タンカン
タンカン(桶柑、短柑、学名:Citrus tankan)は、ミカン科の常緑樹。ポンカンとネーブルオレンジの自然交配種のタンゴール (tangor) の一種である。 概要タンカンには「桶柑」(タンカン、台湾語:tháng-kam、タ̣ンカㇺ)の字があてられており、中国で行商人が木桶で持ち歩いたがこの由来とされる。また「短柑」、「年柑」などとも呼ばれる。 中国広東省が原産地で、1789年に台湾北部の新荘に導入された。日本には1896年(明治39年)頃に台湾から奄美大島を始めとする南西諸島へ移植された。1929年(昭和9年)頃に本格的な栽培が始まった。 現在の主な産地は中国広東省、福建省、台湾中・北部、日本の鹿児島県の屋久島、奄美大島などと沖縄県である。 生態高温を好む亜熱帯性柑橘類で、夏期多湿で年平均気温が19 - 22度が良いとされる。花期は4月頃、収穫時期は1月で、冬の果物である。 種からも育つが、栽培用の繁殖は接ぎ木によって行われ、台木としてサンキツ(酸橘、Citrus sunki)の他、ラングプールライム(黎檬、Citrus limonia)、オレンジ(橘橙、Citrus sinensis)なども用いられる。 品種台湾では栽培品種として普通桶柑、海梨柑、高墻桶柑、六月桶柑などに細分され、収穫時期はこの順で遅れる。高墻桶柑は大型で色が濃く、糖度の高い実が生り、病気にも強いため、台湾での栽培の主流となっている。その中でも大春種は宜蘭県で発見された優良品種で、種無しで甘い特徴を持つ。
利用果実を食用にする。果皮の厚さは3 - 4 ミリメートル。皮と果肉が離れにくいことが欠点であるが、ポンカンやネーブルオレンジと同じく、瓤嚢(じょうのう。半月形の袋)の膜が柔らかく、難なく食べることができる。果肉はオレンジ色で柔らかく多汁、酸味は少なく甘味に富み風味が良い[3][4]。 台湾における2015年の収穫量は52,023トンで、内47%が新竹県、19%が苗栗県、18%が台中市であった[5]。 日本における2010年の収穫量は5,222トンであり、その内訳は鹿児島県80%、沖縄県18%である[6]。 加工食品果汁を絞り瓶詰めなどのジュースとして販売したり、シャーベット、アイスクリーム、ゼリー、蒸しパン、ケーキなど、風味付けとして加えた食品が製造されている。 果皮は、奄美大島では刻んで薬味として用い、奄美料理の鶏飯の風味付けなどに使われる。また、オレンジピールの様に、砂糖で煮て菓子にすることもできる。 奄美大島ではタンカンの果肉を奄美黒糖焼酎に漬け込んだリキュールが「たんかん酒」の名で製造販売されている他、家庭でも作られている。 脚注
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