『アブソルーション 』(英 : Absolution )は、イギリス のロックバンド であるミューズ の3作目のスタジオ・アルバム 。2003年9月22日にイギリスのレーベル「Taste Media」から発売。全英アルバムチャート で1位を記録。2023年11月17日に20周年記念リマスター盤 『Absolution XX Anniversary』を発売した。
背景
2002年にミューズはアメリカ のレーベル「マヴェリック・レコーズ 」から契約を解除され、ヨーロッパ を中心に活動することを決める[ 5] 。
この時期のミューズはアメリカでは人気を得ておらず、前作『オリジン・オブ・シンメトリー 』がアメリカで発売されなかったことから、システム・オブ・ア・ダウン のサージ・タンキアン が自身のレーベル「サージカル・ストライク」と契約することを打診する[ 6] 。これを受けてマヴェリックはタンキアンに移籍金50万ドルを要求した[ 6] 。タンキアンは条件を飲んでミューズと契約することを検討していたが、ワーナー・ブラザース がタンキアンを通さずにミューズとの契約の準備を進め、2003年にワーナーとの契約に至った[ 6] 。
制作
2002年初頭にブライトン 郊外のカントリーハウス を6ヶ月間借り、作曲に取り組む[ 5] 。マシュー・ベラミー は当時テリー・ライリー に触発され、ほとんどの楽曲をピアノ で作曲した[ 7] 。作詞に影響を与えた出来事として、マヴェリックとの関係の終焉、イラク戦争 、アメリカ同時多発テロ事件 、アメリカ同時多発テロ事件陰謀説 を挙げている[ 5] [ 8] [ 9] 。
2002年後半からロンドン のAIRスタジオ でプロデューサーのジョン・コーンフィールドとポール・リードと共にレコーディングを開始し、「バタフライズ・アンド・ハリケーンズ」「ブラックアウト」を録音する。その後、アメリカの音楽プロデューサーであるリッチ・コスティが参加し、全体的なプロデュースを務めた[ 5] [ 10] 。レコーディングは前作同様に一発録りで行い、その上でオーバー・ダビング を行った[ 10] 。
ベラミーはMansonのカスタム・ギターを使用し、アンプはマーシャル とDiezelを使用[ 10] 。ベースのクリス・ウォルステンホルム は3台のマーシャル(1台はクリーン、2台はディストーション)を使用し、配合した[ 10] 。
「ストックホルム・シンドローム」でコスティはベラミーのギターにクラビア のシンセサイザー 「Nord Modular」のヴォコーダー を使用し、空洞感のあるホワイトノイズ のようなサウンドを作り出した[ 5] 。「タイム・イズ・ランニング・アウト」のイントロのベース音はローランド のシンセサイザーをマーシャルで鳴らしたもの[ 5] 。
サウンドデザイン にビジュアルプログラミング言語 の「Kyma」を使用[ 5] 。ベラミーはKymaによって「とんでもなくハイファイで明るく、未来的なサウンド」になったと話した[ 5] 。
2003年初頭にミューズとコスティはロンドンの「Livingston Recording Studios」でAIRスタジオで録音したものを完成させた[ 10] 。コスティはミキシング でリバーブ をほとんど加えず、マイクによって録音された自然な雰囲気を採用した[ 10] 。その後、ロサンゼルス の「Cello Studios」に場所を移し、3週間かけて録音およびミキシング作業を終えた[ 5] [ 10] 。
アートワークはストーム・ソーガソン に依頼し、テーマとして「空を見上げる人物が、頭上を通り過ぎる空飛ぶ人々の巨大な部隊を目撃する」を提示した[ 11] 。
発売
2003年9月22日にイギリスのレーベル「Taste Media」から発売[ 12] 。全英アルバムチャート で1位を記録[ 13] 。日本 では9月15日にcutting edge から先行発売され[ 注 1] 、オリコン週間アルバムチャート で28位[ 15] 。アメリカではワーナー・レコード から発売され、Billboard 200 で107位、トップ・ヒートシーカーズ で1位を記録し、全米チャートに初めてランクインした[ 16] 。イギリス(BPI )で2013年にマルチプラチナ、アメリカ(RIAA )で2016年にプラチナの認定を受けた[ 12] [ 17] 。
9月8日に先行発売されたシングル「タイム・イズ・ランニング・アウト」は全英シングルチャート で初めてトップ10入りし、イギリス、アメリカでゴールド認定を受けた[ 18] [ 19] 。2009年に『ケラング! 』が発表した「21世紀のベスト・アルバム(50 Best Albums of the 21st Century)」で2位に選出された[ 20] 。
2023年11月17日にボーナストラック、ライブ音源、デモ音源を収録した20周年記念リマスター盤『Absolution XX Anniversary』を発売した[ 21] 。
収録曲
日本盤
WPCR-13672[ 14] [ 23] # タイトル 作詞 作曲・編曲 時間 13. 「ファリー - Fury」 4:59 14. 「ソウツ・オブ・ア・ダイング・アシースト - Thoughts of a Dying Atheist」 3:11 15. 「ルールド・バイ・シークレシー - Ruled by Secrecy」 4:54 合計時間:
57:10
シングル
ストックホルム・シンドローム - Stockholm Syndrome
ミューズのオフィシャルサイトでダウンロード販売。2021年にアメリカのプログレッシヴ・メタルコア ・バンドであるERRA がセルフタイトル・アルバムのデラックス版でカバーした[ 24] 。
タイム・イズ・ランニング・アウト - Time Is Running Out
全英シングルチャート 8位[ 25]
ヒステリア - Hysteria
全英シングルチャート17位[ 25]
シング・フォー・アブソルーション - Sing for Absolution
全英シングルチャート16位[ 25]
アポカリプス・プリーズ - Apocalypse Please
全英シングルダウンロードチャート10位[ 26]
バタフライズ・アンド・ハリケーンズ - Butterflies and Hurricanes
全英シングルチャート14位[ 25]
脚注
注釈
出典
^ (英語) Absolution by Muse , https://www.metacritic.com/music/absolution/muse 2025年1月16日 閲覧。
^ (英語) Absolution - Muse Album AllMusic , https://www.allmusic.com/album/absolution-mw0000384478 2025年1月16日 閲覧。
^ Power, Tony (2004年12月5日). “Review Muse Absolution Blender ”. web.archive.org . 2025年1月16日 閲覧。
^ “Muse: Absolution ” (英語). www.popmatters.com (2004年5月19日). 2025年1月16日 閲覧。
^ a b c d e f g h i ミューズ (2023). Absolution XX (ライナーノーツ). ワーナー・レコード .
^ a b c Aldersladepublished, Merlin (2024年5月12日). “"They came to my house, we jammed together in my studio, they even played with my dog." How System Of A Down's Serj Tankian almost signed a young Muse to his own label - but was "screwed over" ” (英語). louder . 2025年1月13日 閲覧。
^ “Innocence and Absolution, Robbie Gennet ”. web.archive.org (2010年1月25日). 2025年1月14日 閲覧。
^ STOUT, By GENE. “'Absolution' plows the ground for Muse's U.S. following ” (英語). www.seattlepi.com . 2025年1月14日 閲覧。
^ Lynskey, Dorian (2022年8月5日). “Muse’s Matt Bellamy: ‘I’ve got to an age where I’m not so titillated by disaster’” (英語). The Guardian . ISSN 0261-3077 . https://www.theguardian.com/music/2022/aug/05/muses-matt-bellamy-ive-got-to-an-age-where-im-not-so-titillated-by-disaster 2025年1月14日 閲覧。
^ a b c d e f g Buskin, Richard (2003年12月). “Rich Costey: Producer Recording Muse's Absolution ” (英語). Sound on Sound . 2025年1月13日 閲覧。
^ published, TeamRock (2016年9月28日). “The story behind Muse's Absolution album artwork ” (英語). louder . 2025年1月15日 閲覧。
^ a b “Muse Absolution ” (英語). BPI . 2025年1月15日 閲覧。
^ “MUSE ” (英語). Official Charts (1999年6月26日). 2025年1月15日 閲覧。
^ a b “Muse / ミューズ「Absolution / アブソルーション」 ”. ワーナーミュージック・ジャパン . 2025年1月15日 閲覧。
^ “アブソルーション ミューズ ”. ORICON NEWS . 2025年1月14日 閲覧。
^ “Muse Biography, Music & News ” (英語). Billboard . 2025年1月15日 閲覧。
^ “Gold & Platinum ” (英語). RIAA . 2025年1月15日 閲覧。
^ “British single certifications – Muse – Time Is Running Out ” (英語). BPI . 2025年1月15日 閲覧。
^ “American single certifications – Muse – Time Is Running Out ” (英語). RIAA . 2025年1月15日 閲覧。
^ “Magazine Kerrang 50 Best Albums of the 21st Century Archive - Muse Messageboard ”. web.archive.org (2012年3月29日). 2025年1月14日 閲覧。
^ Trendell, Andrew (2023年9月15日). “Muse announce 'Absolution' 20th anniversary deluxe reissue ” (英語). NME . 2025年1月15日 閲覧。
^ Absolution (CD liner notes). Muse. Taste Media. 2003.
^ “Muse アブソルーション ”. タワーレコードオンライン . 2025年1月12日 閲覧。
^ Childers, Chad ChildersChad (2022年2月23日). “ERRA Reveal Crushing Muse Cover 'Stockholm Syndrome' ” (英語). Loudwire . 2025年1月16日 閲覧。
^ a b c d “MUSE ” (英語). Official Charts . 2025年1月12日 閲覧。
^ “APOCALYPSE PLEASE by MUSE ” (英語). Official Charts . 2025年1月12日 閲覧。
外部リンク
マシュー・ベラミー | ドミニク・ハワード | クリス・ウォルステンホルム スタジオ・アルバム ライヴ・アルバム
ハラバルー・サウンドトラック | ハープ | ライヴ・アット・ローマ・オリンピック・スタジアム
ボックス・セット ミニ・アルバム
ミューズ | マッスル・ミュージアム | ランダム 1-8 (日本限定) | デッド・スター/イン・ユア・ワールド (日本, デンマーク, フランス限定)
シングル
ウノ | ケイヴ | マッスル・ミュージアム | サンバーン | アンインテンデッド | プラグ・イン・ベイビー | ニュー・ボーン | ブリス | ハイパーミュージック/フィーリング・グッド | デッド・スター/イン・ユア・ワールド | ストックホルム・シンドローム | タイム・イズ・ランニング・アウト | ヒステリア | シング・フォー・アブソルーション | アポカリプス・プリーズ | バタフライズ・アンド・ハリケーンズ | スーパーマッシヴ・ブラック・ホール | スターライト | ナイツ・オブ・サイドニア | インヴィンシブル | マップ・オブ・ザ・プロブレマティック | アップライジング | アンディスクローズド・ディザイアーズ | レジスタンス | エクソジェネシス(脱出創世記) | ニュートロン・スター・コリジョン | サヴァイヴァル | マッドネス | フォロー・ミー | スプレマシー | パニック・ステーション | デッド・インサイド | マーシー | リヴォルト | アフターマス | リーパーズ | ディグ・ダウン | ソート・コンテイジョン | サムシング・ヒューマン | ザ・ダーク・サイド | プレッシャー | ウォント・スタンド・ダウン | コンプライアンス | ウィル・オブ・ザ・ピープル | キル・オア・ビー・キルド | ユー・メイク・ミー・フィール・ライク・イッツ・ハロウィーン | ゴースツ(ハウ・キャン・アイ・ムーヴ・オン)
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