シクレソニド
シクレソニド(英: Ciclesonide)は、喘息(ぜんそく)やアレルギー性鼻炎の治療に使用される糖質コルチコイドである。糖質コルチコイドは副腎皮質ホルモンのひとつで、副腎皮質ホルモンはステロイドホルモンに属している。 日本では、帝人ファーマから吸入ステロイド喘息治療剤のオルベスコ(オルベスコインヘラー)として販売されている。海外では喘息の治療薬としてブランド名Alvesco、花粉症の治療薬としてブランド名Omnaris、Omniair、Zetonna、Alvesco[1]で、米国およびカナダで販売されている。 オルベスコ(商品)帝人ファーマの吸入ステロイド剤で、シクレソニドを主薬とした定量噴霧式エアゾール剤(pMDI)[2]である。成人用としては日本で初めての1日1回投与である(ただし、1日800μgを投与する場合は、朝、夜の2回に分けて投与)。2020年現在、処方箋医薬品である。後発品は発売されていない。 シクレソニドの開発・権利シクレソニドはドイツのアルタナが開発した。 1990年に特許が取得され[要出典]、2004年2月に気管支喘息を適応症としてオーストラリアで承認された。 2006年10月に米国食品医薬品局によって成人と12歳以上の小児に承認された[3]。 2006年にアルタナの製薬部門はスイスのナイコメッド社に買収され、2011年にナイコメッドは武田薬品工業に買収された。 日本では帝人(2002年に帝人ファーマに分社)により1999年より臨床試験が行われ、2007年に気管支喘息を適応症とし製造・販売を承認され発売された[4][5]。しかし、海外メーカーからの導入品のため、増産する場合も帝人ファーマの一存ではできないという[6]。 日本向けの製剤がどこで製造されているかに関して、帝人ファーマは非開示である。 米国販売権は、上記武田薬品工業から米Sunovion Pharmaceuticals Inc.(英語版)(大日本住友製薬の子会社)に譲渡され、2017年に、大日本住友製薬から上記Covis Pharmaに譲渡された[7]。海外での権利は[8]、Sunovion Pharmaceuticals Inc.、2015年に英アストラゼネカに移り[9]、2018年より上記Covis Pharma(本社オランダ、アポロ・グローバル・マネジメント傘下)が保有している[10]。 Covis Pharmaは、オランダのバールンに本社、スイスのツークに支社をもつ。親会社はファンド会社のアポロ・グローバル・マネジメント(本社、ニューヨーク)[11]。 シクレソニドを承認している国は2010年でも59カ国あった[2]。がん幹細胞の阻害[12]など、本剤の有用性が多数報告されている。 薬剤の特徴プロドラッグ(生体で代謝作用を受けて変化後に効果を発揮する薬剤)である。吸入投与後、肺および気道でエステラーゼにより活性化され、活性代謝物である脱イソブチリル体になる。 副作用頭痛、鼻血、鼻と喉の内膜の炎症[13]。 禁忌
原則禁忌結核性疾患の患者。症状を増悪するおそれがある。 研究事例→詳細は「COVID-19に対する薬剤転用研究」を参照
2020年3月2日、2019新型コロナウイルスによる急性呼吸器疾患(COVID-19)の肺炎に著功を示した3症例が神奈川県立足柄上病院のチームから報告された[14]のを皮切りに、症例が続々と報告された。 脚注
参考文献
関連項目外部リンク
|