『ソールズベリー』(Salisbury)は、イギリスのバンド、ユーライア・ヒープが1971年に発表した2作目のスタジオ・アルバム。
背景
ナイジェル(オリー)・オルソンがエルトン・ジョンのバンドに再加入したのに伴い、本作ではキース・ベイカーがドラマーとして迎えられたが、ベイカーは本作を最後に脱退した[4]。
クレジットには明記されていないが、「黒衣の娘」ではキーボーディスト/ギタリストのケン・ヘンズレーがリード・ボーカルも兼任しており、ヘンズレーによれば、バンドの正式ボーカリストであるデヴィッド・バイロンがこの曲を毛嫌いして、プロデューサーのジェリー・ブロンの提案により、ヘンズレーが歌うことになったという[5]。タイトル曲は16分に及ぶ大作で、外部ミュージシャンによる金管楽器・木管楽器のアンサンブル(アレンジはジョン・フィディーによる)が導入されている。ただし、ヘンズレーは後年のインタビューで「馬鹿げた金管・木管楽器を導入してレコーディングされる前に、ライブで演奏していた頃の方が良かったよ。私達は『ソールズベリー』の頃、音楽的に自信をつけつつあって、色々と実験してみたのさ」とコメントしている[6]。2003年リマスターCDにボーナス・トラックとして追加された「ヒア・アイ・アム」は、本作のセッションで録音されたアウトテイクで、1991年にテープが発見され、ヘンズレーは「多分ジェリー(・ブロン)が、このアルバムには合わないと判断したんだと思う。アルバムにもう少しスペースがあれば、うまく嵌ったんじゃないかな」とコメントしている[2]。
イギリス盤LPの冒頭に収録された「肉食鳥」は、元々は前作『ユーライア・ヒープ・ファースト (...Very 'Eavy Very 'Umble...)』からのシングル「ジプシー」のB面曲として発表され、『ユーライア・ヒープ・ファースト』のアメリカ盤LPにも収録された[7]。その関係で、本作のアメリカ盤LPは「肉食鳥」が外されて「サイモン・ザ・バレット・フリーク」に差し替えられており、ジャケット・デザインもイギリス盤と異なる[8]。
反響
アメリカでは、1971年3月6日付のBillboard 200で最高103位を記録した[3]。一方、母国イギリスでは全英アルバムチャート入りを逃した[9]。
日本盤LPは、次作『対自核』の日本初回盤よりも後の1972年6月10日に発売され、オリコンLPチャートでは12週トップ100入りして、最高47位を記録した[1]。
評価
Donald A. Guariscoはオールミュージックにおいて5点満点中2.5点を付け「レコードの片面では個々の楽曲を押し出し、もう片面は長大かつ絢爛な大作で占めて、バンドのプログレッシブ・ロック的な方向性を示した」「一般的なリスナーにとっては、焦点が絞り切れていない作品と映るかもしれないが、ユーライア・ヒープの作品のコレクターにとっては、十分に強力な曲が並んでいる」と評している[8]。Eduardo Rivadaviaは、Ultimate Classic Rockの企画「ユーライア・ヒープの楽曲トップ10」において「肉食鳥」を2位に挙げ「ユーライア・ヒープの作品の中で最もドラマティックな曲の一つであり、全体像は初期ヘヴィメタルと言える」と評している[7]。
収録曲
特記なき楽曲はケン・ヘンズレー作。
- 肉食鳥 - "Bird of Prey" (Mick Box, David Byron, Paul Newton) - 4:14
- 公園 - "The Park" - 5:44
- 生きる - "Time to Live" (M. Box, D. Byron, Ken Hensley) - 4:03
- 黒衣の娘 - "Lady in Black" - 4:42
- 尼僧 - "High Priestess" - 3:41
- ソールズベリー - "Salisbury" (M. Box, D. Byron, K. Hensley) - 16:17
1996年リマスターCDボーナス・トラック
- "Simon the Bullet Freak" - 3:27
- "High Priestess (Single Edit)" - 3:14
2003年リマスターCDボーナス・トラック
- サイモン・ザ・バレット・フリーク(USアルバム・ヴァージョン) - "Simon the Bullet Freak (US Album Version)" - 3:27
- ヒア・アム・アイ(未発表アウトテイク・ヴァージョン) - "Here Am I" - 7:50
- 黒衣の娘(未発表オルタネイト・ヴァージョン) - "Lady in Black (Previously Unreleased Alternate Version)" - 3:33
- 尼僧(シングル・エディット・ヴァージョン) - "High Priestess (Single Edit)" - 3:38
- ソールズベリー(未発表エディット) - "Salisbury (Previously Unreleased Edit)" (M. Box, D. Byron, K. Hensley) - 4:21
- 公園(未発表ヴァージョン) - "The Park (Previously Unreleased Version)" - 5:18
- 生きる(未発表ヴァージョン) - "Time to Live (Previously Unreleased Version)" (M. Box, D. Byron, K. Hensley) - 4:14
アメリカ・カナダ盤LP
1990年にマーキュリー・レコードから発売されたアメリカ盤CD (811 389-2)も、同様の内容・曲順となっている[10]。
- Side 1
- "High Priestess" - 3:39
- "The Park" - 5:38
- "Time to Live" (M. Box, D. Byron, K. Hensley) - 4:02
- "Lady in Black" - 4:43
- Side 2
- "Simon the Bullet Freak" - 3:25
- "Salisbury" (M. Box, D. Byron, K. Hensley) - 16:22
カヴァー
参加ミュージシャン
アディショナル・ミュージシャン
- ジョン・フィディー - 管楽器アレンジ(on "Salisbury")
脚注
外部リンク
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