サーヴィランス 監視者
『サーヴィランス 監視者』(サーヴィランス かんししゃ)は、2002年4月25日にソニー・コンピュータエンタテインメントより発売されたPlayStation 2用アドベンチャーゲーム。タイトルは、サブタイトルの通り「監視者」を意味する。 企画・原作・アニメーション制作はProduction I.G。 本作はProduction I.Gが関わってきた『やるドラ』シリーズと同様に、流れるアニメーションに何らかの介入を行える。さらに、リアルタイムで流すアニメーションを複数にすることで、そのうちの1つを随時任意選択して閲覧しながら介入することが可能である。 ゲーム内容「サーヴィランスシステム」によって、複数の監視カメラから流れる様々な映像から情報を収集することが目的である(ゲーム中の役割を補足すれば、収集した情報を主人公の所属する特殊部隊の隊員へ情報を伝え、作戦を補佐する)。確認したい映像を切り替えながら閲覧するため、一連の時間で毎回違った演出を行えるという特徴もある。 ストーリーの流れは、6つのチャプター(章)に分けられる。チャプターは、導入部のブリーフィング、プレイヤーが操作可能なリアルタイムステージ、モニター表示時間や解析履歴のチャプターリポートの流れで進む。 リアルタイムステージパートこのパートでは、監視カメラの映像に映っている解析対象から情報を解析・収集していく。チャプター内で決められた「重要解析対象」を解析したかによってストーリーが分岐し、重要解析対象を解析していなければバッドムービーが流れる。なお、複数のカメラから流れる映像はゲーム内の経過時間に同期して流れており、基本的に後述する複数のモニターへ同時に映像が流れる。 画面には、解析操作するための大きいメインモニター1つとその下部にある小さなサブモニター6つ(AからF)があり、それぞれ監視カメラからの映像が同時に流れる。どのモニターを中心に見るのかはプレイヤーの判断に委ねられる[1]。サブモニターはパートの進行状況によって増減する。なお、サブモニターには音声センサーがあり、音が発生した場合にはゲージが伸縮する。 メインモニターには、サブモニターから選択した画面が表示される(選択中のサブモニターは見えなくなる)。メインモニターでは、画面に表示された物体(人や武器など)にマーカーが付き、マーカーを1つ選択することで情報の解析が始まる。解析中に音声は流れるが、メインモニターの画像が停止し、解析が終わるまでしばらく操作不能になる(非常に見づらいが、停止画面と重なる形で動画は流れる)。解析が完了すると、解析対象の名前が画面に表示され、データベースに登録される。このデータベースに登録した情報の詳細は、チャプターレポートやタイトルで閲覧できるため、本作の資料としても機能する。また、登録した解析対象は重要な解析対象を除いて解析済みのマーカーになるため、プレイを繰り返すことで少しずつ埋めていくことができる。 前述の通り、監視カメラからの映像や音は同時進行で流れるため、サブモニター全体をチェックしつつ解析が必要なサブモニターをメインモニターに切り替えて解析するという判断力が問われる。 解析対象となるものは全チャプターを通すと膨大で、同一な対象であっても場面によって情報の違う解析対象になったり、中には一瞬しか登場しないものや事前に解析を済ませないと映らない映像の中にもある。解析可能な対象を全てのチャプターで解析完了すると、さらに解析対象が増大したゲームモードが追加されるため、コンプリートを目指す場合は個々の映像をメインモニターで確認するやり込みプレイの必要がある。 ストーリー
西暦2053年、人類は火星への旅行が可能になりつつあった[2]。謎のテロリストであるネオ・クライトは国連の進める火星進出計画に反対し、妨害活動を行っていた。市民と宇宙開発プロジェクトを守るべく、国連はI-COSS( International Cosmic Security System)とその下部組織である特殊部隊 Shadow Swordに、総合監視解析システム「サーヴィランスシステム」を用いてネオ・クライトの野望を阻止するよう依頼した[2][3]。プレイヤーはシャドーソードのリーダーとなり、テロリストによって引き起こされる数々の難事件を解決していく[1]。18ヶ月にもおよぶ訓練のしめくくりとなる最終模擬演習に挑む。メンバーからは「大使館員を人質に取ったテロリストの鎮圧と、彼らが所持する爆弾の解体」が想定されていた。隊員たちは見事な連携で演習を遂行。最後に残されたのはダミーの爆弾処理。それは驚くべき破壊力をもつ本物だった…[4]。 特殊部隊シャドーソード西暦2051年に設立。メンバーはいずれも格闘術や爆発物処理など、各分野に優秀な熟練者であり、世界各国で活躍してきた俊秀が多い。部隊の正式名称は「外太陽圏方面隊第3師団第19特科連隊特務機動分隊」。政府と民間の共同出資によって成り立っているのが大きな特徴であり、宇宙の平和を管理する組織となる。I-COSSの管轄下に置かれており月軌道ステーションに本部が設置されている[1]。 登場人物Shadow Sword
I-COSS各国の宇宙開発機関によって作られた「共同宇宙観測システム」を母体に、宇宙の平和維持を目的として設立された組織。月や火星などに複数の宇宙ステーションを配置し、宇宙を幅広く監視している。Shadow Swordは同組織内の航空宇宙管制局の管轄下に置かれている[4]。
ナバロ・コーポレーション巨大な力を持つ医療企業。遺伝子研究や医療機器分野において影響力が強い。「サーヴィランスシステム」の基礎となる、総合医療用のデータ連携システムを開発した[4]。
ネオ・クライト数々の危険団体が1つにまとまり結成された国際的テロ組織。スペースプレーンの乗っ取り事件以降、シャドーソードとは激戦を繰り広げるようになる[4]。
その他
開発本作の開発のきっかけはやるドラシリーズからもっとゲーム性を高めたものを作りたいという意見である[5]。ただし、やるドラに携わってきたProduction I.Gはすでにシリーズ最新作『BLOOD』に着手していたため、同シリーズとは別体制での開発となった[5]。その後、やるドラ4作品のアニメーションプロデューサーとして参加していたProduction I.Gの寺川英和がひと段落したということで、本作の企画・施策に着手した[5]。本作のかなめであるサーヴィランスシステムのプロトタイプは2度目の試作にて完成した[5]。ただし、このプロトタイプはPlayStationでの試作であり、プラットフォームをPlayStation 2にしたところ、ムービーをMPEG2で再生できなくなったり、ゲーム周りのデータがムービーの再生と競合するといったトラブルが発生した[5]。 物語や世界観のセッティングはシステムが固まってから作られており、「宇宙開拓や医療技術の発展といった先進的な技術が不適切な使い方をされるのでは?」という考えから今のような形になった[5]。 スタッフ
評価『週刊ファミ通』のクロスレビューでは、32点と採点され、32点から34点のソフトが対象となる「ゴールド殿堂」入りとなった[6]。 関連商品
脚注
外部リンク
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