ゼンテイカ
ゼンテイカ(禅庭花)はワスレグサ属の多年草。一般的にはニッコウキスゲ(日光黄菅[4])の名前で呼ばれる[5]。花が咲く時期も近く、外見もユリに似ているが互いに別の種。また、各地で別々に同定されたため、和名、学名ともに混乱が見られる[6]。別名はニッコウキスゲのほか、エゾゼンテイカ、センダイカンゾウともよばれる[1]。地方により、ヤマガンピョウ、オゼカンゾウなどともよばれている[4]。 概要日本の本州中部地方以北から東北地方の海抜1000メートル (m) 以上の高山地帯に生える多年草である[4]。本州などでは高原に普通に見られるが、東北地方や北海道では海岸近くでも見られる。関東では低地型のムサシノキスゲや、奥多摩、埼玉、茨城県でも低地型の自生のニッコウキスゲが見られる。日光の霧降高原、尾瀬ヶ原、霧ヶ峰などの群落が有名である[4]。花が黄色で葉がカサスゲ(笠萓)に似ているため、地名を付けてニッコウキスゲと呼ばれだし、全国に広まった。ただし、栃木県日光地方の固有種というわけではなく、ゼンテイカは日本各地に普通に分布している。 雪解けの春を迎えるころに、鮮やかな広線形の葉を左右2列に扇形に広げた若芽を出す[4]。 花期は初夏から夏にかけて(5月上旬から8月上旬)[4]。草原・湿原を代表する花で、群生すると山吹色の絨毯のようで美しい。高さは50 cmから80 cmほどになる花茎を伸ばして、花茎の先端に数個つぼみをつけて、黄橙色の6弁花を次々に咲かせる[4]。花はラッパ状で、大きさは10センチメートル (cm) ぐらい。花弁は見た目は6枚だが、うち3枚は萼が変化した物なので実際は3枚花弁。朝方に開花すると夕方にはしぼんでしまう一日花である[4]。ムサシノキスゲは開花の翌日まで開花する。 日光地方では、霧降高原を中心に「日光キスゲまつり」が毎年開催されている。府中市 (東京都)では、ゴールデンウィークの頃に「キスゲフェスティバル」が開催される。 分類本種は、分類の紆余曲折のため和名・学名ともに混乱が見られる。 本種の学名は、1925年に小泉らによりH. esculentaとされた[7]。 1949年、大井により、当時はmiddendorffiiと分類されていたエゾカンゾウの変種middendorffii var. esculentaとされた[8]。次に1964年、北村らによりヒメカンゾウの変種とされ、H. dumortieri var. esculentaとされた[9]。また、ゼンテイカ群の分子系統学的解析を行っている野口(1988)[10]は、大井の見解を受けてH. middendorffiiとしている[11]。 保護上の位置づけ本種自体は普通種であり、個体や群落自体が保護されているものではないが、天然記念物指定地域に多く群生している。
参考: 国指定植物天然記念物 ゼンテイカ群とその近縁種
利用園芸植物として植栽される。特に近年は園芸種として幅広く流通しており、ニッコウキスゲの名で花店やホームセンターの園芸コーナーでも良く見かけるほどまでになっている。 5 - 6月ごろの若芽、つぼみは同じ仲間のヤブカンゾウと同様に食用になる[4]。採取は蕾を少量とるくらいに控えるのがマナーとされており、国立公園などでの採取は厳禁である[4]。また、台湾では金針または黃花菜の名で食用とされる。若芽はヤブカンゾウと同じようにほのかな甘みがあり、食べるときはおひたし、マヨネーズあえ、辛子和え、煮浸しにする[4]。蕾は熱湯にくぐらせて、酢の物やサラダにする[4]。 参考文献
脚注
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