ゴマサバ
ゴマサバ(胡麻鯖、学名:Scomber australasicus)は、スズキ目サバ科に分類される魚の1種。太平洋の熱帯・亜熱帯海域に分布する海水魚で、沖合の水深50m程度までの表層で大群を作り遊泳する。 日本では食用魚として重要で、近縁のマサバ、グルクマ等と共に「サバ」と総称される。地方名としてマルサバ(各地)、ホシグロ(新潟)、ゴマ(千葉)、コモンサバ(島根)、ドンサバ(福岡)などがある。 特徴成長が早く、満1歳で尾叉長20 - 28cm、満2歳で30 - 36cm程度に成長し、成魚は60cm程度。よく漁獲されるのは30 - 40cmほどである。 食性は肉食性で、動物プランクトン、小魚、イカ、頭足類など小動物を捕食する。生殖腺は1月ごろから発達しはじめ産卵期は海域によって異なり、魚釣島近海では 1 - 3月、東シナ海中部では 3 - 5月、薩南沖では 2 - 4月に多い。メスは満1歳で約40%個体が成熟し、満2歳で約70%、満3歳以上ではほとんどの個体が成熟する。 分布太平洋の暖流に面した熱帯・亜熱帯海域に広く分布し、日本付近では黒潮系暖水の影響が大きい海域(南シナ海、東シナ海)に分布するが黒潮に乗って三陸沖まで回遊する。マサバより高温を好み、日本近海でも夏に漁獲量が増える。太平洋側での主分布域は北緯36度(房総半島)以南。 東シナ海に分布する個体群は2系群に分けられる。どちらの系群も春から夏には北上し、秋から冬には越冬、産卵のために南下回遊する。
形態的特徴体は前後に細長い紡錘形で、短い吻が前方に尖り、横断面は円形に近い。背面は青緑色の地にサバ類独特の黒い曲線模様が多数走り、腹面は銀白色の地に黒い小斑点がある。しかし、腹部の黒斑は未成魚では不明瞭で、成魚でもはっきりしない個体もいる。
厳密に区別したいときは,第1背鰭の神経間棘数(背鰭第1棘に対応したものから第2背鰭の第1条を担ったものの直前までの数)を数える。神経間棘数17本以上はゴマサバ、16本以下はマサバである。 利用巻き網、定置網、火光利用さば漁業(たもすくいおよび棒受け網漁業)などの沿岸漁業で漁獲される。外洋に面した防波堤や船からの釣りでも漁獲される。 マサバより脂肪が少ないが、季節的な味の変化が少ないとされている。夏はマサバの味が落ちるがゴマサバの味は落ちず、漁獲量も増える。鯖節への利用が多いが、他にもマサバと同様に〆鯖(きずし)、鯖寿司、焼き魚、煮付け、唐揚げ、缶詰、サバ節など幅広い用途に利用される。新鮮なものは刺身でも食べられるが、傷みが早いので注意が必要である。また、アニサキスが寄生している危険もある。 高知県土佐清水市の清水サバ、鹿児島県屋久島の首折れ鯖など、各地に地域ブランドがある。 出典
参考文献
関連項目
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