オリエント工業
オリエント工業(オリエントこうぎょう)は、日本の東京都台東区にある有限会社ツチヤ商会[1]が、ラブドールを製造・販売するときに使用しているブランド名である。 かつては、ダッチワイフを販売していたが、その後はリアルなラブドールを主に製造・販売している。 概要![]() 創業者の土屋日出夫は、在日アメリカ軍専門の引っ越し業者で働いていた際、知人に誘われ東京都台東区の上野および浅草[2]でアダルトショップの経営を始めた[3]。当時のダッチワイフがあまりにも空気漏れが多いなど、店で取り扱っていた女性用の性具(バイブレータ)と比べて著しく実用性が低く、改良も進んでいなかった[3]。また親交のあった脳神経科医や常連客から、障害者が実際の性行為を行うこともままならぬ状況におかれながらも性欲をもてあまし[4]、また風俗嬢にも相手にされないなど非常に難儀しているという実情を知った土屋は、経営していた1店舗を売却した資金で1977年(昭和52年)にオリエント工業を創業し、男性向けダッチワイフの開発に乗り出した[3]。 障害者については、性処理相談や10%の障害者割引制度などで支援を行っている[5]。当初は同社によればそもそも開業当時は障害者へ向けての販売しか行っておらず、通信販売時にも障害者手帳の写し提示を必要としていた[6]。それが「高齢者なら」「独身男性なら」「既婚者でも単身赴任中なら」と、徐々にハードルは下がっていった[7]。 2012年ではシリコーン製、ソフトビニール製の製品が多い。シリコーンを使うことで、透明感のあるヒトの肌の再現を実現している[8]。購入は原則として通信販売であるが、東京都台東区上野のショールームでは、直接納品後に持ち帰ることも可能[9]。 同社のラブドールのボディと頭部の原型は、それぞれ専門の造形師が担当している。アルバイトも受け入れており、芸術大学などに求人を出している[10]。ボディ原型の担当の大澤瑞紀は、東京藝術大学で彫刻を学んでいた際、大学の学生課に出ていたアルバイト募集を見て応募し、大学院修了後にそのまま就職した[10]。2024年時点では3名の卒業生を雇用している[11]。 また、オリエント工業製ドールを時間貸しするレンタル業者、ラブドール風俗も存在する。同社との関係は不明である。ドールが高額な事がレンタルを利用する一因であり、そのサイズ・存在感を鑑み、購入後の維持出来るかを確認する意味合いからも、実際に試してから購入するというケースも多い[要出典]。 2010年には歯学部生の訓練用として、テムザックと昭和大学歯学部が共同開発した患者ロボット『昭和花子』の軟部組織再現の技術協力や、警察が事件の再現に利用するなど、ラブドール以外の分野にも進出を始めている[3]。なおテムザックのプレスリリース[12]では、オリエント工業の関与について触れられていない。 2012年、ドン小西、糸井重里、壇蜜らと共に、第15回みうらじゅん賞を受賞。 2024年8月21日、代表の土屋日出夫が体調面の問題から引退することに伴い、全ての事業を終了することを発表した[13][14][15]。 2024年11月1日、海外ECサイトなどを手がけていた岡本祐也が新代表に就き、営業再開されることが発表された[16]。 エピソード製品のリアリティーさから、ショールームへの搬入時に死体と間違われ、警視庁に踏み込まれたことが幾度かある。 不要になった際にはオリエント工業に郵送すれば「里帰り」として引き取り、処分と人形供養を行うといったサービスもある[17][11]。徴収した供養料は人形供養を依頼している神社へ渡されている[11]。ちなみに、出荷は嫁入りと称する。 オリエント工業は永沢光雄『風俗の人たち』での取材に対し、ダッチワイフに南極と言う語を用いた企業は当社が初であり、当社が元祖であるという旨を主張している。 歴史創業初期
1980年代
1990年代
2000年代
2010年代
2020年代
ファンタスティック2000年[29]から、「オリエント工業」とは別ブランドである「ファンタスティック」での活動も行っていた。2012年3月22日にファンタスティックとしての運営を終了している[30]。 比較的写実的なオリエント工業ブランドのドールとは全く赴きが異なり、アニメ・マンガなど、2次元の世界の美少女をそのまま等身大で立体化したかの様な造形の頭部を持ったドールを販売していた[31]。2010年現在では、10万円 - 20万円台の商品が多い。 なお、首から下の胴体部分は、ソフトビニール製のほか、シリコン製のものも選択可能である[32][注 2]。 ラインナップ オリジナルペイントを行うユーザー向けに、ティナ・ティセヘッドの無塗装ヘッドも発売されていた。ティナとティセは目のペイントの違いのみで、造形は共通である。 ドール以外にもオリジナルの着せ替え衣装、靴、ウィッグなどを販売していた。また、ティナとティセは専用メイド服が設定されていた。 胴体部分はオリエント工業のCandyGirlプチアリス(後にプチソフト)と共通の為、ホール部分や頭部の接続方式は共通である。2012年3月よりシリコンボディは頭部の接続方式が改良された為、ファンタスティックの各ヘッドも新型シリコンボディとは互換性は無い。但し購入時に別途改造を申し込むことにより球型接続方式に対応可能(ジュエル136/146、ナノシリコン製胴体のみ対応可)[33]。ヘッド、衣装、靴等の衣類はオリエント工業ブランドでも発売されており、各パーツが個別に注文が可能であった。 脚注注釈
出典
参考文献
関連項目外部リンク
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