キス (魚)
キス(鱚、鼠頭魚)は、スズキ目スズキ亜目キス科(学名:Sillaginidae)に所属する魚類の総称である[1]。 あるいは、シロギス(Sillago japonica、分類によってはSillago sihama)の異称、あるいはシロギスがキスの異称とも定義される[2]。 キス科には、ホシギス・アオギスなど、沿岸の浅い海で暮らす種類を中心に5属約33種が記載されている[3]。キス類の多くは食用に利用されるほか、釣りの対象としても人気が高い。 分布キス科は、南アフリカから日本、オーストラリアにかけてのインド洋および西部太平洋に分布する[4]。 生態ほとんどの仲間は海岸付近の砂底で生活するが、一部の種類の稚魚は河口などの汽水域で成長するほか、ごくまれに淡水に進出する種も知られている[4]。 産卵期である夏には沿岸のごく浅い場所まで移動し、砂浜などでも頭を下げて海底を嗅ぎまわるように泳ぐ姿を見ることができる。食性は雑食性で、ゴカイ・スナモグリ・ヨコエビなど海底に生息する底生生物を捕食する。 形態キス科の仲間は細長い円筒形の体型をもち、口は小さい[5]。吻(口先)はとがり、砂底に潜む獲物を探るために利用される。全長45cm程度にまで成長する種類が多いが、最大では70cmに達することもある[4]。浮き袋は欠くか、あるいは痕跡的で、存在する場合は多数の突起による複雑な構造を示す[4]。 背鰭は2つあり、互いの間隔はごく狭いか、ほとんど近接している[4]。第1背鰭は10–13本の棘条で、第2背鰭は1本の細い棘条と16–27本の軟条で構成される[4]。臀鰭の基底は長く、2棘14-26軟条[6]。椎骨は32–44個で、スズキ目内の30種余りの小グループとしては例外的に変化が大きい[4]。 利用ほとんどのキス類が食用に利用される。釣りの対象魚としても人気が高く、舟釣りや海岸からの投げ釣りは、誰でも楽しむことができる。かつて東京湾では浅瀬に脚立を立て、その上に腰かけてアオギスを釣る「脚立釣り」が名物であったが、汚染でアオギスが絶滅して以来、見られなくなった。餌はゴカイなど多毛類の生き餌、もしくはソフトプラスチックの疑似餌を使う。 身は脂肪が少なく柔らかい白身で、美味とされる。塩焼きのほか、刺身・天ぷら・フライなどに調理される。 江戸時代の将軍は、毎月1日、15日、28日以外の食事には鱚の塩焼きと漬け焼きの二種類が乗った「鱚両様」を食べることが日課となっていた[7]。 分類キス科に Kaga(2013)はアトクギス属Sillaginops を新たに設け, さらに従来3属で構成されていたキス科の分類に5属を認めている[3]。本稿では、FishBaseに記載される5属34種についてリストする[6]。
おもな種
キスにちなむ語句前述のように細長い円筒形の体型から、「痩せぎす」の語源の一つとも考えられている[8]。 語源語源は諸説ある[9]。
出典
関連項目外部リンク
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