コンバットスポーツ
コンバットスポーツ(英Combat sport、ファイティングスポーツとも呼ばれる)は、通常一対一で戦うコンタクトスポーツである。多くの場合、対戦相手よりポイントで上回るか、ダメージ等により対戦相手を動けなくすることで、勝者が決定する。代表的なものとして、レスリング、ボクシング、総合格闘技、キックボクシング、ムエタイ、テコンドー、剣道(フェンシング)、極真カラテ、空道、ブラジリアン柔術などがある。 歴史民族レスリングは多くの国や、多くの文化で存在しており、普遍文化として捉えることができる。ボクシング競技は、紀元前3世紀の古代シュメールや紀元前約1350年の古代エジプトまで時代をさかのぼる[1]。古代オリンピックではコンバットスポーツに関連した競技(武装競走など)がいくつか含まれており、ボクシング、レスリング、パンクラチオンは紀元前648年のオリンピックで導入された。 古代中国では、擂台(もしくは擂臺)という形式のコンバットスポーツが現れた。これはボクシングとレスリングを組み合わせた禁じ手無しのコンバットスポーツであり、古代エジプトやインド、日本でも同様のものが存在したようである[2]。 中世やルネッサンスを通じて、馬上槍試合(トーナメント)は人気が高かった。トーナメントはいくつかの模擬戦闘イベントを特集した大会であり、そのメインイベントが馬上槍の一騎打ち(ジョスト)だった。馬上槍トーナメントは貴族の間で人気が高かった一方、コンバットスポーツはどの社会階級でも修練されていた。中世後期のドイツの武道学校は、真剣な戦闘(敵)からスポーツ的な戦闘(不面目)とを分別した。ドイツのルネッサンスでは、英国テューダー朝の賞金ゲームに対応した、スポーツ的な戦闘大会が「Fechtschulen」として知られていた。これら賞金ゲームのイベントから18世紀の英国ボクシング(もしくは賞金試合)が発展し、1867年にはクインズベリー・ルールが導入されて近代ボクシングへと進化した。 1904年の導入以来、アマチュアボクシングは近代オリンピック大会の一部となっている。プロボクシングは1920年代にアメリカで人気が高まり、第二次世界大戦後に「黄金時代」を築いた。 ブラジリアン柔術の創造は、アジアの武道がブラジルに紹介された後の1925年、ブラジルのグレイシー一族に帰属する。バーリトゥード、レスリング、ムエタイ・キックボクシング、ルタ・リーブリが人気を集めた。近代ムエタイは1920年代から1930年代に発展した。サンボはソ連で導入された。 近代テコンドーは、日本の韓国占領後に登場し、2000年にオリンピック競技となった。近代武術(ウーシュウ)武術太極拳の一部である散手(サンショウ)は、1950年代から中華人民共和国で発展した。 キックボクシングとフルコンタクト空手は1960年代に発展して、1980年代と1990年代に日本と西洋で普及した。 総合格闘技は、ブラジリアン柔術とシュートレスリングとが相互に組み合わさったサブカルチャーとして発展。日本では1985年に修斗という形で、米国では1993年にUltimate Fighting Championship (UFC)の形で導入された。2000年に総合格闘技の北米統一ルールが導入され、この競技は2000年代に人気絶頂を迎えた。この期間中に、複数のブランドや興行団体が設立されており、UFC は総合格闘技の最も有名な興行団体である。 性別による人気の差コンバットスポーツは一般的に、選手と観客のいずれでも男性の間で人気が高い。 何年もの間、コンバットスポーツへの参加は男性が事実上独占していた。米国ボクシングは1993年まで女性のボクシングを禁止していた[3]。 2015年にグリーンウェルらが行った調査によると、コンバットスポーツは大部分が男性観客だった[4]。UFCやBellator MMAといったコンバットスポーツの興行団体は、おおむね男性に向けて広告宣伝を行なっている。 現代スポーツ選手は通常、1対1で戦う。異なるスポーツであれば、異なる技術の設定や動作が含まれる。例えば、ボクシングはパンチだけを許可し、テコンドーは主にキックを伴う、そしてムエタイやビルマ・ボクシングは肘と膝の使用を許可している。また、フリースタイル や大学レスリングなどの、組み技格闘に基づいたコンバットスポーツもある。 現代の総合格闘技は古代ギリシャのオリンピック種目パンクラチオンに似ており、いずれも打撃と組み技の両方を許可している。 いくつかのコンバットスポーツには、フェンシングや剣道のような武器の使用も含まれている(どちらも剣である)。SCA Heavy Combatや剣道など、現代のコンバットスポーツには装甲を使用するものもある。ガッカや近代アーニスでは棒が使用される。 種目リスト非武装スポーツ打撃系
組み技系
総合系ハイブリッド格闘技で、打撃要素と組み技要素を組み合わせたもの。
武装スポーツ
オリンピック競技
技術使用される技術は3つの分野に大別できる。打撃系、組み技系、武器使用であり、総合系ルールでは打撃と組み技を混合規定する。コンバットスポーツにおけるこれら多様な技術の使用は、各参加者の恒久的または深刻な肉体的ダメージを最小限に抑えるため厳しく規定されており、一人以上の審判員による裁定行為を通じて、審判は競技中に罰則を与えたり、競技者の行動を中断することができる。武器を基本とするスポーツでは、武器の打撃部分を改造したり、参加者に防護服/装甲の着用を求めることで、使用される武器が非致死的に作られている。 保護装備/衣類コンバットスポーツにおいては、打撃やパンチもしくは頭部への攻撃で相手が続行できなくなる肉体的負傷の点から、勝利が得られることもある[11]。コンバットスポーツの様式が異なれば、競技者が着用しなければならない装備のルール規定も異なる。オリンピックで見られるアマチュアボクシングでは、競技者はヘッドガードを着用し[注釈 1]、パッド入りグローブは正確に計量されたものを、マウスガードはオプションで、キャンバスの床が厳しい転倒からの保護となる[6]。 テコンドー種目では、競技者は胴体プロテクター、ヘッドガード、グローブ、鼠蹊部ガード、前腕と脛のパッドを着用することが認められている[8]。 プロボクシングとUFCは、着用する保護装備の欠如のため世界で最も危険なコンバットスポーツの2つである。この2つのスポーツの競技者はマウスガードを着用するオプションがあり、適正なグローブを着用しなければならない。 防護衣服の欠如は、競技者に脳震盪や頭部外傷を受けやすくしてしまう。オーストラリア連邦大学のアンドリュー博士が2015年に実施した科学実験で、コンバットスポーツにおけるヘッドガード7種類の衝撃がテスト調査された。実験の結果、グローブとヘッドガードの組み合わせには利点があり、衝撃エネルギーの減衰を最大化することが明らかとなった[13]。Lystadが実施した調査によると、MMAやボクシングといった保護装備ほとんど無しのコンバットスポーツは競技者1000人当たり85.1-280.7という範囲の負傷発生率で、比較してテコンドーのようなパッド、ヘッドギア、マウスガード やグローブなど大量の保護装備を着用するコンバットスポーツは、1000人当たり19.1-138.8の負傷発生率だった[14]。これは、保護装置を使用することで負傷率が大幅に低下することを意味している。 保護装備/衣類のリスト
試合する領域
関連項目注釈脚注
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