数学 のグラフ理論 におけるクネーザーグラフ (英 : Kneser graph ) KG n ,k とは、n 元集合のk 元部分集合を各頂点に配し、互いに素な集合に対応する頂点を辺で結んだグラフのことを言う。1955年に初めて研究したマルティン・クネーザー の名にちなむ。
例
n 個の頂点を持つ完全グラフ はクネーザーグラフ KG n ,1 である。
クネーザーグラフ KG 2n − 1,n − 1 は奇グラフ (英語版 ) On として知られる。奇グラフ O 3 = KG 5,2 はピーターセングラフ と同型である。
性質
クネーザーグラフは頂点推移的 かつ辺推移的 である。各頂点は必ず
(
n
−
k
k
)
{\displaystyle \textstyle {\binom {n-k}{k}}}
個の隣を持つ。しかしながら、一般的にクネーザーグラフは強正則グラフ ではない。なぜならば、隣接していない頂点同士の複数のペアは、その対応する集合のペアの共通部分の大きさに依存して、共通に持つ近傍の数が異なるからである。
である。
j
=
0
,
.
.
.
,
k
{\displaystyle j=0,...,k}
に対し、固有値
λ
j
=
(
−
1
)
j
(
n
−
k
−
j
k
−
j
)
{\displaystyle \lambda _{j}=(-1)^{j}{\binom {n-k-j}{k-j}}}
が得られる。ここで、その重複度 は、
j
>
0
{\displaystyle j>0}
に対しては
(
n
j
)
−
(
n
j
−
1
)
{\displaystyle {\binom {n}{j}}-{\binom {n}{j-1}}}
であり、
j
=
0
{\displaystyle j=0}
に対しては 1 となる。証明にはこの論文 を参照されたい。
関連するグラフ
ジョンソングラフ (英語版 ) は、n 元集合の k 元部分集合が頂点となり、その (k − 1) -元部分集合が一致するとき、各頂点が隣接するようなグラフである。k = 2 に対して、ジョンソングラフはクネーザーグラフ KG n ,2 の補 となる。ジョンソングラフは、ジョンソンスキーム (英語版 ) と密接に関係している。それらはいずれもセルマー・ジョンソン (英語版 ) の名にちなむ。
一般化クネーザーグラフ KG n ,k ,s とは、クネーザーグラフと頂点集合は同じものであるが、二つの頂点が連結するための必要十分条件が、それらに対応する集合が s 以下の共通部分を持つこと、であるようなグラフのことである (Denley 1997 )。したがって、KG n ,k ,0 = KG n ,k である。
2部クネーザーグラフ (bipartite Kneser graph)H n ,k は、n 個の元の集まりから抽出される k 個の元および n − k 個の元の集まりを頂点とするグラフである。二つの頂点が辺によって連結されているための必要十分条件は、一方の集合が他方の部分集合となっていることである。クネーザーグラフと同様に、2部クネーザーグラフは次数
(
n
−
k
k
)
{\displaystyle \textstyle {\binom {n-k}{k}}}
でもって頂点推移的である。
2部クネーザーグラフは、KG n ,k の2部二重被覆 (英語版 ) として構成される。それにおいては、各頂点のコピーが作られ、各辺は、対応する頂点のペアを結び付けている辺と入れ替えられている (Simpson 1991 )。2部クネーザーグラフ H 5,2 はデザルググラフ (英語版 ) であり、2部クネーザーグラフ H n ,1 は王冠グラフ (英語版 ) である。
参考文献
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Chen, Ya-Chen (2000), “Kneser graphs are Hamiltonian for n ≥ 3k ” , Journal of Combinatorial Theory , Series B 80 (1): 69–79, doi :10.1006/jctb.2000.1969 , MR 1778200 , http://math.la.asu.edu/~cchen/kneser.ps .
Denley, Tristan (1997), “The odd girth of the generalised Kneser graph”, European Journal of Combinatorics 18 (6): 607–611, doi :10.1006/eujc.1996.0122 , MR 1468332 .
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Kneser, Martin (1955), “Aufgabe 360”, Jahresbericht der Deutschen Mathematiker-Vereinigung , 2. Abteilung 58 : 27 .
Lovász, László (1978), “Kneser's conjecture, chromatic number, and homotopy”, Journal of Combinatorial Theory , Series A 25 (3): 319–324, doi :10.1016/0097-3165(78)90022-5 , MR 0514625 .
Matoušek, Jiří (2004), “A combinatorial proof of Kneser's conjecture”, Combinatorica 24 (1): 163–170, doi :10.1007/s00493-004-0011-1 , MR 2057690 .
Shields, Ian Beaumont (2004), Hamilton Cycle Heuristics in Hard Graphs , Ph.D. thesis, North Carolina State University , http://www.lib.ncsu.edu/theses/available/etd-03142004-013420/ .
Simpson, J. E. (1991), “Hamiltonian bipartite graphs”, Proceedings of the Twenty-second Southeastern Conference on Combinatorics, Graph Theory, and Computing (Baton Rouge, LA, 1991) , Congressus Numerantium, 85 , pp. 97–110, MR 1152123 .
Valencia-Pabon, Mario; Vera, Juan-Carlos (2005), “On the diameter of Kneser graphs”, Discrete Mathematics 305 (1–3): 383–385, doi :10.1016/j.disc.2005.10.001 , MR 2186709 .
外部リンク