セスナ 500 サイテーション I は、カンザス州 ウィチタ のセスナ・エアクラフト・カンパニー が生産する小型のビジネスジェット であり、ターボファン を動力とする最初のモデルである。サイテーション I は、セスナ サイテーション シリーズの基盤となった。サイテーション I/SPは、パイロットを一人にした派生機である。
設計と開発
ファンジェット 500
1968年10月、セスナは、ライバルとは異なり、既存のビジネスジェット市場ではなく、より小規模な飛行場での運用に向く、小型から中型の双発ターボプロップ 機市場で競争することを目的に、8座席のビジネスジェットを生産する計画を発表した。プロトタイプ 機の初飛行は1年も経たない1969年9月15日に行われ、その後ファンジェット 500 と名付けられた。[ 2]
500 サイテーション
セスナ 500 サイテーション
オランダ の外務大臣 が搭乗 (1975年)
エプロン での姿
予定よりも長くかかった飛行試験計画の最中、サイテーション 500 という名前が試行的に付けられ、いくつかの設計変更が行われた。その後、完成した航空機はサイテーション (モデル 500) という名前でお披露目され、1971年9月にFAA (連邦航空局 ) の型式証明 を受けた。この機は、T-37 ツイート という双発のジェット練習機 での経験を踏まえて、2基のプラット・アンド・ホイットニー 製JT15D -1ターボファンエンジンを動力にしている[ 3] 。
ターボジェット の代わりにターボファン を、後退翼 の代わりに直線翼 を用いたことで、他のビジネスジェット に比べてスピードは遅くなった。そのため、リアジェット の営業マンは、後方からのバードストライク に弱い「Nearjet」と馬鹿にした。セスナはサラブレッド にちなんでサイテーションと改名したが、「Slowtation」とのあだ名が付けられた[ 3] 。
500 サイテーション I
1976年、市場の圧力を受けて複数の改良が加えられた。その改良には、翼を13.4mから14.4mへ伸ばしたこと[ 4] や、最大総重量の増加、より短い滑走路に降りられる逆推力装置などがある。これらの改良と共に、サイテーション I という名前が付けられた[ 2] 。モデル 500の生産が1985年に終了するまでに、377機が生産された[ 5] 。
501 サイテーション I/SP
サイテーション I は、リアジェットと同様に2人の乗員を必要としていた。しかしサイテーションは、パイロット1人で飛行できる双発ターボプロップ 機と市場で競合するため、パイロットが2人必要という規制に市場拡大を邪魔されていた。
セスナの解決策は、モデル 501 サイテーション I/SP であった。この機はパイロット1人で操縦できる認証を受けており、SPはSingle-Pilotの頭文字である。最初の機体は1977年前半に引き渡され、1985年に生産が終了するまでに312機が生産された[ 2] [ 6] 。
運用者
民間運用者
ノルウェー
軍
アルゼンチン
中華人民共和国
エクアドル
メキシコ
ベネズエラ
事故
スペック (サイテーション I)
出典: Jane's Civil and Military Aircraft Upgrades 1994-95 [ 10]
諸元
乗員: 2人 (I/SPは1人)
定員: 最大7人[ 11]
全長: 13.26m (43 ft 6 in)
全高: 4.37m (14 ft 3 in)
翼幅 : 14.35m(47 ft 1 in)
翼面積: 25.9m2 (278.5 ft2)
空虚重量 : 3,008 kg (6,631 lb)
最大離陸重量 : 5,375 kg (11,850 lb)
動力: プラット・アンド・ホイットニー・カナダ JT15D -1B ターボファン 、9.77 kN (2,200 lbf) × 2
性能
最大速度: マッハ 0.705 (高度 8,530 m 以上で)
巡航速度: 662 km/h (357 ノット) (高度 10,670 m で)
失速 速度: 152 km/h (82 ノット)
航続距離: 2,459 km (1,328 海里) (残燃料45分、最大燃料搭載、 積載 709 kg)
実用上昇限度: 12,495 m (41,000 ft)
上昇率: 13.8 m/s (2,719 ft/min)
関連項目
関連する開発
出典
^ “500-Series Technical Review ”. Textron Aviation (2015年4月28日). 2016年3月4日時点のオリジナル よりアーカイブ。2017年8月27日閲覧。
^ a b c “Cessna 500 & 501 Citation, Citation I & Citation I/SP ”. Airliners.net . 2017年8月27日閲覧。
^ a b William Garvey (2017年2月10日). “Can A Cessna Succeed The G450?” . Aviation Week & Space Technology . http://aviationweek.com/business-aviation/can-cessna-succeed-g450
^ Taylor, J.W.R. (editor) Jane's All the World's Aircraft 1976-77 . London: Macdonald and Jane's, 1976. ISBN 0-354-00538-3 , p.275.
^ Citation I info from Aviation Safety Network
^ Citation I/SP info from Aviation Safety Network
^ Flores, Santiago A. "From Cavalry to Close Air Support". Air International. May 2001, Vol. 60, No. 5, ISSN 0306-5634 , p. 301.
^ NTSB Thurman Munson accident brief
^ Michell, Simon. Jane's Civil and Military Upgrades 1994-95 . Coulsdon, Surrey UK:Jane's Information Group, 1994. ISBN 0-7106-1208-7 . p.300-301.
^ "Cessna Citation I Cabin" , JetAdvisors. (2017年8月27日閲覧).
参考文献
The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024 . Routledge. ISBN 978-1-032-78004-7