オウムアムア [ 6] [ 15] (ʻOumuamua[ 注 2] (1I/2017 U1))は、2017年 に発見された、天体観測 史上初めて太陽系 外から飛来した恒星間天体 である[ 4] [ 16] [ 17] 。
特徴
オウムアムアが太陽系を通過した軌道を想像したアニメーション
2017年 10月19日 、マウイ島 のハレアカラ山 頂にあるパンスターズ の天体望遠鏡 「PS1」によって、見かけの等級 が20の暗い天体 が発見された[ 18] 。発見以前の9月9日 に近日点 を通過し、0.248au (約3710万km )まで太陽 に接近、[ 7] 10月14日 、地球 から2400万kmのところを通過[ 7] 、その5日後に発見されたことになる。当初は彗星 であると考えられたため、「C/2017 U1」という仮符号 が与えられたが、観測からこの天体が明確な双曲線軌道 にあり、太陽からの脱出速度 よりも速いことが示されたことで、太陽系の重力に束縛されていない恒星間天体である可能性が示唆された[ 19] 。10月25日 、ウィリアム・ハーシェル望遠鏡 が観測を行ったところ、表面は太陽系外縁天体 に似た赤色であることが示された[ 20] 。また超大型望遠鏡VLT の観測によって、彗星特有のコマ が確認されなかったため、小惑星とみなされ、「A/2017 U1」へと変更された[ 21] [ 22] [ 23] (Aは小惑星(asteroid)を意味する符号であり、当初彗星とされながら小惑星へとカテゴリが変更されたもののみにこの符号が与えられる)。その翌日には、カタリナ・スカイサーベイ もA/2017 U1の観測に成功している。
観測結果から、A/2017 U1の軌道離心率 が約1.199と、極端な双曲線軌道であることが判明した[ 10] 。この値は、これまでの最高記録であるボーエル彗星 の1.058[ 24] を大幅に更新し、発見当時としては太陽系内で観測されたあらゆる天体の中で最も大きな値であった。2017年10月時点で、A/2017 U1はこと座 のベガ から約5度離れた位置にあったが、約1年が経過した2018年 11月時点で土星 付近の軌道を通過しており[ 25] [ 26] [ 27] 、太陽系を離脱した後は、ペガスス座 の方向に移動すると考えられている[ 2] 。
オウムアムアは細長い形状をしていると想像されている
円形形状でのオウムアムアの想像図
オウムアムアは直径160m 前後の小さな天体とされた[ 10] が、NASA は、直径400m未満としている[ 5] 。また観測による可視光線 の波長 の変化などから、棒状の細長い形、あるいは薄い円盤状をしており、また回転しているとも推察されている。前者の直径は球形とした場合の仮定で、棒状、円盤状だった場合は最大で800mほどあると推察されている[ 25] [ 26] [ 27] 。
2018年 9月には、研究者らがオウムアムアの故郷である可能性がある複数の恒星 系を絞り込んだと発表した[ 28] [ 29] 。
オウムアムアについて、オウムアムアが太陽に接近、離脱する際に発生した原因不明の加速を手がかりに、岩石質の小惑星のように凍結線 の内側で表面の揮発性物質を失った、彗星・小惑星遷移天体 やダモクレス族 のような天体とする説のほか[ 30] 、元々存在した恒星系を弾き出された後、宇宙線 に長期間に渡って晒されたことによって、表面の揮発性物質をすべて失い、厚い地殻が形成されたとする仮説も提示されている[ 8] [ 31]
。中には、太陽の放射圧 を利用した地球外文明 の探査機 である可能性を示唆する説まで現れた[ 32] が、ハワイ大学などの国際研究チームによって「オウムアムアは完全に天然起源の天体である」とする研究結果が出され、地球外文明由来の人工物であるとする説は否定されている[ 33] 。それによれば、オウムアムアは母星系のオールトの雲から重力圏を抜け出した天体で、太陽系接近時の加速は塵やガスの放出で充分に説明できる小ささである[ 33] 。しかし、これには2018年11月12日時点でハーバード大学 と意見が割れている。2021年1月時点で、ハーバード大学教授であり天文学部長を歴代最長で務めた著名な天文学者 アヴィ・ローブ が「地球外文明からの探査機説」[ 34] を唱えているため、天文物理学者 のイーサン・シーゲル と真っ向から意見の相違[ 35] があるなど、これも各分野で意見が割れる要因となっている。
名称
2017年11月7日、小惑星センター は、恒星間天体に対する新たな符号として「I」を使うこと、符号を「1I/2017 U1」と改めると同時に「ʻOumuamua 」という固有名を付けたことを発表した[ 4] 。これはハワイ語 で「遠方からの初めての使者 」もしくは「斥候 」を意味し、ハワイ語の専門家カイウ・キムラ とラリー・キムラ からの助言を受けたパンスターズによって提案され、正式に命名された[ 4] [ 33] 。
ギャラリー
想像図
オウムアムアの軌道
地球から見ての距離を強調した軌道図
円形形状でのオウムアムアの想像図
脚注
注釈
出典
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関連項目
外部リンク
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