンクシアは商業価値はあまりない。
いくつかの種は野生植物園で育ち、花序は切り花 として収穫される。
蜜は養蜂業者 が求めるものではあるが、それは蜜の品質ではなく、他の蜜源が足りないときに豊富な蜜を提供するからである。
バンクシアの材 は赤色で魅力的な組織をしているが、乾燥のときにひどく変形するのであまり使われることはない。
時折、装飾の用途でろくろ 引きやキャビネットの羽目板 をはることに使われる。
また、小型のボートの竜骨 を作るのに使われてきた。
松ぼっくりのような果実の集合体は輪切りにしてコースターとして、海外からの観光客 相手の土産物 になっている。
南西オーストラリアの原住民は花から蜜を吸う。また、材の中の甲虫の幼虫を食用にする。
(以下翻訳中)
ギャラリー
(翻訳中)
参考文献
(翻訳中)
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
バンクシア に関連するメディアがあります。
ウィキスピーシーズに
バンクシア に関する情報があります。
en:Banksia 14:34, 7 November 2005より翻訳途中