ウィキメディア・コモンズには、
サクラスミレに関連するメディアがあります。
サクラスミレ(桜菫、学名:Viola hirtipes)はスミレ科スミレ属の多年草[2][3][4]。花は日本産スミレ属の中で一番大きい[3]。
特徴
無茎の種。短い地下茎が横に伸びる。高さは8-15cmになる。葉は根生し、葉柄は花時に直立し、長さ2-5cmになり、1株に3-4個束生し、短い開出毛が生えるかときに無毛、上部には翼がある。葉身はやや平開し、長さ3-6cm、長卵形で、先端は鋭頭、基部は心形、縁には鈍鋸歯がある。表面は暗緑色、裏面はしばしば紫色をおびることがあり、裏面葉脈上に毛がある。花後、果期の葉は大型になり、長さは5-15cm、左右が耳状に張り出した狭三角形になる[2][3][4]。
花期は4-5月。葉の間から長さ7-12cmの花柄を伸ばし、横向きに花をつける。花柄の途中には狭小な2個の小苞葉がある。花柄にはふつうまばらに毛が生えるか、または無毛。花は大型で、径約2.5cm、淡紅紫色をしている。花弁は広く、長さ15-20mm、縁は凹頭か円頭、側弁の基部に毛が生える。唇弁の距は長さ7-8mmになる細く長い円筒形で、毛はない。萼片は披針形で、先端はとがる。雄蕊は5個あり、花柱は太いカマキリの頭形になり、上部が左右に鋭角的に張り出す。染色体数は2n=24[2][3][4]。
分布と生育環境
日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の日当たりのよい草原に生育する[2][3][4]。本州の中部地方以北の山地に多いが、西日本では高地に見られる[4]。世界では、朝鮮半島、中国大陸(東北部)に分布する[2]。
名前の由来
和名のサクラスミレは「桜菫」の意で、花の色が華美であり、花弁の先端がサクラの花弁のように切れ込むからという[4]。
種小名(種形容語)hirtipes は、「多毛の茎の、短剛毛ある柄の」の意味[5]。
ギャラリー
下位分類
- ケナシサクラスミレViola hirtipes S.Moore f. glabra E.Hama[6]
- ワタゲスミレ Viola hirtipes S.Moore f. grisea (Nakai) Hiyama[7]
- シロバナサクラスミレ Viola hirtipes S.Moore f. lactiflora T.Hashim., nom. nud.[8] - 白花品種[2]。
- ケントクスミレ Viola hirtipes S.Moore f. nudipes Hiyama[9]
- チシオスミレ Viola hirtipes S.Moore f. rhodovenia (Nakai) Hiyama ex F.Maek.[10] - 葉脈に沿って紅紫褐色の斑紋が入る品種[2]。
交雑種
関連項目
脚注
- ^ サクラスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f g h i 門田裕一 (2016)「スミレ科」『改訂新版 日本の野生植物 3』p.218
- ^ a b c d e f 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.313
- ^ a b c d e f 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.723
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1496
- ^ ケナシサクラスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ ワタゲスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ シロバナサクラスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ ケントクスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ チシオスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b アルガスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b ヤシュウスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b オクハラスミレ「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
参考文献