カオス*ラウンジカオス*ラウンジ (CHAOS*LOUNGE) は、日本の美術集団[1]。 藤城嘘が代表のグループ展「ポストポッパーズ」[2]を前身とする[3][4]。 集団と展示会文脈により「カオス*ラウンジ」を示す内容が集団であったり展示会であったりと一定でない。グループとしての「カオス*ラウンジ」を大まかに分類すると以下のようになる。 展示会ポストポッパーズとその延長としての展示会である「カオス*ラウンジ」である。 公式ホームページには「アーティスト・藤城嘘によって2008年から行われている展示&ライブペイント企画です。」と記されている[5]。 「カオス*ラウンジ」としての出展は2009年3月からであるが、前身の「ポストポッパーズ」としては2008年3月より活動を開始し[6]、2008年9月に初出展を行っている。「ポストポッパーズ」は、藤城嘘がイラスト投稿サイトpixivの中で気になる描き手に声掛けして募ったメンバーによる、展示の場としてのオフ会を指向した出展であった。また、当初の「カオス*ラウンジ」は、「ポストポッパーズ」同様にオフ会を指向しつつもその発展形となる、多人数のメンバーを募ったグループ展であった[7][8][9]。 集団現代アート集団としての「カオス*ラウンジ」である。 2010年3月、「ポストポッパーズ」として「GEISAI#14」に出展した際、ライブペインティング「つかさをつくろう!」に「GEISAI CRITICAL MEDIA」審査員であった[10]美術家・美術批評家の黒瀬陽平が介入することにより、「ポストポッパーズ/カオス*ラウンジ」と黒瀬が接点を持つこととなった[7][11]。2010年4月に開催された「カオス*ラウンジ2010 in 高橋コレクション日比谷」より、黒瀬が「カオス*ラウンジ」に加入し現代アートとしての理論補強が行われた結果、従来「カオス*ラウンジ」が持っていたpixivユーザーオフ会の性質が変質・発展的に解体され、現代アートの文脈に接続されることとなった[1][12]。黒瀬によって「カオス*ラウンジ宣言」が同展示会にて行われ[1]、宣言では、現代アートのあり方について「アートに神秘性などない。人間の知性も感性も内面も、すべては工学的に記述可能である。」などと批評した[13]。また、東浩紀と村上隆の後押しを得ており[1]、特に村上からは、美術専門誌『美術手帖』2010年5月号へのカオス*ラウンジ特集広告の出稿[14]、村上自身のギャラリーにおける「CHAOS*LOUNGE フェス」や、「pixiv画面端フェスタ」の開催、「カオス*ラウンジ2010 in 台湾」のプロデュース[15][16][17]、展示作品「破滅*ラウンジ」[18]の購入[19][20]などの支援を受けている。 歴史「カオス*ラウンジ」は、当初、藤城嘘単独による企画として開始したが[4][8]、黒瀬が加入した「カオス*ラウンジ2010 in 高橋コレクション日比谷」の時点で黒瀬と藤城による共同企画となった[8]。2020年までは、黒瀬が集団の代表を務め[21][22]、展示会は黒瀬、藤城両名による主催[23]となっていた。2020年7月に黒瀬は退社、現在の代表は藤城に戻っている。美術家の梅沢和木は、「ポストポッパーズ」時代の初期(ポストポッパーズ IN GEISAI #11)から参加している[24]。村上隆によるバックアップを受けていることでも知られる[25]。 法人化代表の黒瀬陽平は、「カオス*ラウンジ」をいくつかの事業を柱として活動を行う組織とし、近々法人化するとの構想を、2011年5月12日に明らかにした[26][27]。 その後、2015年3月16日に「合同会社カオスラ」として法人化を行った[28][29]。 商標第5492088号CHAOS*LOUNGEの文字とイラストからなる商標は、2011年(平成23年)12月6日に商標出願され、2012年(平成24年)5月11日付けで商標登録されている[30]。商標登録時の商標権者は上記3名のメンバー以外の個人であったが[31]、その後、商標権はピンクカンパニーに属するとされる別の個人[32]に移転されている[30]。なお、登録商標については、商標掲載公報の発行(本件の場合は2012年6月12日)から2ヶ月間、登録に異議を申し立てることができるが、本件については異議申立は行われていない。ただし、今後も無効審判を請求することは可能である(詳細は、日本の商標制度#商標登録の取消しおよび無効参照)。 権利者以外が登録商標を使用することは商標権の侵害にあたる。本件の登録商標はカオス*ラウンジ以外の個人が権利を有しているため、たとえカオス*ラウンジであっても、本件の登録商標を使用すると商標権の侵害にあたる恐れがある。ただし、商標法上は、先使用権が認められる場合には登録商標を使用することができることとされており、商標出願前から本件商標を使用していたカオス*ラウンジにも先使用権が認められる可能性がある[33]。また、権利者から通常使用権・専用使用権の設定を受けた場合等にも、登録商標を使用することができる。 ピンクカンパニーは、カオス*ラウンジブランドを展開し、アート・グッズ販売等の活動をしている。アート活動の一環としてウェブページが開設された[34][35][36][37][38]。 この商標は分納期限が満了した2017(平成29)年5月11日をもって抹消されている[39]。 第5577285号「カオス*ラウンジ」の文字による商標は黒瀬陽平の名義により2012年9月28日に出願され、登録商標第5577285号[40]として2013年(平成25年)4月26日に登録されている。 特徴少女を主なモチーフとした漫画表現によるキャラクターを既存キャラ・オリジナルキャラかを問わず多用した展示物が特徴的であり、メンバーはイラスト投稿サイトpixivを含む、インターネット上などで活動している一般の非美術家がメインである。また、「破滅*ラウンジ」は、いわゆる「ギーク」と呼ばれる、ITの専門家のメンバーを中心とした出展であり、通常の「カオス*ラウンジ」とは毛色の異なる内容となっている[1][7][41]。 批判・問題手法・主張に対する批判カオス*ラウンジの手法に対して、商標権や肖像権、著作権の侵害を指摘する批判がある[42]。 カオス*ラウンジの主要メンバーである梅ラボこと梅沢和木の作品には、インターネット上に公開されている画像を素材として使用しているものが多数あり、その作者への了承を得ずに作品を販売していることから批判が高まっている。 この批判についてカオス*ラウンジは、ファンアートである二次創作の延長であると主張しているが、本を破いて踏みつける、可愛い絵柄のイラストを溶かしてわざと不気味な絵にするという表現手法に嫌悪感を示す人間も多く、さらに反感を買っている。 イラストSNS「pixiv」の発表2011年7月には、カオス*ラウンジに関する批判に対してpixivが謝罪する事態があった。これは、カオス*ラウンジのメンバーがpixivのイラストを取り込んだコラージュを、イラストの作者に無断で発表したことが発端だった。 pixivでは著作権に問題のあるイラストを随時削除しているが、カオス*ラウンジのメンバーがpixivで公開しているコラージュは多数の通報があったにもかかわらず放置され(中には告発したのが原因で、即座に強制退会処分にされた者まで出た)、それ以外のコラージュ作品は削除されていたことから、カオス*ラウンジメンバーに対する優遇措置が噂になり、さらにpixivが投稿されたイラストをカオス*ラウンジに素材として提供したのではないかとの憶測が流れたために釈明を行ったと思われる。 pixivはカオス*ラウンジの活動に関係したことはなく、イラストの使用を認めた事実もないと釈明し、2011年7月26日にカオス*ラウンジのメンバーのアカウントを停止し[43]、同28日に黒瀬、梅沢、藤城の3名はpixivを自主退会した[44][45][46]。 アカウント停止処分のみで、カオス*ラウンジのメンバーが自主退会を行ったため、猶予なしで強制退会処分となった他のユーザーよりも優遇されているわけではない、と証明できる機会は失われた事になる。 コピーした紙幣の販売「破滅*ラウンジ」で千円紙幣をコピーしたもの(赤瀬川原平のオマージュと思われる)が作品として展示・販売されていたことが、通貨及証券模造取締法違反にあたる為多くの人から警察・サイバーポリス等に通報されており、現在返答待ちになっている[42]。 セクシャルハラスメント・パワーハラスメント問題2021年2月1日、元代表の黒瀬陽平らからセクシャルハラスメントやパワーハラスメント、退職強要を受けたとして元社員の女性が合同会社カオスラと黒瀬らに対し、損害賠償と解雇無効の地位確認を求めて提訴した[47]。 作家傾向各出展において、メンバーとなる作家[48]の他、 プロの現代美術家からpixivに存在するアマチュア作家、映像作家などインターネットで幅広い参加者を流動的に集め、展示への参加者は約200名[49]程存在するが、方向性の違いや事件に対する彼らのずさんな対応により疎遠になった者も多数存在する。 主要作家
一般作家一時的な参加者各々の展示会毎に、流動的にゲスト参加者の招待も行っている。また、展示会によっては、観客が飛び入り参加によって出品を行う場合や、観客が制作に参加する仕様の展示物もある。 企画うしじま*ラウンジ(仮)撮影会in破滅night「破滅*ラウンジ・再生*ラウンジ 〜アーキテクチャ時代のイメージ〜」内の「破滅*ラウンジ」コーナーにて、2010年5月18日に、コスプレイヤーのうしじまとのコラボレーションによって撮影会が行われた[57]。 CHAOS*LOUNGE フェスカイカイキキギャラリーの関連ギャラリー、Hidari Zingaroにて行われた、「カオス*ラウンジ」メンバーの個展・グループ展[58]。
pixiv画面端フェスタ「CHAOS*LOUNGE フェス」内の企画として、2010年6月24日より、「pixiv画面端フェスタ」としてカイカイキキギャラリー中野ブロードウェイ1号店にて、ライブドローイングが「カオス*ラウンジ」のメンバーによって行われた。ライブドローイングは、屋内のテナントとして入居しているギャラリーの外側壁面にて行われ、約3か月の間に十数回行われている[65][66][67]。 カオス*ハウス プロジェクト2010年9月に、展覧会「"ゼロ年世代"の都市・建築・アート「CITY2.0--WEB世代の都市進化論」」内の企画として参加[68]。「破滅*ラウンジ」や、「カオス*ラウンジ」のメンバーが生活する住居を、ギークハウスからも情報を得ながら設計を行った[69][70]。 GENESIS*ラウンジアスキー・メディアワークス刊行の漫画雑誌『電撃大王GENESIS』と共同の連載企画。2010 AUTUMN(2010年12月号)より連載。「カオス*ラウンジ」のメンバーが漫画原稿持ち込みの過程に則って、本誌への漫画掲載に挑戦する[56]。 カオスラ*ッシン裏原宿のセレクトショップ「ミキリハッシン」とのコラボレーションにより、ファッションブランド「カオスラ*ッシン」を立ち上げ、同店内の特設ブースにて2011年2月11日-17日の期間中、展示販売が行われた[71][72][73]。 ホテル カオス*サンラインビジネスホテルホテルサンライン蒲田にて、「カオス*ラウンジ」のメンバーが客室の内装に全面的にアートを施した企画。2011年4月より予約受付開始。3室が対象となっており、宿泊が可能であったが、2012年5月13日を以って企画は終了した[74][75]。 iPhone 4ケースiPhone 4用のケースを「カオス*ラウンジ」のメンバーがデザインしている。黒瀬陽平、梅ラボ(梅沢和木)、藤城嘘、他11名のメンバーが参加し、計48種類のケースがある。それらのケースは、2011年5月より富士フイルムが運営するオンラインサイトにて販売されていたが[76][77][78]、一部商品にオンラインサイトが定める「アートワークのガイドライン」に抵触する表現があり、翌月、全商品が販売中止となった[79][80]。 トークイベント2012年9月17日に、阿佐ヶ谷ロフトAにて、トークイベント「風雲メディア城!!〜毎度お騒がせします。〜」が行われる予定であったが、公演中止となった。本イベントでは、「カオス*ラウンジ」主要作家の黒瀬陽平、藤城嘘、梅沢和木のほか、「うしじま*ラウンジ(仮)撮影会in破滅night」にてコラボレーションを行ったことのあるコスプレイヤーのうしじまいい肉や、ハイパーメディアフリーターの黒田勇樹などが参加する予定であった。 ちなみに、本イベントへの参加者には、一切のイベント中の電子機器を用いた記録行為や、情報送信行為、事後のイベント内容の記録物の作成が禁じられる条件であった[81][82]。 福島第一原発麻雀化計画2013年12月27日に、「カオス*ラウンジ」の新作として『福島第一原発麻雀化計画』が、株式会社ゲンロン主催、ゲンロンカフェにて開催された「「フクシマ」へ門を開く――福島第一原発観光地化計画展 2013」にて、公開された[83][84]。本作は、麻雀のルール、および、麻雀牌のデザインをアレンジしたものであり、プレイヤーは、それぞれ東京電力、九州電力、関西電力、北海道電力の電力会社を演じ、原発事故を発生させ、寄付金や、賠償金をやり取りするという設定となっている。また、役の名前や、役が成立する条件も福島第一原子力発電所事故にちなんだ設定がなされている。 展示ポストポッパーズ
カオス*ラウンジ
物販書籍・雑誌
同人誌
ほか
その他に、一部の作品の販売を行っている。 脚注
関連文献
外部リンク
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