サンショクキムネオオハシ (学名:Ramphastos sulfuratus ) は、オオハシ科 に分類される鳥 の一種。色鮮やかな種であり、ベリーズ の国鳥 となっている[ 3] 。メキシコ 南部からエクアドル にかけての熱帯 地域のジャングルに生息する。果物 、種子 、昆虫 、無脊椎動物 、トカゲ 、ヘビ 、小鳥とその卵を食べる雑食性 の種である[ 4] 。
分類
2亜種が知られている[ 5] 。
形態
嘴を含めた全長は約42-55cmである[ 6] 。嘴は大きく色鮮やかで、その長さは12-15cmと、全長の約3分の1を占める。体重は通常約380-500gである[ 7] 。嘴は大きくて扱いにくいように見えるが、中はスポンジ状になっており、非常に軽くて硬いタンパク質 であるケラチン で覆われている。
羽毛 は主に黒色で、首と胸は黄色である。換羽 は年に1回起こる[ 8] 。足は青く、尾の先端の羽毛は赤い。嘴 は主に緑色で、先端は赤く、側面はオレンジ色である。
内趾と中趾が前を向き、後趾と外趾が後ろを向く。ほとんどの時間を木の上で過ごすため、この趾の構造により木の上で自由に移動することが出来る。
分布と生息地
メキシコ 南部からベネズエラ 、コロンビア にかけて分布する。標高1,900mまでの熱帯 、亜熱帯 、低地林の林冠 に生息する[ 9] 。木の穴で暮らし、他の数羽の個体と一緒に過ごすことが多い。穴の中は非常に窮屈であり、寝ている間には体温を正常に保つため尾と嘴を体の下に折り込む。さらに穴の底は食べた果物 の種子 で覆われていることが多い[ 8] 。
生態と行動
多くのオオハシと同様に社会性が非常に高く、単独で見られることはめったにない。低地の熱帯雨林を6-12羽ほどの小さな群れで飛ぶ。ゆっくりと波打つように飛行し、羽ばたきは6回から10回と速く、次に嘴を前方に伸ばし、体を引っ張るかのように嘴を下げながら滑空する。飛行中は足を前方に引き上げる。飛行距離は通常短い。群れ で生活し、木の穴に作った狭い巣穴を共有することがよくある。群れの中には家族構造がある。嘴を使って争いをしたり、果物を互いの口に投げ入れたりする。1羽が果物を空中に投げ、もう1羽がそれをキャッチする遊びを行う[ 8] 。
繁殖
雌は天然または作られた木の洞に1-4個の白い卵を産む[ 10] 。雌雄が交代で卵の世話をし、約15-20日で孵化する。孵化後は再び雌雄交代で雛に餌を与える。孵化したばかりの雛に羽毛は無く、約3週間は目を閉じている。雛は既に踵が発達しており、果実の殻などで覆われた巣の底での歩行を助ける[ 8] 。雛は嘴が完全に発達して巣立つ準備ができるまで、約8-9週間巣に留まる。
摂餌
バンレイシ科 の Cymbopetalum mayanum やガンボリンボ (英語版 ) などの様々な果物を主に食べるが[ 8] [ 11] 、昆虫 、卵 、雛鳥 、トカゲ を食べることもある。器用な嘴により様々な果物を食べることができる。嘴を使って果物を切り裂き、頭を後ろに倒して丸呑みする。
人との関わり
ペットとして飼育されることもあるが、食事には多くの果物が必要であり鉄過剰症 に弱い[ 12] 。生息地の喪失、ペット取引や肉を目的とした捕獲が脅威となっている。中程度の急速な個体数の減少に見舞われており、IUCN のレッドリスト では近危急種 と評価されている[ 1] 。
画像
頭部
基亜種
亜種 brevicarinatus
飛翔
脚注
出典
^ a b BirdLife International (2021). “Ramphastos sulfuratus ” . IUCN Red List of Threatened Species 2021 : e.T22682102A168670038. https://www.iucnredlist.org/species/22682102/168670038 2024年10月27日 閲覧。 .
^ “Appendices CITES ”. cites.org . 2024年10月27日 閲覧。
^ Developer. “Government of Belize Portal ”. belize.gov.bz . 2015年9月23日時点のオリジナル よりアーカイブ。2016年11月8日 閲覧。
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^ “Keel-billed Toucan, Costa Rica – information, where to see it, and photos ”. Anywherecostarica.com. 2024年10月27日 閲覧。
^ a b c d e Van Tyne, Josselyn (1929). “The Life History of the Toucan, Ramphastos brevicarinatus ” . University of Michigan Museum of Zoology Miscellaneous Publications 19 : 1–43. https://deepblue.lib.umich.edu/bitstream/handle/2027.42/56264/MP019.pdf .
^ Strewe, Ralf; Navarro, Cristobal (2004). “New and noteworthy records of birds from the Sierra Nevada de Santa Marta region, north-eastern Colombia” . Bulletin of the British Ornithologists' Club 12 (1): 38–51. オリジナル の2005-12-31時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20051231225615/http://www.alpec.org/Articulo%20BBOC/Strewe%20%26%20Navarro%202004%20BBOC%20124%20%281%29.pdf . Also Here (Better map and photos)
^ “Keel-Billed Toucan Ramphastos sulfuratus ”. The Sacramento Zoological Society . 8 March 2016時点のオリジナル よりアーカイブ。2024年10月27日 閲覧。
^ Foster, Mercedes S. (2007). “The potential of fruit trees to enhance converted habitats for migrating birds in southern Mexico”. Bird Conservation International 17 : 56. doi :10.1017/S0959270906000554 .
^ Otten, Benjamin A.; Orosz, Susan E.; Auge, Shannon; Frazier, Donita L. (2001). “Mineral Content of Food Items Commonly Ingested by Keel-Billed Toucans (Ramphastos sulfuratus)”. Journal of Avian Medicine and Surgery 15 (3): 194. doi :10.1647/1082-6742(2001)015[0194:MCOFIC]2.0.CO;2 . JSTOR 30136901 .
外部リンク