アーメンの幻影『アーメンの幻影』(アーメンのげんえい、フランス語: Visions de l'amen)は、オリヴィエ・メシアンが1943年に作曲した2台ピアノのための作品。邦題は他にも『アーメンの幻』や『アーメンの幻視』、『アーメンのヴィジョン』とも表記される。 作曲の経緯第二次世界大戦のドイツの侵攻によってメシアンは捕虜になり、捕虜収容所内で『世の終わりのための四重奏曲』を作曲・初演したが、翌1941年には解放されて占領下のパリでパリ音楽院の教職についた。このときの最初の学生のひとりがピアニストのイヴォンヌ・ロリオだった。 1942年、映画会社シノプスのドニーズ・チュアル (fr:Denise Tual) はトリニテ教会でメシアンによるオルガン即興演奏を聞いて圧倒され、メシアンにプレイヤッド演奏会 (fr:Concerts de la Pléiade) のための作品を依頼した[1]。メシアンはすばやく作曲したが、ロリオによればいくつかの主題は1942年に上演された『神はけがれなし』(オイディプス王にもとづく悲劇)のために作曲した付随音楽(紛失)から取られているという[2]。 1943年5月10日にパリのギャラリー・シャルパンティエ (Galerie Charpentier) で、イヴォンヌ・ロリオの第1ピアノ、メシアン本人の第2ピアノによって初演された[3]。イヴォンヌ・ロリオがメシアンの曲を初演するのはこれが初めてだった[4]。1949年にメシアンとロリオはディアル・レコード (Dial Records (1946)) のために『アーメンの幻影』の初録音を行った[5]。楽譜は1950年3月にようやく出版された[6]。 音楽『アーメンの幻影』は、1929年の『前奏曲集』のような内向的な音楽とは方向性が大きく異なり、聴衆へ訴えかけるところの強い技巧的な難曲である。イヴォンヌ・ロリオのおかげでこの後のメシアンの曲はピアノが中心的な位置を占めることになった[7]。ロリオの担当する第1ピアノには鐘や鳥の歌などの技巧的な修飾が割りあてられ、メシアン自身の担当する第2ピアノは主題を担当する[8][9]。 本曲でメシアンは作品全体を統一するために初めて主題を循環的に用いている[9]。 曲の構成全7曲から構成され[10]、演奏時間は約45分。メシアンはエルネスト・エローの著作から引用して「アーメン」に4つの異なった意味があるとし、それぞれの意味を第1曲、第3曲、第4曲、第7曲に置いている[11][12]。
脚注
参考文献
外部リンク
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