アブソルーション

『アブソルーション』
ミューズスタジオ・アルバム
リリース
録音 2002年9月 – 2003年6月
ジャンル
時間
レーベル ワーナー・ミュージック・グループ
イギリスの旗 Taste Media
日本の旗 cutting edge
プロデュース リッチー・コスティ、ジョン・コーンフィールド、ポール・リード、ミューズ
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
ゴールドディスク
  • マルチプラチナ(イギリス)
  • プラチナ(アメリカ)
ミューズ アルバム 年表
オリジン・オブ・シンメトリー
(2001年)
アブソルーション
(2003年)
ブラック・ホールズ・アンド・レヴァレイションズ
(2006年)
EANコード
EAN 4943674094264
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アブソルーション』(: Absolution)は、イギリスロックバンドであるミューズの3作目のスタジオ・アルバム。2003年9月22日にイギリスのレーベル「Taste Media」から発売。全英アルバムチャートで1位を記録。2023年11月17日に20周年記念リマスター盤『Absolution XX Anniversary』を発売した。

背景

2002年にミューズはアメリカのレーベル「マヴェリック・レコーズ」から契約を解除され、ヨーロッパを中心に活動することを決める[5]

この時期のミューズはアメリカでは人気を得ておらず、前作『オリジン・オブ・シンメトリー』がアメリカで発売されなかったことから、システム・オブ・ア・ダウンサージ・タンキアンが自身のレーベル「サージカル・ストライク」と契約することを打診する[6]。これを受けてマヴェリックはタンキアンに移籍金50万ドルを要求した[6]。タンキアンは条件を飲んでミューズと契約することを検討していたが、ワーナー・ブラザースがタンキアンを通さずにミューズとの契約の準備を進め、2003年にワーナーとの契約に至った[6]

制作

2002年初頭にブライトン郊外のカントリーハウスを6ヶ月間借り、作曲に取り組む[5]マシュー・ベラミーは当時テリー・ライリーに触発され、ほとんどの楽曲をピアノで作曲した[7]。作詞に影響を与えた出来事として、マヴェリックとの関係の終焉、イラク戦争アメリカ同時多発テロ事件アメリカ同時多発テロ事件陰謀説を挙げている[5][8][9]

2002年後半からロンドンAIRスタジオでプロデューサーのジョン・コーンフィールドとポール・リードと共にレコーディングを開始し、「バタフライズ・アンド・ハリケーンズ」「ブラックアウト」を録音する。その後、アメリカの音楽プロデューサーであるリッチ・コスティが参加し、全体的なプロデュースを務めた[5][10]。レコーディングは前作同様に一発録りで行い、その上でオーバー・ダビングを行った[10]

ベラミーはMansonのカスタム・ギターを使用し、アンプはマーシャルとDiezelを使用[10]。ベースのクリス・ウォルステンホルムは3台のマーシャル(1台はクリーン、2台はディストーション)を使用し、配合した[10]

「ストックホルム・シンドローム」でコスティはベラミーのギターにクラビアシンセサイザー「Nord Modular」のヴォコーダーを使用し、空洞感のあるホワイトノイズのようなサウンドを作り出した[5]。「タイム・イズ・ランニング・アウト」のイントロのベース音はローランドのシンセサイザーをマーシャルで鳴らしたもの[5]

サウンドデザインビジュアルプログラミング言語の「Kyma」を使用[5]。ベラミーはKymaによって「とんでもなくハイファイで明るく、未来的なサウンド」になったと話した[5]

2003年初頭にミューズとコスティはロンドンの「Livingston Recording Studios」でAIRスタジオで録音したものを完成させた[10]。コスティはミキシングリバーブをほとんど加えず、マイクによって録音された自然な雰囲気を採用した[10]。その後、ロサンゼルスの「Cello Studios」に場所を移し、3週間かけて録音およびミキシング作業を終えた[5][10]

アートワークはストーム・ソーガソンに依頼し、テーマとして「空を見上げる人物が、頭上を通り過ぎる空飛ぶ人々の巨大な部隊を目撃する」を提示した[11]

発売

2003年9月22日にイギリスのレーベル「Taste Media」から発売[12]全英アルバムチャートで1位を記録[13]日本では9月15日にcutting edgeから先行発売され[注 1]オリコン週間アルバムチャートで28位[15]。アメリカではワーナー・レコードから発売され、Billboard 200で107位、トップ・ヒートシーカーズで1位を記録し、全米チャートに初めてランクインした[16]。イギリス(BPI)で2013年にマルチプラチナ、アメリカ(RIAA)で2016年にプラチナの認定を受けた[12][17]

9月8日に先行発売されたシングル「タイム・イズ・ランニング・アウト」は全英シングルチャートで初めてトップ10入りし、イギリス、アメリカでゴールド認定を受けた[18][19]。2009年に『ケラング!』が発表した「21世紀のベスト・アルバム(50 Best Albums of the 21st Century)」で2位に選出された[20]

2023年11月17日にボーナストラック、ライブ音源、デモ音源を収録した20周年記念リマスター盤『Absolution XX Anniversary』を発売した[21]

収録曲

全作詞: マシュー・ベラミー、全作曲: マシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「イントロ - Intro」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
2.「アポカリプス・プリーズ - Apocalypse Please」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
3.「タイム・イズ・ランニング・アウト - Time Is Running Out」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
4.「シング・フォー・アブソルーション - Sing for Absolution」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
5.「ストックホルム・シンドローム - Stockholm Syndrome」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
6.「フォーリング・アウェイ・ウィズ・ユー - Falling Away with You」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
7.「インタールード - Interlude」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
8.「ヒステリア - Hysteria」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
9.「ブラックアウト - Blackout」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
10.「バタフライズ・アンド・ハリケーンズ - Butterflies and Hurricanes」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
11.「ザ・スモール・プリント - The Small Print」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
12.「エンドレスリー - Endlessly」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
13.「ソウツ・オブ・ア・ダイング・アシースト - Thoughts of a Dying Atheist」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
14.「ルールド・バイ・シークレシー - Ruled by Secrecy」マシュー・ベラミーマシュー・ベラミー、ドミニク・ハワードクリス・ウォルステンホルム[22]
合計時間:

日本盤

WPCR-13672[14][23]
#タイトル作詞作曲・編曲時間
13.「ファリー - Fury」  
14.「ソウツ・オブ・ア・ダイング・アシースト - Thoughts of a Dying Atheist」  
15.「ルールド・バイ・シークレシー - Ruled by Secrecy」  
合計時間:

シングル

  1. ストックホルム・シンドローム - Stockholm Syndrome
    ミューズのオフィシャルサイトでダウンロード販売。2021年にアメリカのプログレッシヴ・メタルコア・バンドであるERRAがセルフタイトル・アルバムのデラックス版でカバーした[24]
  2. タイム・イズ・ランニング・アウト - Time Is Running Out
    全英シングルチャート8位[25]
  3. ヒステリア - Hysteria
    全英シングルチャート17位[25]
  4. シング・フォー・アブソルーション - Sing for Absolution
    全英シングルチャート16位[25]
  5. アポカリプス・プリーズ - Apocalypse Please
    全英シングルダウンロードチャート10位[26]
  6. バタフライズ・アンド・ハリケーンズ - Butterflies and Hurricanes
    全英シングルチャート14位[25]

脚注

注釈

  1. ^ 2009年9月16日にワーナーミュージック・ジャパンから再発売された[14]

出典

  1. ^ (英語) Absolution by Muse, https://www.metacritic.com/music/absolution/muse 2025年1月16日閲覧。 
  2. ^ (英語) Absolution - Muse Album AllMusic, https://www.allmusic.com/album/absolution-mw0000384478 2025年1月16日閲覧。 
  3. ^ Power, Tony (2004年12月5日). “Review Muse Absolution Blender”. web.archive.org. 2025年1月16日閲覧。
  4. ^ Muse: Absolution” (英語). www.popmatters.com (2004年5月19日). 2025年1月16日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i ミューズ (2023). Absolution XX (ライナーノーツ). ワーナー・レコード.
  6. ^ a b c Aldersladepublished, Merlin (2024年5月12日). “"They came to my house, we jammed together in my studio, they even played with my dog." How System Of A Down's Serj Tankian almost signed a young Muse to his own label - but was "screwed over"” (英語). louder. 2025年1月13日閲覧。
  7. ^ Innocence and Absolution, Robbie Gennet”. web.archive.org (2010年1月25日). 2025年1月14日閲覧。
  8. ^ STOUT, By GENE. “'Absolution' plows the ground for Muse's U.S. following” (英語). www.seattlepi.com. 2025年1月14日閲覧。
  9. ^ Lynskey, Dorian (2022年8月5日). “Muse’s Matt Bellamy: ‘I’ve got to an age where I’m not so titillated by disaster’” (英語). The Guardian. ISSN 0261-3077. https://www.theguardian.com/music/2022/aug/05/muses-matt-bellamy-ive-got-to-an-age-where-im-not-so-titillated-by-disaster 2025年1月14日閲覧。 
  10. ^ a b c d e f g Buskin, Richard (2003年12月). “Rich Costey: Producer Recording Muse's Absolution” (英語). Sound on Sound. 2025年1月13日閲覧。
  11. ^ published, TeamRock (2016年9月28日). “The story behind Muse's Absolution album artwork” (英語). louder. 2025年1月15日閲覧。
  12. ^ a b Muse Absolution” (英語). BPI. 2025年1月15日閲覧。
  13. ^ MUSE” (英語). Official Charts (1999年6月26日). 2025年1月15日閲覧。
  14. ^ a b Muse / ミューズ「Absolution / アブソルーション」”. ワーナーミュージック・ジャパン. 2025年1月15日閲覧。
  15. ^ アブソルーション ミューズ”. ORICON NEWS. 2025年1月14日閲覧。
  16. ^ Muse Biography, Music & News” (英語). Billboard. 2025年1月15日閲覧。
  17. ^ Gold & Platinum” (英語). RIAA. 2025年1月15日閲覧。
  18. ^ British single certifications – Muse – Time Is Running Out” (英語). BPI. 2025年1月15日閲覧。
  19. ^ American single certifications – Muse – Time Is Running Out” (英語). RIAA. 2025年1月15日閲覧。
  20. ^ Magazine Kerrang 50 Best Albums of the 21st Century Archive - Muse Messageboard”. web.archive.org (2012年3月29日). 2025年1月14日閲覧。
  21. ^ Trendell, Andrew (2023年9月15日). “Muse announce 'Absolution' 20th anniversary deluxe reissue” (英語). NME. 2025年1月15日閲覧。
  22. ^ Absolution (CD liner notes). Muse. Taste Media. 2003.
  23. ^ Muse アブソルーション”. タワーレコードオンライン. 2025年1月12日閲覧。
  24. ^ Childers, Chad ChildersChad (2022年2月23日). “ERRA Reveal Crushing Muse Cover 'Stockholm Syndrome'” (英語). Loudwire. 2025年1月16日閲覧。
  25. ^ a b c d MUSE” (英語). Official Charts. 2025年1月12日閲覧。
  26. ^ APOCALYPSE PLEASE by MUSE” (英語). Official Charts. 2025年1月12日閲覧。

外部リンク

 

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