『スリル・ミー 』(Thrill Me 、原題:Thrill Me: The Leopold & Loeb Story )は、アメリカ の劇作家 で作詞・作曲家のスティーブン・ドルギノフが、1924年に起きたレオポルドとローブ 事件をもとに製作したミュージカル である。2003年7月16日にニューヨーク・Abingdon Theatre Arts Complexで初演され、2005年5月26日よりオフ・ブロードウェイ にてYork Theatre Companyにより上演、Dramatists Play Serviceから刊行された。
あらすじ(日本版・ネタバレを含む)
刑務所の仮釈放審議会の席で、囚人である"私"は34年前に起こした犯罪の仔細について語り始めた。
"私"の幼馴染にして、ニーチェの信奉者である"彼"は、自らを特別な存在・超人であるとし、犯罪を犯すスリルによって満足を得ていた。"彼"を愛していた"私"は、互いの欲求に全て応えるという血の契約書を取り交わし、"彼"の犯罪に加担するようになる。
彼らが犯した犯罪の数々は解決されることなく、"彼"の中では「自分は何をしても許される、なぜなら自分は超人だからである」というロジックがより強く確立されていく。満たされていく"彼"に対し、"私"は、自分に対する契約がなかなか履行されないことに不満を抱くようになる。
やがて、放火や窃盗で満たされなくなった"彼"は、さらなるスリルのため、そして自らの超人性を証明するため"私"とともに殺人に手を染める。
学校帰りの子どもを無作為に選び殺害し、顔に塩酸をかけ焼き身元が判らないようにした後、遺棄した。また、殺害前に子どもから聞き出した住所へ身代金要求の脅迫状を送り、金目的の誘拐であるように偽装した。"彼"はこの案を完全犯罪であると信じて疑わない様子であったが、"私"は後のやり取りで「やっぱり上手くいかない」と漏らしていることから、当初から計画のずさんさに気づいていたようである。
遺体はあっけなく発見され、塩酸で焼き忘れた身体的特徴により早々に身元も判明する。
一方、"私"は犯行後メガネを紛失したことに不安をおぼえていた。不安は的中し、遺体の近くに落ちていたメガネが発見される。さらに、そのメガネは高級品であったことから所有者が限られており、"私"に捜査の手が及ぶことは時間の問題であった。ふたりの今後について心配する"私"に対して"彼"は、取り調べを受けるのはお前だけだと言い捨てる。絶望の淵へと突き落とされた"私"の様子に構わず、"彼"は、自分の言うとおりにすれば無能な警察の目をくらませることなど容易いとうそぶき、"私"に虚偽のアリバイの提案をする。そして、くれぐれも自分のことを他言せぬようにと念を押す。
"彼"に見捨てられることを悟った"私"は、自首をし、また"彼"についても言及したことから、ふたりは逮捕される。
裁判では、"私"の父が雇った死刑廃止論者の弁護士が大演説をぶち、99年の実刑判決が下された。死刑の回避を喜ぶ"彼"に、"私"は真実を打ち明ける。
わざとメガネを遺体の近くへ落としてきたこと、永遠(99年)に"彼"と共に過ごす、あるいは"彼"と共に死刑となり命を終えるのが目的であったこと、全ては自分がこうなるよう仕向けたのだということ。
現在、"彼"は獄中で事件に巻き込まれ、既にこの世を去っている。
仮釈放が認められた"私"は、返還された幾つかの所持品の中にあった学生時代の"彼"の写真に語りかけ、物語は終わる。
登場人物
この節の
加筆 が望まれています。
(2019年11月 )
ネイサン・レオポルド(日本版:私)
リチャード・ローブ(日本版:彼)
楽曲
M1:Prelude プレリュード
M2:Why 隠された真実 - Nathan
M3:Everybody Wants Richard 僕はわかってる - Nathan
M4:Nothing Like A Fire やさしい炎 - Richard and Nathan
M5:A Written Contract - Richard and Nathan
M6:Thrill Me スリル・ミー - Nathan and Richard
M7:The Plan 計画 - Richard and Nathan
M8:Way Too Far 戻れない道 - Nathan
M9:Roadster スポーツカー - Richard
M10:Superior 超人たち - Nathan and Richard
M11:Ransom Note 脅迫状 - Richard and Nathan
M12:My Glasses/Just Lay Low 僕の眼鏡/おとなしくしろ - Nathan and Richard
M13:I'm Trying To Think あの夜の事 - Richard and Nathan
M14:Reprise:Way Too Far戻れない道(リプライズ)- Nathan
M15:Keep Your Deal With Me 僕と組んで - Richard and Nathan
M16:I'm Afraid 死にたくない - Richard
M17:Life Plus 99 Years/Thrill Me(Finale) 九十九年 / スリル・ミー(フィナーレ)- Nathan and Richard
スタッフ・キャスト
オリジナル・スタッフ
作曲:スティーブン・ドルギノフ
作詞:スティーブン・ドルギノフ
台本:スティーブン・ドルギノフ
演出:マーティン・チャーニン
オリジナル・キャスト
ネイサン・レオポルド:クリストファー・トッテン
リチャード・ローブ:マシュー・S・モリス
オフ・ブロードウェイスタッフ
作曲:スティーブン・ドルギノフ
作詞:スティーブン・ドルギノフ
台本:スティーブン・ドルギノフ
演出:マイケル・ルパート
オフ・ブロードウェイキャスト
ネイサン・レオポルド:マット・バウアー → スティーブン・ドルギノフ
リチャード・ローブ:ダグ・クリーガー → ション・ワイリー
日本版
この節の
加筆 が望まれています。
(2019年11月 )
日本版スタッフ
演出:栗山民也
翻訳・訳詞:松田直行
音楽監督:落合崇史
日本版キャスト
公演
公演期間
公演数
劇場
出演者(出演日順)
ピアノ伴奏 (出演日順)
私
彼
2011年9月15日 - 10月3日
30回
アトリエフォンテーヌ
田代万里生
新納慎也
朴勝哲
松下洸平
柿澤勇人
2012年3月14日 - 3月22日
12回
田代万里生
新納慎也
落合崇史
2012年7月15日 - 7月29日
27回
天王洲 銀河劇場
良知真次
小西遼生
落合崇史 朴勝哲 オ・ソンミン
松下洸平
柿澤勇人
田代万里生
新納慎也
チェ・ジェウン
キム・ムヨル
2012年8月8日
2回
サンケイホールブリーゼ
田代万里生
新納慎也
朴勝哲
松下洸平
柿澤勇人
2013年3月14日 - 3月24日
19回
天王洲 銀河劇場
良知真次
小西遼生
朴勝哲 オ・ソンミン
松下洸平
柿澤勇人
チェ・ジェウン
チェ・ジホ
2014年11月7日 - 11月24日
27回
尾上松也
柿澤勇人
朴勝哲
田代万里生
伊礼彼方
松下洸平
小西遼生
2014年11月29日
2回
サンケイホールブリーゼ
田代万里生
伊礼彼方
朴勝哲
松下洸平
小西遼生
2018年12月14日 - 2019年1月14日
44回
東京芸術劇場シアターウエスト
成河
福士誠治
朴勝哲
松下洸平
柿澤勇人
2019年1月19日 - 20日
4回
サンケイホールブリーゼ
松下洸平
柿澤勇人
成河
福士誠治
2019年1月25日
2回
芸術創造センター
松下洸平
柿澤勇人
成河
福士誠治
2021年4月1日 - 24日 (4月25日 - 5月2日公演中止)[ 1]
45回
東京芸術劇場シアターウエスト
田代万里生
新納慎也
落合崇史 篠塚祐伴 朴勝哲
成河
福士誠治
松岡広大
山崎大輝
2021年5月4日 - 5日
3回
高崎芸術劇場
成河
福士誠治
朴勝哲 篠塚祐伴
松岡広大
山崎大輝
2021年5月15日 - 16日
4回
ウインクあいち大ホール
田代万里生
新納慎也
朴勝哲 篠塚祐伴
成河
福士誠治
松岡広大
山崎大輝
(2021年5月19日 - 23日 全公演中止)[ 1]
公演中止
サンケイホールブリーゼ
松岡広大
山崎大輝
成河
福士誠治
田代万里生
新納慎也
2023年9月7日 - 10月3日
51回
東京芸術劇場シアターウエスト
尾上松也
廣瀬友祐
朴勝哲
木村達成
前田公輝
落合崇史
松岡広大
山崎大輝
篠塚祐伴
2023年10月7日 - 10月9日
6回
サンケイホールブリーゼ
尾上松也
廣瀬友祐
朴勝哲
松岡広大
山崎大輝
篠塚祐伴
木村達成
前田公輝
落合崇史
2023年10月11日 - 12日
2回
キャナルシティ劇場
尾上松也
廣瀬友祐
朴勝哲
木村達成
前田公輝
落合崇史
2023年10月14日 - 15日
3回
ウインクあいち大ホール
木村達成
前田公輝
落合崇史
松岡広大
山崎大輝
篠塚祐伴
尾上松也
廣瀬友祐
朴勝哲
2023年10月21日 - 22日
3回
高崎芸術劇場 スタジオシアター
尾上松也
廣瀬友祐
朴勝哲
木村達成
前田公輝
落合崇史
松岡広大
山崎大輝
篠塚祐伴
関連商品
CD
2014年11月公演の3ペアで、 ほぼ全曲が入った、完全版CDライヴ録音盤
ミュージカル『スリル・ミー』ライヴ録音盤CD・松下洸平×小西遼生
ミュージカル『スリル・ミー』ライヴ録音盤CD・尾上松也(松竹)×柿澤勇人
ミュージカル『スリル・ミー』ライヴ録音盤CD・田代万里生×伊礼彼方
脚注
^ a b ※本来、東京公演は2021年5月2日までの62公演だったが、コロナウイルスの影響により4月25日以降の17公演及び、大阪公演(全8公演)が中止。5月29日-30日にオンライン配信上演が特別に行われた。
関連項目
外部リンク