エルマーのぼうけん
『エルマーのぼうけん』(原題:My Father's Dragon)は、1948年にアメリカで出版された児童文学作品である。著者はルース・スタイルス・ガネットで、挿絵はガネットの義理の母親ルース・クリスマン・ガネット(Ruth Chrisman Gannett)によって描かれた。日本語版は渡辺茂男によって訳された。1963年7月15日初版発行[1]。 NHKの幼児向けテレビ番組『にんぎょうげき』で1968年に人形劇として放映され、この人形劇は同局の『おとぎのへや』や『こどもにんぎょう劇場』などでも再放送された。1997年には『エルマーの冒険』として日本でアニメーション映画化された(アニメ映画を参照)。 2022年にはNetflixによってアニメーション映画化された。 →詳細は「エルマーのぼうけん (2022年の映画)」を参照
概要『エルマーのぼうけん』は、1946年、ルース・スタイルス・ガネットが22歳の時にスキー場のロッジでアルバイトをしながら書いた児童文学作品である。 主人公のエルマー・エレベーターが、助けた野良猫の話に従ってどうぶつ島に渡り、捕らえられていた竜の子供を助けるまでを書いた作品である。 原題は「お父さんの竜」(My Father's Dragon)で、語り手の父親(my father)が9歳の少年だった時の話として書かれている。会話などで直接的に名前を使う時を除いて、ほとんどすべてが、主人公を「エルマー」ではなく「my father」 と表現して語られていくが、2巻目である『エルマーとりゅう』からは「エルマー」を主語に用いている。日本語訳はシリーズ3作品が揃った後に出版され、1作目の主語も「エルマー」としている。 両親の勧めで、ガネットは出版社のランダムハウスに持ち込んだ。とりあえず子供たちの反応を見る事にした編集者が、ある小学校の生徒たちに『エルマーのぼうけん』を読ませると大好評だった。しかし、担任の教員の報告書には「著者は少し頭がいかれてるのでは?」と書かれていた。 挿絵画家選びは難航したが、1946年に出版され、1947年にニューベリー賞最優秀賞(Newbery Winner)受賞作であるキャロライン・シャーウィン ベイリーの児童文学作品『ミス・ヒッコリーと森のなかまたち』の挿絵を描いたルース・クリスマン・ガネット(Ruth Chrisman Gannett)に頼むことになった。 ルース・クリスマン・ガネットはルース・スタイルス・ガネットの義理の母親でもある。 『エルマーのぼうけん』は1948年に出版されるとすぐに、ニューヨーク・ヘラルド・トリビューンの「春の児童図書祭賞」(Children's Spring Book Festival Award)を受賞し、1949年にはニューベリー賞優秀賞(Newbery Honor)の1つに選ばれている。 エルマーが竜を助けて家に帰ろうとするところで終わっているため、その続きとして1950年に『エルマーとりゅう』(原題:Elmer and the Dragon)、1951年に『エルマーと16ぴきのりゅう』(原題:The Dragons of Blueland)が出版された。 ストーリーエルマーのぼうけんかれき町に住む9歳の少年エルマーは、助けた野良猫からどうぶつ島に囚われている可哀想な竜の子供の話を聞いた。 竜は首を綱で繋がれて川を渡るのに使われているという。 エルマーは竜を助けに貨物船の荷物に紛れてみかん島に渡り、隣のどうぶつ島に入ったが、侵入者として追われる身に。 しかし、エルマーは持ってきた様々な道具とアイデアを用いて猛獣達をごまかしながら竜の元へと辿り着き、ついには綱を切って竜の背中に乗り、逃げる事に成功した。 エルマーとりゅうどうぶつ島を脱出した竜とエルマーは、みかん島からかれき町へ向かった。 嵐に遭遇して浅瀬の砂地に不時着する事になったが、幸いなことに近くにカナリヤばかりが住むカナリヤ島があった。 エルマーは、昔、家で飼っていたカナリヤのフルートと再会し、カナリヤの王、カン十一世を紹介された。 先祖のカン一世は人間に連れて来られたが、その人間達は、将来、島に戻ってきた時のためにと、木を植えたり畑を作ったり、宝箱を埋めたりして去った。宝箱については、王様だけが代々語り継いでいた。代々の王様は中身が気になり、知りたがり病に侵されていた。 王様が何を知りたがっているのか気になって、島中のカナリヤが知りたがり病になっていた。 カン十一世は決着をつけようと、エルマー達に宝箱の秘密を教え、掘り出してもらうことにした。 カン十一世から渡された鍵で開けると中から食器セットや金の時計、純銀のハーモニカ、金貨6袋などが出てきた。 カナリヤには使いようの無いものだらけだったが、カン十一世は金貨を見て溜め込めば金持ちになれると喜んだ。 エルマーと竜は金貨やハーモニカ、金の時計をお土産に受け取り、かれき町へと向かった。 竜が人間達に見つかって騒ぎにならないように注意しながら、エルマーは家の近くに下ろしてもらう。家に帰った日はエルマーの父の誕生日であり、エルマーは帰宅を喜ぶ両親を前にプレゼントとしてカナリア島で貰ったお土産を父に渡し、ハーモニカを吹くのだった。 エルマーと16ぴきのりゅうエルマーと別れた竜は、家族のいるそらいろ高原に向かった。 人間に見つからないように夜に移動し、昼間は橋の下に隠れようとしたが、体を隠せる橋が中々見つからず、大きな土管を見つけて眠った。 途中で走っている所を百姓のワゴンに見られてしまい、追われることとなったが、ワゴンの牛達が助けてくれた。 とんがり山脈を越えてごびごび砂漠に入ると、いつも人間達を阻んでいた砂嵐が無く、そらいろ高原が丸裸になっていた。 竜は、そらいろ高原の岩山の上に人間達を見つけて近寄り、その会話を盗み聞きした。 そこで竜は、人間達が15匹の竜の寝込みを襲って洞穴に追い込んだ事を知った。 入り口では人間達が大きな網を張って竜達が飛び出してくるのを待ち構えていた。 入り口と反対側の小さな穴から潜り込んだ竜は、途中でつかえて進めなくなるが、両親と姉妹6匹、兄弟7匹全てに、助けを呼んでくるまでじっと待つように伝えた。家族は竜の事をボリスと呼んだ。 エルマーに助けを求めに引き返したボリスは、また人間達に見つかりながらも、エルマーの家の近くのみどり公園まで飛んで行った所、猫に発見され、エルマーに報せが届いた。 ボリスと猫とエルマーで作戦会議をした後、エルマーは道具を買い集め、ボリスに乗ってそらいろ高原を目指した。 洞穴の小さな穴に着くと、エルマーはボリスと家族の間を往復して準備を進めた。 ボリスが聞いた人間達の会話に出てきた名前を叫びながら、エルマーは運動会用のピストルを撃ち、洞穴の内側から人間達に助けを求めた。 洞穴の外の人間達は、仲間が竜に捕まったと勘違いし、助けに応じて網を抑えていた大石を動かし、網をどけ始めた。 3発目の銃声を合図に、ボリスは笛とラッパを鳴らして外を走り回り、さらに15匹の竜も呼応して笛とラッパを吹きはじめ、こだまする大音響で人間達を驚かし、開いた網の隙間から逃げることに成功した。 ボリスがエルマーを連れ帰る途中、砂漠に砂嵐が戻って来そうな気配がした。砂嵐があればもはや人間達はそらいろ高原には留まれない。 ボリスはわかめ町記念塔の上にエルマーを下ろし、共に別れを惜しんだ。 エルマーは安全のために竜について猫以外には誰にも話さない事を約束した。 エルマーが汽車でかれき町まで帰った翌日、新聞に竜の目撃談が沢山掲載された。 竜に子供が乗っていたという話もあったため、父親はエルマーが関係してないか聞いたが、エルマーは「そんなバカな話、本気にしてるの?」と笑うばかりであった。 登場人物
エルマーのぼうけん(登場人物)
エルマーとりゅう(登場人物)
エルマーと16ぴきのりゅう(登場人物)
シリーズ作品
日本語版すべて福音館書店から出版されている。
エルマーの冒険(アニメ映画)
『エルマーの冒険』というタイトルで1997年7月5日に公開。カラー作品で98分。ストーリーは1作目『エルマーのぼうけん』に準じているが、続編で出てくるキャラも一部登場している。主人公・エルマーの声およびOP主題歌をTRFのYU-KI が務めた。 キャスト
スタッフ
主題歌
脚注出典外部リンク
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