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イトヒキフエダイ (糸引笛鯛、Symphorus nematophorus )は、スズキ亜目 フエダイ科 の海水魚 の一種。イトヒキフエダイ属は単型 。沖縄ではイヌバー と呼ばれる[ 2] 。
分類
本種は1860年にオランダの魚類学者ピーター・ブリーカー によってスラウェシ島から得られた標本に基づいて Mesoprion nematophorus として記載された[ 3] 。1872年にドイツ生まれのイギリスの魚類学者アルベルト・ギュンター が Symphorus 属とした[ 4] 。 イトヒキフエダイ属はフエダイ科イトヒキフエダイ亜科に属する2属のうちの1属である[ 5] 。属名の意味はギュンターによって説明されていないが、「一緒に」を意味する "sym" は背鰭が分裂していないことに由来する可能性がある。種小名の「糸」を意味する "nemato" という語は、若魚の背鰭の軟条が糸状に伸びることに由来する[ 6] 。
分布・生態
西太平洋 の亜熱帯 、熱帯 域に分布[ 2] 。アンダマン海、タイ西部から東はフィジー、トンガまで、北はオーストラリア北部、ニューカレドニアから琉球列島まで、西太平洋に広く分布する。稚魚、成魚ともに水深50m以浅の珊瑚礁 、岩礁 に生息する[ 2] [ 5] [ 7] [ 8] 。日本 では、高知県 、琉球列島 沿岸に見られる[ 7] 。
通常単独で生活するが、パラオ沖では群れでの繁殖行動が観察されている。主に魚食性だが、口に入る小動物なら何でも食べる[ 2] 。最大寿命は36年[ 1] 。
形態
全長は最大1mだが、通常は35cmほど[ 5] 。最大体重は13.2kg[ 5] 。体高は比較的高く、吻部はあまり尖らない[ 2] 。眼と鼻孔部の間には切れ込みが入る。口は眼まで開く。鰓蓋に突起や切れ込みは無い。内側には薄い歯が、外側には太い歯がある。上顎前方には犬歯のような歯がある。鋤骨歯は無い[ 9] 。本種は和名の通り糸を引くように背鰭 の第3-第6軟条が伸びる[ 7] 。頭 部背縁は丸く、体色は赤 い[ 7] 。尾 柄上部に黒色 円斑はなく[ 7] 、腹鰭、臀鰭および尾鰭の下縁は黄色[ 2] 。また背鰭は10棘15-16軟条、臀鰭は3棘9軟条[ 2] [ 5] 。胸鰭は長く、肛門まで伸び、鰭条16本で構成される。尾鰭は截形[ 9] 。体色は灰褐色から赤みがかった色で、不規則な模様が入る[ 8] 。若魚は橙色から褐色で、頭部と体側に青色縦線が8-12本あり、固定後は暗色に変化する[ 2] 。
利用
本種は釣りやスピアフィッシングの対象で、食用となり、美味しいとされる[ 7] 。
老成魚からはシガテラ 中毒が報告例があり[ 7] [ 8] 、大型個体を利用する際は注意が必要である。
シノニム
属名
Glabrilutjanus Fowler, 1931
Paradicichthys Whitley , 1930
種小名
Mesoprion nematophorus Bleeker , 1860
Glabrilutjanus nematophorus (Bleeker, 1860)
Lutjanus nematophorus (Bleeker, 1860)
Symporichthys nematophorus (Bleeker, 1860)
Symphorus taeniolatus Günther , 1872
Paradicichthys venenatus Whitley , 1930
Symphorus forsteri Fowler , 1933
脚注
^ a b Russell, B.; Lawrence, A.; Myers, R.; Carpenter, K.E.; Smith-Vaniz, W.F. (2016). “Symphorus nematophorus ” . IUCN Red List of Threatened Species 2016 : e.T194347A2317915. doi :10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T194347A2317915.en . https://www.iucnredlist.org/species/194347/2317915 25 September 2023 閲覧。 .
^ a b c d e f g h 岡村・尼岡,1997年,336頁
^ William N. Eschmeyer. Fricke, Ron & van der Laan, Richard (eds.): “Species in the genus Symphorus ”. Catalog of Fishes . California Academy of Sciences. 2023年9月25日 閲覧。
^ William N. Eschmeyer. Fricke, Ron & van der Laan, Richard (eds.): “Genera in the family Lutjanidae ”. Catalog of Fishes . California Academy of Sciences. 2023年9月25日 閲覧。
^ a b c d e Froese, Rainer; Pauly, Daniel (eds.): “Symphorus nematophorus in Fishbase ”. Fishbase. 2023年9月25日 閲覧。
^ Christopher Scharpf & Kenneth J. Lazara, eds.: “Order LUTJANIFORMES: Families HAEMULIDAE and LUTJANIDAE ”. The ETYFish Project Fish Name Etymology Database . Christopher Scharpf and Kenneth J. Lazara. 2023年9月25日 閲覧。
^ a b c d e f g 小西,2011年,109頁
^ a b c Bray, D.J.. “Symphorus nematophorus ”. Fishes of Australia . Museums Victoria. 2023年9月25日 閲覧。
^ a b Gerald R. Allen (1985). FAO species catalogue Vol.6. Snappers of the world An annotated and illustrated catalogue of lutjanid species known to date . FAO Rome. pp. 160-161. ISBN 92-5-102321-2 . https://www.fao.org/3/ac481e/ac481e43.pdf
参考文献
関連項目