チャンピオンマンガ科

チャンピオンマンガ科
ジャンル ハウツー(漫画制作)
漫画:まんが 入門編・実技編
/ 藤子不二雄まんがスクール
作者 藤子不二雄
(掲載当時は「藤子不二雄」名義)
出版社 秋田書店
その他の出版社
若木書房中央公論社
掲載誌 週刊少年チャンピオン
レーベル ものしりシリーズ100(若木書房)
F・Fランドスペシャル(中央公論社)
発表号 1970年4月1日号 - 1972年7月16日号
巻数 全2巻(若木書房)
単巻(中央公論社)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

チャンピオンマンガ科』(チャンピオンマンガか)は、秋田書店発行の漫画雑誌週刊少年チャンピオン』で藤子不二雄を講師として1970年から1972年まで連載されていた漫画の描き方講座である。

概要

1970年7号(4月1日号、開始時は隔週刊)から、原則として1回当たり5ページ(扉絵込みで本編3ページ・『マンガ道』2ページ)で連載された。掲載誌各号の巻末目次においては連載漫画の扱いではなく、読物記事とされている。各回のカウントは「第○課」。

主執筆者は安孫子素雄(藤子不二雄)だが『パーマン』や『21エモン』など藤本弘(藤子・F・不二雄)の作例が掲載されることもあった。また、連載終盤では安孫子と藤本が中学生の時に作った同人誌『少太陽』が紹介されている[1]

連載2回目からは後半の2ページが『漫画家修行 マンガ道』と題した講師の自伝的な内容の漫画となり、後年にこの部分がまとめられて『まんが道』第1部「あすなろ編」となった。掲載誌発行元の秋田書店が「新入門百科」の1冊として書籍化したのは『まんが道』の部分のみで、講座部分は1976年若木書房「ものしりシリーズ100」から『まんが 入門編』と『実技編』の全2巻で刊行された。1984年に創刊した中央公論社の『藤子不二雄ランド』では、各巻の巻末連載扱いで『藤子不二雄まんがスクール』の題名で加筆・訂正を施して再掲され、1986年に「レーベル通巻100冊達成記念」として別巻(F・Fランドスペシャル)で収録されている。

漫画制作の解説本コレクターとしても知られ、2015年に『暇なマンガ家が「マンガの描き方本」を読んで考えた「俺がベストセラーを出せない理由」』を刊行した漫画家の上野顕太郎は数ある「マンガの描き方本」の中でも『まんが 入門編・実技編』を特に高く評価しており[1][2]アニメーション作家の稲葉卓也も小学生の頃に購入した『藤子不二雄まんがスクール』を今なお実務で参照することをインタビューで明かしている[3]

内容

各回のタイトルは若木書房版による。F・Fランドスペシャル版『藤子不二雄まんがスクール』では、実技編に若干の追加がある(91以降のカッコ内がFFランド版の番号。1〜90は共通)。

入門編

回数 タイトル
1 きみもマンガがかける①
2 きみもマンガがかける②
3 道具がなくてはマンガがかけない
4 原稿用紙はゼイタクに
5 道具はうまく使え
6 マンガをかきたくなる環境をつくろう
7 資料集めも技術のうち
8 資料をうまく使おう
9 アイデアがなくてはマンガはかけない
10 マンガを字でかく
11 アイデアをコマわりする
12 話題のニュースからアイデアちょうだい
13 珍コレクションもアイデアの素
14 珍発明はマンガのくんれん
15 アイデアのもとから作品となるまで
16 人の一生はドラマだ
17 自分の経験をマンガにしよう
18 自分の夢をマンガ化しよう
19 人の性格もマンガになる
20 フィクションとノンフィクション
21 つくったものにリアリティーを
22 いったことのない所やったことのないことをかくときは
23 ストリーには心(しん)がいる
24 一コママンガから長編まで
25 作品のタイトルは名前なのだ
26 扉は作品の顔である
27 セリフはだいじ
28 セリフにも下がきがいる
29 ナレーションはただの説明にしないで
30 下がきのかき方にもいろいろある
31 下がきのとり方
32 ペン入れは線に注意
33 ペンタッチのいろいろ
34 キャラクターは作品の顔だ
35 キャラクターにモデルを使おう
36 ワキ役に注意
37 顔の研究
38 顔もだいじだがスタイルもだいじ
39 コスチュームももちろんだいじ
40 女の子をかわいくかけるととくである
41 マンガの中で衣装ディザイナーになろう
42 人のからだは自由に動く
43 とまっているものを動かす
44 映画構図と舞台構図
45 映画監督のつもりでマンガをかこう
46 動きのない場面はむずかしい
47 動きのつぎには間をつくれ
48 物のかたちを正確につかむには
49 アッサリかくことはむずかしい
50 背景もだいじな登場人物だ
51 背景のほうが人間よりだいじなこともある
52 ゆがんだ背景もテクニックのひとつ
53 建物もだいじなキャラクター
54 木一本で道具も変わる
55 背景をかくときは遠近法で
56 マンガは白と黒の二色カラーだ
57 影をうまく使おう
58 書文字をバカにするな
59 スクリーン・トーンの使い方
60 原作つきマンガのすすめ
61 盗作やって勉強しよう

実技編

回数 タイトル
62 ギャグ道か劇画道か
63 まずミニ・キリをかこう
64 ギャグは自分にあうものを
65 ギャグは連鎖反応で
66 選手が変わればギャグも変わる
67 ギャグのセリフについて
68 男はだまってサイレント・ギャグ
69 ドタバタマンガをかこう
70 オチがギャグのラストをしめる
71 なんでもかんでもギャグ化
72 オカシサとコワサは紙一重
73 ブラック・ユーモアとは
74 ギャグと劇画をいっしょに
75 劇画タッチはリアルなタッチ
76 写真そのままではダメ
77 カッコいいだけが劇画ではない
78 推理マンガはむずかしい
79 写真マンガにセンスをつくる
80 女の子を自由にかきこなす
81 少女マンガを研究しよう
82 仮面の魅力とは
83 カバのさかだち
84 怪物づくりは頭の体操
85 ヘンシーンのいろいろ
86 アニメーションに学ぼう
87 アニメーションの動きとマンガの動き
88 マンガがテレビになるまで
89 漫景をかいてみよう
90 わが町をマンガ・ルポしよう
(91) ハワイのアイディアまんが家たち
(92) アメリカン・コミックのできるまで
91(93) ルポ・マンガのコツ
92(94) ルポ・マンガではマンガのつよみをだそう
93(95) マンガチックな図鑑をつくってみよう
94(96) カットはマンガセンスを養う
95(97) ハメ絵でたのしく
(98) 図解もまんがの一種
96(99) 似顔をかこう
97(100) マンガ日記をつけよう
98(101) 年賀状にもマンガをかこう
99(102) ひとりでも同人雑誌をつくれる
(103) 三代でまんががどう変わったか
100(104) マンガ家への道

書誌情報

『漫画家修行 マンガ道』部分の書誌情報はまんが道#単行本を参照。

若木書房版
  • 若木書房〈ものしり100シリーズ〉15・16
  1. まんが 入門編 きみもまんががかける! 1976年6月20日初版 全国書誌番号:76001456
  2. まんが 実技編 プロまんが家への道 1976年9月20日初版 全国書誌番号:76001457
『実技編』には藤子「トキワ荘物語」(初出:虫プロ商事『COM1969年12月号)、藤子F『スタジオ・ボロ物語』(初出:集英社別冊少年ジャンプ1973年9月号)を収録。
F・Fランドスペシャル版
  • 『藤子不二雄まんがスクール』中央公論社〈中公コミックスF・Fランドスペシャル〉
1986年8月29日初版 ISBN 4-12-410310-7
巻末に作例解説付きで藤子の短編『不思議町怪奇通り』と藤子F『ドラえもん』の「地球製造法」を掲載。

関連書籍等

まんがのかき方全百科

「藤子不二雄」名義による漫画制作の教則本としては、他に小学館1979年に刊行したコロタン文庫(34)『まんがのかき方全(オール)百科』がある。本文中の作例は藤子と藤子Fの両方の作品から採られているが、本編中の漫画は方倉陽二が描いている。

  • 藤子不二雄『まんがのかき方全百科』小学館〈コロタン文庫〉34
1979年7月20日初版 ISBN 4-09-281034-2
藤子不二雄まんがゼミナール
藤子と藤子Fが「藤子不二雄」の共有名義を1987年に解消した直後の1988年に、小学館から『藤子不二雄まんがゼミナール』が刊行された。初版では1年間しか使用しなかった「藤子不二雄」名義を冠しているが、重版分から「藤子・F・不二雄」に改題されている。2014年には藤子・F・不二雄大全集で『恐竜ゼミナール』と併せて収録された。
  • 『藤子不二雄まんがゼミナール』小学館〈てんとう虫ブックス〉
1988年8月20日初版 ISBN 4-09-230513-3
  • 『藤子・F・不二雄 まんがゼミナール/恐竜ゼミナール』小学館〈藤子・F・不二雄大全集〉
2014年7月25日初版 ISBN 978-4-09-141810-4
藤子不二雄のまんが入門
1989年大陸書房から発売された全2巻のビデオ教材で、藤子本人が講師役として出演している[4]。ビデオ中で登場するオリジナルキャラクターのガンマ君も藤子のデザインで、野沢雅子[4]
収録時間は基礎編・実践編とも各30分で、1巻当たり1800円と当時のビデオ教材としては低廉な価格帯での発売だった[4]
  • 『藤子不二雄のまんが入門』大陸書房〈PYRAMID VIDEO BOOKS〉、全2巻
  1. 基礎編 1989年2月13日発売 ISBN 4-8033-1924-3
  2. 実践編 1989年2月13日発売 ISBN 4-8033-1925-1

出典

関連項目