サキシマスオウノキ
サキシマスオウノキ(先島蘇芳木[4]、学名: Heritiera littoralis)は、アオイ科[注 1]サキシマスオウノキ属の常緑高木。日本では特によく板根を発達させる木として有名である。 名称和名の「サキシマスオウノキ」(先島蘇芳木) の「スオウ」は、染料として利用されるスオウ(蘇芳木、マメ科の落葉小高木)に由来する。また、「サキシマ」は先島諸島(宮古列島と八重山列島の総称)のことである[5]。 別名、サキシマスオウ、サキシマスオウギ、ハマグルミ、スオウギともよばれる[3]。中国名は銀葉樹[3]。 諸言語における呼称アジア地域のマレーシアにおいて 分布・生育地熱帯アジア(東南アジア)、台湾、ポリネシア(南洋諸島)、オーストラリア、熱帯アフリカに分布[8][5]。マングローブ林のある湿地の内陸側に多く生育し、まれに海岸に生える[8]。 日本での生育地は、九州、奄美大島、沖縄島、石垣島、西表島、小笠原諸島が知られる[5]。このうち石垣島(沖縄県石垣市)の桴海於茂登岳山麓の「ンタナーラのサキシマスオウノキ群落」[9]、及び、西表島(沖縄県八重山郡竹富町)古見の「古見のサキシマスオウノキ群落」[10]は国の天然記念物に指定されている[8]。また、西表島の仲間川上流には樹齢400年と推定されるサキシマスオウノキの巨木があり、森の巨人たち百選に選定されている[1]。 形態・生態常緑性高木で5 - 25メートル (m) になる[8]。幹は太くて直径が大きくなり[5]、地中より突き出した板根とよばれる板状の根が特徴[8]。板根は四方に広がり、独特の樹形をつくり、老木では板根の長さ3 m、高さが2 - 3 mに達するものもある[8][11]。板根の厚さも、上幅で5センチメートル (cm) 、下幅で20 cmほどになる[11]。この板根によって、地盤が緩くて不安定なマングローブなどの湿地で、大きな樹木を支えている[4]。板根は幹から離れるにしたがって低くなっていき、大きな板根になると、主となる板根に対して直角に板根がつく[11]。 葉は互生し[5]、長さ10 - 20 cmで、長楕円状卵形から楕円状卵形。先端はとがっている場合も丸まる場合もあるが、基部は円脚(丸っこい形)をしている。葉質は硬く、表は濃い緑色でつやがあって無毛、裏面は銀色や多少色づく円形の鱗状の毛が密生する[5]。 日本における開花期は5 - 7月[8]。円錐花序は7 - 15 cmになり、多数の花をつける。花は小さくてあまり目立たない[5]。茶褐色の果実は海水に浮き、海流で運ばれる[8]。
利用沖縄県では、かつてこの板根を切り出してそのまま船(サバニ)の舵として使用した[11][1]。樹皮のタンニンは染料[6]、薬用として利用される。 脚注注釈出典
参考文献
関連項目 |
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