ドクダミ科 (ドクダミか、学名 : Saururaceae )は、コショウ目 に属する科 の1つである。多年草 であり、精油 を含み、葉 は単葉 で互生 する。個々の花 は小さく花被 を欠き、雄しべ と雌しべ だけからなる。しばしば花序 (花の集まり)の基部に花弁状の白い苞をもち、花序全体が1個の花のように見える(図1)。北米 および東アジア から東南アジア に分布し、4属6種ほどが知られる。日本ではドクダミ とハンゲショウ が生育している。
特徴
地下茎 が発達した多年草 であるが[ 3] [ 2] [ 4] [ 5] [ 6] 、アネモプシス属は比較的発達した維管束形成層 をもつ[ 7] 。茎 の維管束 は1–2輪に配置している[ 3] [ 5] [ 7] 。節は多隙性 (5–9) 多葉跡 (7–9)[ 7] 。葉 は互生 し、単葉 、葉縁 は全縁、葉柄 の向軸側 に托葉 がついている[ 3] [ 2] [ 4] [ 5] [ 6] [ 8] 。葉脈 は掌状から羽状[ 7] [ 9] (下図2)。気孔 は cyclocytic[ 9] 。精油 細胞をもつ[ 4] [ 5] [ 6] 。集晶または砂晶をもつ[ 7] 。フラボノイド 、ロイコアントシアニジン を有し、エラグ酸 、サポニン を欠く[ 7] [ 9] 。
花序 は穂状 または総状 (下図3)、頂生または葉に対生状につく[ 3] [ 7] 。しばしば花序の基部にある苞 [ 注 1] が白色で花弁状になり、花序全体が1個の花のように見えることがある[ 2] [ 4] [ 5] [ 6] (下図3a, b)。花 は小型で両性、基部に苞 (小苞、ときに不明瞭)がつき、花被 を欠く[ 3] [ 2] [ 4] [ 5] [ 6] (下図3a, d)。雄しべ は3–8個、花糸は糸状、ときに基部で雌しべ に合着する[ 3] [ 2] [ 4] [ 5] [ 6] [ 7] [ 9] 。葯は2室で縦裂する[ 2] [ 4] [ 5] [ 6] 。タペート組織は分泌型[ 9] 。小胞子形成は同時型[ 7] 。花粉はボート形、小型(20 µm 以下)、2細胞性[ 7] [ 9] 。雌しべ は離生または合生(1室)、心皮 は3–5(–7)個、雄しべと対生し、子房上位から下位[ 3] [ 2] [ 4] [ 5] [ 6] [ 7] 。柱頭は乾性[ 7] [ 9] 。胚珠 は直生または半倒生、1心皮あたり2–13個、縁辺胎座 または側膜胎座 [ 3] [ 2] [ 4] [ 5] [ 6] [ 9] 。果実 はさく果 または分離果 (単位となる分果は非裂開果)[ 3] [ 2] [ 4] [ 5] [ 6] [ 9] 。種子 はほぼ球形、種皮は膜質、外胚乳 (周乳)が発達し、胚 は小さい[ 3] [ 2] [ 4] [ 5] [ 6] 。
分布・生態
4 . 葦毛湿原 のハンゲショウ
北米 南部および東アジア から東南アジア の温帯 から熱帯 域に分布する[ 1] [ 7] 。
多くは湿った場所に生育する[ 3] [ 5] (図4)。
人間との関わり
ドクダミ は日本では雑草 として極めて身近な存在であるが、ハーブや食用野菜に利用されることがある(どくだみ茶、爽健美茶 、ベトナム料理 など)[ 14] [ 15] [ 16] [ 17] [ 18] (図5a)。ドクダミやハンゲショウ はときに生薬 とされる[ 17] [ 18] [ 19] 。またドクダミやハンゲショウは観賞用に栽培されることがあり、園芸品種も存在する[ 20] [ 21] (図5b)。
分類
ドクダミ科は単純な花などの特徴から古くから認識されていたグループであり、同様に花被を欠く花をつけるコショウ科 とともにコショウ目 に分類されていた(新エングラー体系 、クロンキスト体系 など)[ 22] [ 23] [ 24] [ 25] 。またコショウ目の植物は、モクレン科 やクスノキ科 など原始的と考えられてきた木本 類と同様に精油 をもつため、"原始的"な被子植物 の一群と考えられ、古草本類 (paleoherb) ともよばれていた[ 26] 。
やがて20世紀末以降の分子系統学 的研究によって、ドクダミ科はコショウ科 に近縁であることが確認され、また同様に古草本類として扱われていたウマノスズクサ科 も近縁であることが示された。2020年現在ではこれら3科はコショウ目 にまとめられている[ 7] [ 8] [ 27] 。またコショウ目はモクレン目 やクスノキ目 などとともに単系統群を構成し、被子植物の初期分岐群の1つであることが示唆されており、この系統群はモクレン類 (magnolids) とよばれている[ 7] [ 8] [ 27] 。
2020年現在、ドクダミ科には4属6種ほどが知られている[ 1] [ 7] (下表1)。分子系統学的研究からは、アネモプシス属とドクダミ属、ハンゲショウ属とギムノテカ属がそれぞれ単系統群を構成することが示唆されている[ 7] [ 28] (図6)。ただし前者の単系統性は支持されないこともある[ 29] 。
脚注
注釈
出典
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