エスタンシアエスタンシア(Estancia)
バレエ音楽『エスタンシア』(Estancia)作品8は、アルベルト・ヒナステラが1941年に作曲したバレエ音楽。バレエ音楽としては「パナンビ」に次いで2作目で、ヒナステラの代表作と言える。ガウチョの生活や、パンパに住む人々を描いた民族色豊かな作品となっている。後に組曲(作品8a)が編まれ、現在ではこの組曲が一般に演奏される。 概要民族的な要素に加えてストラヴィンスキーなどからの原始主義的な影響も受け、変拍子やオスティナート語法を多用している。演奏にはオーケストラにピアノと多くの打楽器を加えた若干変則的な編成が必要となる。全曲版では1人のテノール(兼・ナレーター)も加わる。作曲にあたってヒナステラはアルゼンチンの農村部を実際に訪問しており、農園での生活が克明に描かれている。 アメリカン・バレエ・キャラバン(American Ballet Caravan コープランドのバレエ音楽「ビリー・ザ・キッド」で有名)が、ジョージ・バランシンを振付師として迎えた南米ツアーのためにヒナステラにバレエ音楽を委嘱した。しかし、このバレエ団自体が解散してしまったため、全曲版の初演は1952年まで持ち越されることになった。 初演の計画の頓挫を受けて、ヒナステラは全曲版から4曲を選んで組曲を作成した。この作品の初演によって、ヒナステラはアルゼンチンのクラシック音楽界の大御所としての名声を確立することになった。 日本での初演(組曲版)は、1956年11月11日、上田仁指揮東京交響楽団によって行われた[1]。吹奏楽用にも編曲され、日本の吹奏楽関係者の知るところとなっている。 全曲版全曲版の初演は前述のとおり、組曲版より9年遅れた1952年、ブエノスアイレスのコロン劇場にて、Michael Borowskiの振付で行われた。作曲以来、演奏機会は組曲版に比べて圧倒的に少ない。バレエは1幕5場からなり、それぞれの場で夜明け、朝、昼、夜、夜明けが描かれ、全体で農場の一日を表現している。全体を通して、局所局所でテノールによって、ホセ・エルナンデスの詩『マルティン・フィエロ』による朗読あるいは独唱が挿入される。 録音はジゼレ・ベン=ドール(Gisele Ben-Dor)指揮、ロンドン交響楽団のものがナクソスから販売されている。 組曲版日本では一般に組曲「エスタンシア」と呼ばれるが、正確には「西:Estancia (Quatro Danzas del Ballet) (英:Dances from Estancia)」となる。全曲を通しても30分程度のエスタンシアだが、作品が日の目を見ることが無くなることを憂えたヒナステラは、バレエ組曲を組むことを思い立った。組曲の初演は1943年5月12日、Ferruccio Calesioの指揮でブエノスアイレスのコロン劇場にて行われ、大きな成功を収めた。組曲は以下の4曲からなる。
最近では、グスターボ・ドゥダメルがこの組曲、とくに終幕の踊りを積極的に取り上げており、にわかに人気が高まりつつある。 編成ピッコロ、フルート(ピッコロ持ち替え・従ってピッコロは計2本必要)、オーボエ2本、B管クラリネット2本、ファゴット2本、F管ホルン4本、C管トランペット2本、打楽器群(ティンパニ、トライアングル、タンバリン、カスタネット、スネアドラム、テナー・ドラム、シンバル、バスドラム、タムタム、シロフォン - 演奏者計8名)、ピアノ、弦五部 他楽器への編曲
他、演奏家が独自に編曲した様々な版がある。 脚注
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