ステファン・ラビエ (Stéphane Ravier, 1969年 8月4日 - )は、フランス の政治家 。「再征服」所属の元老院議員 (2期)、マルセイユ 市議会議員(2期)。
1991年から2022年まで国民連合 に所属し、マルセイユ7区区長、プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏 議会議員を歴任した。
来歴
1969年、電気工事士の父とイタリア出身の専業主婦の母の間に生まれた[ 1] 。家族と一緒にマルセイユの北地区(カルチエノール)で育った[ 2] 。両親はフランソワ・ミッテラン の支持者であり、祖母は共産主義 を謳っている[ 3] 。
国家公務員試験 に合格し、郵便業務の役所で務め出した[ 4] 。その後、通信会社オランジュ マルセイユ支局に入社し、商業担当社員として働いた。
結婚し、二人の子供を持っている[ 5] 。
政治活動
始まりと昇進
16歳から国民戦線 で活動しており、1995年にマルセイユ3区区議会議員に選出してからすべての選挙に出馬している[ 6] [ 7] 。
2010年プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏議会選挙ではジャン=マリー・ル・ペン 代表の下、ブーシュ=デュ=ローヌ県 を代表して出馬した[ 8] 。投開票の約23%を獲得し地域圏議会議員に選出した[ 9] 。
2012年、議会総選挙 の際ブーシュ=デュ=ローヌ県第3区で国民戦線を代表として立候補した。決選投票では699票の差で敗れた[ 10] 。
区長と元老院議員
2014年のフランス市議会議員選挙において、「Marseille bleu Marine」という国民戦線人名簿を掲げマルセイユで選挙活動を行った。2014年3月23日、第一次投票の際5万9159票を獲得し、2位に終わった。3月30日、第二次投票が行われ、国民運動連合 所属のジャン=クロード・ゴーダン が票を一番集めステファン・ラビエは敗れた。だが約1万6千票を獲得し、マルセイユ7区区長に選出された[ 11] 。
2014年9月28年の元老院議会議員選挙の際、ブーシュ=デュ=ローヌ県選挙区で投開票の12.4%を集めフレジュス 市長デヴィッド・ラシュリンヌと共に初の国民戦線所属上院議会議員 となった[ 12] 。
2015年フランスプロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏議会選挙に国民戦線を代表して立候補し選出するが、任期の重複を避けるため早くも地域圏議会議員の座を辞任した[ 13] 。
2017年フランス議会総選挙 にブーシュ=デュ=ローヌ県第3区を選挙区として出馬した[ 14] 。第一次投票の際は投開票の30.8%を獲得するが、第二次投票において共和国前進 候補に敗れた[ 15] 。
任期重複防止法案が採決されてから、マルセイユ7区区長を辞職した。副市長を務めていた姪サンドリーヌ・ダンジオが代理で区長の役割を果たした[ 16] 。
2020年マルセイユ市議会議員選挙に国民連合代表で出馬するが[ 17] 、第一次及び第二次投開票において左派 政党連合代表に敗れ落選した[ 18] 。さらに、国民連合が唯一手にしていた区であるマルセイユ7区も約4千票の差で共和党 代表に獲得された[ 19] 。それに対しラビエは不正疑惑を明らかにし、マルセイユ7区において選挙無効請求上告を申し立てた[ 20] 。
市議会議員選挙を落選し弱体化されたと思われたが、同年9月に行われた元老院議会議員選挙において再度当選した[ 21] 。
エリック・ゼムールとの結集
トロカデロ広場 で開かれたエリック・ゼムール の集会で演説するラビエ(2022年3月27日)
2022年2月、国民連合所属議員がエリック・ゼムール に大統領選挙候補推薦を署名したことが原因で生まれた派閥の対立において、党の執行部から非難を受けた。これをもって、国民連合の中央委員会と中央評議会を抜けた。
同じ時期、党に残りながらも地域主義 を標榜とする団体「Marseille d'abord」の創設を発表した[ 22] 。
2月13日、2022年フランス大統領選挙 を機に国民連合を離党してエリック・ゼムールを支持するため「再征服」への入党を公表した[ 23] [ 24] 。
主張・政治思想
フランス人作家ルノー・カミュが提唱したグレート・リプレイスメント を擁護している[ 25] 。
2016年、エビアン協定 に対し批判的なコメントをし、シャルル・ド・ゴール を「愚かな軍将軍」と形容した[ 26] 。
同年6月、ミリアム・エル・コムリ労働大臣を中心とした政府提案の労働に関する法案を審議する際、元老院議会で労働基準法の適用範囲の拡大、労働組合の活動の制限や企業間協定成立の容易化、残業の脱税などの修正案を提出した[ 27] 。それに対しマリーヌ・ル・ペン 党首は自由主義過ぎるとして、修正案を取り下げるよう厳命した[ 27] 。
2016年11月、マルセイユ7区区議会において反移民協議を提出し、移民80人のマルセイユへの移動に対してデモを行った[ 28] 。
2018年10月、ツイッター で極右団体「Génération Identitaire」による民間組織「SOS Méditerranée」事務所の占拠に対して賛辞を述べた[ 29] 。
疑惑・裁判
汚職疑惑
2021年、フランス対汚職機関は公金横領の可能性があると発表し[ 30] 、息子を自身の区役所に雇ったりなど彼の管理を批判した[ 31] 。
同年8月、マルセイユ検事局は公共調達に関わる問題において「依怙贔屓とその隠匿」として予備審問を開始した[ 32] 。
サミア・ガリ問題における破棄
2019年4月の公開討論会の際、「サミア・ガリ(Samia G.)はマルセイユのGスポットである」と発言した。この発言に対しマルセイユ軽罪裁判所は「女性差別 の侮辱」として一千五百ユーロの罰金刑に処した[ 33] 。
エクス=アン=プロヴァンス控訴院は「聴講者を笑わせることを目的としたこの疑わしい言葉遊びはサミア・ガリ氏を性的なシンボルや物体と同一視しておらず、彼女の性へ参照はしていない」と述べ、よって「(この言葉は)侮辱として成り立たない」として原判決を取り消した[ 34] 。
人種的中傷における無罪判決
2021年7月、セーヌ=エ=マルヌ 携帯ショップ店員刺殺事件の後、ツイッターで被害者の顔写真と一緒に「18歳のテオはクレイユ=スウイでセネガル人によって殺された。イミグレーションはフランスの青少年を殺す」と投稿した。それを見た「反ユダヤ主義及び人種主義に対する国際同盟」(Ligue internationale contre le racisme et l'antisémitisme)は通報し、マルセイユ検事局が調査を開いた[ 35] 。
2023年5月12日、検察官は「人種的中傷」として一千ユーロの罰金刑を求めた。7月7日、マルセイユ軽罪裁判所は「「中傷」は人物に対しての名誉毀損を罰するためにある、だが「イミグレーション」という言葉は特定の人物を対象としていないため、この事件において「中傷」は成り立たない」と述べ、無罪判決を下した[ 36] 。
所属団体・議員連盟
障害者研究会(Groupe d'études Handicap)[ 37]
脚注
^ “Stéphane Ravier offre au FN une mairie de 150 000 habitants ” (フランス語). Ouest-France. 2023年7月9日 閲覧。
^ “Ravier, un lepéniste de la première heure au Sénat ” (フランス語). Europe 1. 2023年7月9日 閲覧。
^ “Stéphane Ravier, l'homme qui fait trembler Marseille ” (フランス語). Le Figaro. 2023年7月9日 閲覧。
^ “Ravier, le « mister nobody » du FN maire de secteur à Marseille ” (フランス語). Le Monde. 2023年7月9日 閲覧。
^ “Stéphane Ravier a surfé sur son succès aux législatives ” (フランス語). 20 minutes. 2023年7月9日 閲覧。
^ à 00h44, Par Olivier Beaumont Le 19 novembre 2013 (2013年11月18日). “Municipales 2014 à Marseille : Stéphane Ravier, candidat frontal ” (フランス語). leparisien.fr . 2023年7月9日 閲覧。
^ “Résultats des élections Législatives 2022, 1er et 2nd tour ” (フランス語). Le Figaro (2022年1月1日). 2023年7月9日 閲覧。
^ “Le Front national, maître du jeu” (フランス語). Le Monde.fr . (2010年2月23日). https://www.lemonde.fr/elections-regionales/article/2010/02/23/le-front-national-maitre-du-jeu_1310300_1293905.html 2023年7月9日 閲覧。
^ l'Intérieur, Ministère de. “Résultats des élections régionales 2010 ” (フランス語). http://www.interieur.gouv.fr/Elections/Les-resultats/Regionales/elecresult__regionales_2010 . 2023年7月9日 閲覧。
^ “Elections - Actualités et résultats élections ” (フランス語). L'Express . 2023年7月9日 閲覧。
^ “Municipales 2014: Stéphane Ravier (FN) élu maire du 7e secteur de Marseille ” (フランス語). www.20minutes.fr (2014年3月30日). 2023年7月9日 閲覧。
^ “Entrée historique du Front national au Sénat ” (フランス語). LEFIGARO (2014年9月28日). 2023年7月9日 閲覧。
^ “Stéphane Ravier (FN) a démissionné du conseil régional ” (フランス語). Marsactu (2023年7月7日). 2023年7月9日 閲覧。
^ “Législatives : Ravier (FN) candidat dans la 3e circonscription de Marseille ” (フランス語). LaProvence.com (2017年5月11日). 2023年7月9日 閲覧。
^ l'Intérieur, Ministère de. “Résultats des élections législatives 2017 ” (フランス語). http://www.interieur.gouv.fr/Elections/Les-resultats/Legislatives/elecresult__legislatives-2017 . 2023年7月9日 閲覧。
^ “Marseille : Stéphane Ravier (FN) abandonne son mandat de maire ” (フランス語). France 3 Provence-Alpes-Côte d'Azur (2017年9月22日). 2023年7月9日 閲覧。
^ 6medias2 (2019年6月21日). “[Tribune Chez Les Républicains de Marseille, la trahison est en marche !]” (フランス語). Valeurs actuelles . 2023年7月9日 閲覧。
^ Michel, Manon (2020年3月15日). “Résultat de Stéphane Ravier aux municipales à Marseille : troisième à l'issue du premier tour, une déception ? ” (フランス語). www.linternaute.com . 2023年7月9日 閲覧。
^ “Municipales à Marseille : Stéphane Ravier battu, le RN n'a plus de secteur ” (フランス語). LaProvence.com (2020年6月29日). 2023年7月9日 閲覧。
^ “Municipales à Marseille. Plusieurs recours devant la justice pour faire annuler les élections ” (フランス語). Ouest-France. 2023年7月9日 閲覧。
^ “Le RN Stéphane Ravier, «miraculé» des sénatoriales ” (フランス語). LEFIGARO (2020年9月28日). 2023年7月9日 閲覧。
^ “Stéphane Ravier, sénateur RN, annonce son ralliement à Eric Zemmour” (フランス語). Le Monde.fr . (2022年2月13日). https://www.lemonde.fr/election-presidentielle-2022/article/2022/02/13/stephane-ravier-senateur-rn-annonce-son-ralliement-a-eric-zemmour_6113478_6059010.html 2023年7月9日 閲覧。
^ “Présidentielle 2022 : Stéphane Ravier, ténor marseillais du RN, rejoint Eric Zemmour ” (フランス語). www.rtl.fr (2022年2月13日). 2023年7月9日 閲覧。
^ “Le sénateur RN Stéphane Ravier annonce son ralliement à Eric Zemmour ” (フランス語). BFMTV . 2023年7月9日 閲覧。
^ Pseudonyme. “Marine Le Pen tue le père mais cultive son héritage politique ” (フランス語). Mediapart . 2023年7月9日 閲覧。
^ “Lelab Europe1 - le meilleur de l’actualité politique sur le web ” (フランス語). lelab.europe1.fr . 2023年7月9日 閲覧。
^ a b “Loi Travail : Marine Le Pen bannit les amendements trop libéraux de Marion Maréchal ” (フランス語). www.marianne.net (2016-06-22UTC09:01:00+0200). 2023年7月9日 閲覧。
^ “Polémique : Stéphane Ravier récupère les migrants ” (フランス語). LaProvence.com (2016年9月28日). 2023年7月9日 閲覧。
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^ Leforestier (Marsactu), Jean-Marie. “L’Agence française anticorruption accable le RN à Marseille ” (フランス語). Mediapart . 2023年7月9日 閲覧。
^ Leforestier, Jean-Marie (2015年10月30日). “La petite embauche familiale du frontiste Stéphane Ravier ” (フランス語). Marsactu . 2023年7月9日 閲覧。
^ Leforestier (Marsactu), Jean-Marie. “À Marseille, une affaire de favoritisme rattrape le sénateur RN Stéphane Ravier ” (フランス語). Mediapart . 2023年7月9日 閲覧。
^ “Stéphane Ravier (RN) condamné pour injure sexiste à l'encontre de Samia Ghali ” (フランス語). Marsactu (2023年7月7日). 2023年7月9日 閲覧。
^ “"Point G de Marseille" : l'ex-sénateur RN Stéphane Ravier relaxé en appel pour injure sexiste à l'encontre de l'adjointe au maire Samia Ghali ” (フランス語). France 3 Provence-Alpes-Côte d'Azur (2022年3月15日). 2023年7月9日 閲覧。
^ “Condamnation requise à l’encontre du sénateur d’extrême droite Stéphane Ravier pour « diffamation raciale »” (フランス語). Le Monde.fr . (2023年5月12日). https://www.lemonde.fr/societe/article/2023/05/12/condamnation-requise-a-l-encontre-du-senateur-d-extreme-droite-stephane-ravier-pour-diffamation-raciale_6173105_3224.html 2023年7月9日 閲覧。
^ “Accusé de diffamation raciale, le sénateur marseillais Reconquête! Stéphane Ravier est relaxé par la justice ” (フランス語). France 3 Provence-Alpes-Côte d'Azur (2023年7月7日). 2023年7月9日 閲覧。
^ “Groupe d'études Handicap - Sénat ” (フランス語). https://www.senat.fr/ . 2023年7月9日 閲覧。
外部リンク