グラフレックスグラフレックス(Graflex Inc., )は、米国のカメラメーカーであり同社の主なブランド名でもある。報道向けの大型カメラの製造で一時期の市場を席巻した。 1881年にウィリアム・F・フォルマーとウィリアム・F・シュウィング[1]がフォルマー&シュウィングとしてニューヨーク州[1]で共同事業を開始したのが起源である。1905年から1926年までは世界最大手のフィルム・カメラメーカーのコダック傘下にあった。 同社の製品では、1939年から発売された4×5in判やミニアチュールサイズ・3 1/4×4 1/4in判等のプレスカメラスピード・グラフィック(Speed Graphic )、1961年から1970年の間に作られた4×5in判のプレスカメラスーパー・スピード・グラフィック(Super Speed Graphic )等が世界的に知られる。これらは35mm版一眼レフカメラの性能向上と普及まではプレスカメラとしての需要が高く、1973年まで製造され続けたロングセラーで、日本でも「スピグラ」の通称で知名度が高く、製造終了したのちも愛用者が絶えない製品である。 1947年~1973年の間製造された「クラウン・グラフィック」は、スピードグラフィックから後部のフォーカルプレーンシャッターを省略し、4×5in判の国際規格ともなったワンタッチ着脱方式の「グラフロック」が採用され、ピントグラスからロールフィルムバックへの交換がワンタッチで行えるようになり、フォーカルプレーンがなくなった分、約40gほど軽量化され、リンホフマスターテヒニカに比べ極めて軽量・格安(約1/10)なためレンズボード国際規格のリンホフボードをグラフレックススピグラ用レンズボードに交換し、リンホフに比肩する安価な等価性能のテクニカルフィールドカメラとして愛用する写真家・写真愛好家が増大した。 また、グラフレックス規格フィルムホルダーは世界共通規格となり[注釈 1]マミヤプレスG[注釈 2]、マミヤRB67シリーズ、ホースマンの各種モデルが採用した。 沿革製造時期が長い製品に関しては、シャッター速度表などにある社名によりある程度製造年次を確定できる[1]。
製品一覧→詳細は「グラフレックスのカメラ製品一覧」を参照
フォーカルプレーンシャッターの操作方法グラフレックスは特徴的な固定マルチスリット式フォーカルプレーンシャッターを採用している[1]。「ふんどし」と呼ばれる長い幕に大小5つのスリットが固定して開いており、必要に応じてスリットを選んで使用するため、構造的に狂ったり故障する箇所がない[注釈 3]。もちろん酷使すれば布幕に引いてあるゴムが剥がれて穴が開く[1]し、逆に使わなさすぎればゴムがくっついてダメになる[1]が、しかしもしそうなっても修理は容易[1]で、蘇生は可能である[1]。 スリットの間隔はカメラのサイズによって変わるが、スリットの幅は1/8 in、3/8 in、3/4 in、1 1/2 in、T露出用の画面長辺長の5種に決まっており、通常上方のパネルにある蝶ネジを巻いて幕を巻き上げるとだんだんスリットは狭くなり[注釈 4]、小窓に「1/8」「3/8」「3/4」「1 1/2」「T」の数字を出すことで5段階に設定する。スリットを広くしたい時は後方にあるレバーを後ろに引けば1段ずつスリップする。スプリングのテンションは通常右側面下方のパネルについているノブを巻き、その上方の窓に1から6までの数字を出すことで6段階に設定する[1]。テンションを弱くしたい時はノブのすぐ近くにある小突起を上に押すと1段ずつ緩む[1]。スリットとテンションの組み合わせでT、1/10秒から1/1000秒まで25段階のシャッター速度設定が可能であり、その組み合わせを示すシャッター速度表がボディーかピントフードに必ずついている[1]。
カメラのその後同社からカメラの製造権とスーパーグラフィックに関する知的財産権を譲り受けた酒井特殊カメラ製作所は「トヨ・スーパーグラフィック」と改称し1987年までスーパーグラフィック(カメラ)の製造を続けた。なお酒井特殊カメラ製作所は、2002年10月31日に有限会社サカイマシンツールに改組(引継)しトヨビュー、トヨフィールドのみを製造販売している。 グラフレックスXLを譲り受けたカンボは小改良を施しカンボXLとして販売した。なお、有限会社サカイマシンツールは、グラフレックススピグラ用レンズボード(各種シャッター用)を現在も供給し続け、愛用者の需要に応えている。 脚注注釈
出典参考文献
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