アモルフェア
アモルフェア (Amorphea) は、真核生物に属する生物の一群である。 概要オピストコンタとアメーボゾア、およびそれらに近縁な原生生物が含まれている。オピストコンタのさらに下位には、後生動物や真菌が含まれている。 名称殻や細胞壁のような固い構造に覆われない限り、細胞が特定の形(ギリシア語: μορφή, morphḗ)を取らないことが多いことから名付けられた[1]。 定義この分類群は、ヒト、アカパンカビ、キイロタマホコリカビの3種を全て含む最小のクレードと定義されている。ただし上述のクレードに以下のいずれかの種が含まれる場合には、アモルフェアという名前を使わないこととされている: シロイヌナズナ(アーケプラスチダ)、Tetrahymena thermophila(アルベオラータ)、Thalassiosira pseudonana(ストラメノパイル)、Bigelowiella natans(リザリア)、Euglena gracilis(エクスカバータ)、Emiliania huxleyi(ハプト植物)[1]。 アモルフェアという名前と以上の定義は、PhyloCodeでも有効なものとして登録されている。 分類以下のような系統が含まれている。
歴史アメーボゾアとオピストコンタの近縁性は分子系統解析により2000年までに繰り返し示されている[2][3]。その一方、真核生物に対する外群の情報を十分得ることが難しいため、真核生物全体の共通祖先の位置は明確になっていなかった[3][注釈 1]。キャバリエ=スミスは2002年に、鞭毛と中心小体の進化と合わせて考察することで、この2群が真核生物の起源と関係しているという説を提唱した。すなわち、一般的に中心小体は2つ対になっていて2本の鞭毛が生じるのに対し、アメーボゾアやオピストコンタでは鞭毛が1本だけのものが多く、とくにアメーボゾアでは中心小体自体が単独で存在するものがある。そこで中心小体が対にならず鞭毛が1本の生物をユニコント(unikont)と呼び、真核生物はユニコントの祖先から2本鞭毛を生じるバイコント(bikont)へと進化したものであり、オピストコンタや特にアメーボゾアはその過程を反映した生物だと主張した[5]。この説自体はそれほど広く受け入れられたわけではないのだが、真核生物全体を祖先的にユニコントとされた2群と祖先的にバイコントとされた残りの群に2分することは広く行われ、学名風にユニコンタ(Unikonta)と呼ぶ者も現れた[6][注釈 2]。ユニコントが祖先的という仮説はまもなく否定されてしまった[7]ため、それと混同することを避けるために、2012年にあらためて正式に命名されたのがアモルフェアである[1]。 注釈出典
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