ティーバッグティーバッグ(Tea bag)は、紅茶の葉か抽出物を含む小さな袋である。紅茶を抽出した後に茶漉しを使うことなくお茶を飲むことができるようになっている。 概要これらは、簡便に茶を淹れるために利用されているもので、合成繊維などからなる布ないし不織布の袋に茶の葉が封入されており、これを熱湯に浸したり煮出したりして利用する。紅茶の葉が入っているものが一般に多く流通しているが、後述するように紅茶以外の製品もみられる。 イギリスやアメリカ、日本、ヨーロッパなどでは1杯ずつ抽出できるものが一般的であるが、カナダではティーポットに入れて使う大柄なティーバッグが主流である。 日本では紅茶だけでなく緑茶など他の茶のティーバッグも存在するほか、ヨーロッパでは果物やハーブティなど多様なティーバッグが存在する。近年では中国茶もティーバッグで販売されているものもあり、多様である。 またこの他、出来合いのものだけではなく、消費者が任意の内容物を入れて使うための不織布の袋も見られ、この使い捨ての製品は、大判のものでは出汁を取るためにも利用される。 沿革ティーバッグは1908年にコーヒー貿易商であるトーマス・サリヴァンによって偶然に発明されたというのが定説となっている[1]。商品サンプルの紅茶の葉を絹[1](木綿とも[2])の袋に詰めて小売業者に送ったところ、そういう商品だと勘違いされて、その袋のままお湯につけて紅茶を煮出してしまったのである[2]。それがティーバッグの始まりと言われている[2]。 やがてティーバッグの素材はろ紙に代わり、1920年代には、ティーバッグは広くアメリカで販売されている[3]。1950年代からイギリスでも販売されたものの最初のうちは人気がなく1963年には3%ほどのシェアにとどまっていたが、時代と共に徐々に浸透していき、2001年現在[4]ではイギリスで消費される紅茶の90%はティーバッグを使って作られている[5][6]。 日本では1965年ごろより10年ほどかけて普及するようになった。最初は麦茶のティーバッグという形であった。なお、この時の麦茶のティーバッグは2013年現在も同じ形態で販売されている。[2] レクリエーションと実用装飾的なティーバッグは大規模なコレクションの基礎となっており、多くのコレクターが世界中からティーバッグを集めている[7]。ティーバッグ・コレクター・クラブは世界中にあり、会員は紅茶に関連した品物に興味を持つ人々である。オンラインコレクタークラブには、ティーバッグカタログ やコレクション追跡ツールが含まれていることが多い。さらに、ティーバッグのコレクターは、ラベルなど、お茶に関連する品々を集めることも多い[8]。これらのウェブサイトは、コレクター間の議論や取引の取り決めのためのフォーラムも提供している。 フォームと素材伝統的に、ティーバッグは濾紙から作られている。濾紙は木と植物の繊維の混合物で、ミルクやコーヒーのフィルターに使われている紙のようなものだ[9][10][11]。後者は、主にフィリピンとコロンビアで繊維用に栽培されているプランテーション・バナナの一種であるアバカ麻の漂白パルプである。ティーバッグの内面には、PVCやポリプロピレンなどの熱溶着可能な熱可塑性プラスチックが繊維成分として使用されているものもあり、完全な生分解性はない[12][13][14]。 1997年、PGティップスブランドから4面ティーバッグが発売された[15]。通常はナイロン、ソイロン(コーンスターチから作られたPLAメッシュ)、またはシルクで作られている。ナイロンは生分解性がないので、環境保護論者はシルクを好む[16][17]。一方、PLAは生分解性はあるが、堆肥化はできない。 消費者は空のティーバッグに自分で茶葉を入れることもできる。これらは通常、長いフラップが付いたオープンエンドのバッグである。袋に適量のルーズリーフ・ティーを入れ、フラップを袋の内側で閉じることで茶葉を固定する。 現況適切に製造されたティーバッグは、お茶の葉が遊泳する適度な空間があり、美味しい紅茶を抽出することができる。しかし、雑多な種類から適当に混ぜられた小さな固い葉が入れられている場合、タンニンが多く抽出されてしまい渋い紅茶になってしまう。 従来のティーバッグは四角、もしくは角ばった形である。しかし、最近では丸みの帯びたものや、いわゆるテトラパック(三角錐)型のティーバッグが売り出されている。 脚注
参考文献
関連項目 |