ダットサン・サニーキャブ/日産・チェリーキャブ
サニーキャブ / チェリーキャブ(SUNNY CAB / CHERRY CAB)は、日産自動車が発売していたキャブオーバー車。トラック型のほか、ワンボックス型にはライトバンとルートバン、乗用登録のコーチがある。 日産自動車の販売チャンネル「サニーキャブ(サニー店)」、「チェリーキャブ(チェリー店)」向けに、それぞれの専売モデルとして発売された。 「キャブライト」から「キャブスター」へのモデルチェンジの際に車格が上がったことから、その穴埋めと、愛知機械のコニー、コニーワイドの生産終了も見越した軽貨物からの移行組を含む新規顧客の獲得を目的として開発された。当初よりライトバンやコーチ(ワゴン)をラインナップすることや、積載量などから、販売店は異なるが、実質的にはキャブライト(日産店扱い)の後継車といえる。 後継車は日産店向けを加えた「サニーバネット」、「チェリーバネット」、「ダットサン・バネット」となり、1967年(昭和42年)11月にトヨタとダイハツが提携したことで激化した、小型商用車のシェア争いに対応した。 概要ダットサン・サニー(B10型系)のバリエーションとして、1969年にデビュー。バリエーションではあるが、セダンやクーペといった他のシリーズと異なる独自のメカニズムを持ち、独自の歴史を歩んだ。 それまでのダットサンブランドのセミキャブオーバー車は、ダットサントラックやダットサン・セダン、ブルーバードのコンポーネンツが流用されていたが、ここで初めてサニーをベースとしたキャブオーバー車が開発された。 A10型(1000cc)エンジンをはじめ、横置きリーフスプリングのウィッシュボーン式フロントサスペンションなど、メカニズムは初代サニー(B10型)のものを利用し、コンベンショナルな後輪駆動の600kg積キャブオーバートラック(定員2名)、上下2枚開きのリアゲートを持つ500kg積ライトバンとルートバン(2/5名)、8人乗りコーチ(2・3・3人掛けの3列シートワゴン)とした。エンジンとラジエーターの位置は前席下であるが、フロントアクスルを前方に配置し、ホイールベースが長く採られている。トランスミッションは、コラムシフトの4速MTのみである[2]。 インテリアも細身の2本スポークのステアリング・ホイールや、横長矩形のメーターパネルなど、一部のスポーツ系を除くサニーの意匠に合わせられた。シートはバケット型のセパレートシートを採用した[2]。 外観はグリルレスで、光りものもヘッドランプリムとその間のモールだけと簡素で、平面的なキャブ構成と相まって非常に簡潔なデザインとなった。このモールはベンチレーター用エアインテークの目隠しも兼ねる。前面下部とバンパーには冷却気を導入する長穴が備わる。 バンとコーチはこの前面に揃えたモールが全周に入っており、リアドアはスライド式で左側のみに備わる。リアドアのアウタードアハンドルが後ろ(Cピラー)側に配置されていることが特徴であるが、これは、スライド式のプラグドアに付きものの、二方向へ力が分散する(ドア後端の軌跡が屈曲する)ことによる扱いづらさを軽減するもので、力任せに閉める必要が無いことから、けがや荷はさみをも防止できる優れたアイディアであった。しかし、その後のワンボックスカーでは、ラッチ・ロック機構とプルハンドルを前方一箇所でまとめる方式が主流となり、他車への波及は見られなかった。バックドアは8:2分割の上下開きで、下扉の開き位置は通常では水平であるが、両側のステーを外すことで「アオリを切る」(トラック同様のドロップゲートとして、真下に向ける)ことができ、より荷室の広い範囲に手が届くように配慮されている。 歴史
関連項目
脚注
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