ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地
『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』は、シャンタル・アケルマン監督・脚本による1975年のベルギー・フランス合作のドラマ映画[1]。デルフィーヌ・セリッグ演じる女性主人公の3日間の生活が描かれている[2]。 あらすじ未亡人のジャンヌ・ディルマン(デルフィーヌ・セリッグ)は、思春期の息子(ヤン・デコルテ)と共に、ブリュッセルのアパートメントで暮らしている。彼女は家事をこなし、隣人の赤ん坊の子守りをして、街へ買い物に出かける。息子が学校へ通っている午後に、彼女は自宅で売春する。しかし、規則正しかった彼女の生活は、少しずつ秩序を失っていく。3日目、彼女はベッド上の男性客を鋏で刺殺するのだった。 キャスト
製作ベルギー政府から120,000ドルの助成金を受けて製作された[3]。スタッフの大半には女性が採用されている[4]。キャメラは低い位置に固定され、正面を向いて均整の取れた構図で撮影されており、クローズアップや切り返し、主観ショットは用いられていない[5]。撮影期間は5週間に及んだ[6]。 監督のシャンタル・アケルマンは「私は、この作品をフェミニストの映画だと考えている。女性の毎日の身振りなどは、映像のヒエラルキーにおいて最も低い位置にあり、このような仕方で描かれたことはなかったからだ」と述べた[7]。また、「この作品は、私が子供の頃に見ていた母親の身振りに由来している。そのことが本作を精密なものにしている」と語った[4]。 評価Rotten Tomatoesでは、17件のレヴューで支持率は100%、平均値は9.1点だった[8]。 『Indiewire』のアダム・クックは「身振りが言葉よりも雄弁であるという点において、これは最も純粋なアクション映画である」と述べた[9]。『The Village Voice』のB・ルビー・リッチは「フェミニストの文化理論が求めていた、言いようのない真実を伝えることのできる新しい言語は、本作によって創り出された」と指摘した[10]。 英国映画協会が10年ごとに発表している「史上最高の映画100(2022年)」において第1位、英国のBBCが選んだ「外国語映画トップ100」(2018年10月30日発表;BBCが世界のトップ映画批評家209人にアンケートし、英語以外のいわゆる外国語映画としてのトップ100)で、第14位にランキングされている。 タイトルについてタイトル内の固有名詞(姓)Dielman は、日本の2022年の「シャンタル・アケルマン映画祭」での劇場公開時には「ディエルマン」と表記されたが、監督自身は「ディルマン」または「ディールマン」のように発音する[11][12]。なお、タイトルにある「1080」はコメルス河畔通りが属する地区の郵便番号である。 脚注
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