アイアン・メイデン (英 : IRON MAIDEN )は、イングランド のヘヴィメタル ・バンド 。
世界で最も著名なHR/HM バンドの一つ。1980年代 初頭にイギリス で発生したヘヴィメタルの潮流「NWOBHM 」(New Wave Of British Heavy Metal )の代表格として、ブームの一翼を担い地位を確立。1990年代 末からラインナップが安定し、21世紀 に入ってもなお精力的に活動している。アルバムの総売り上げは、1億枚以上を記録[ 4] 。バンド名は、中世ヨーロッパの拷問 器具「鉄の処女 」に由来する。
バンド公式の日本語転写は無いが、日本国内盤を販売した東芝EMI が定める「アイアン・メイデン」と本項では記述する。
来歴
ポール・ディアノ期
1980年デビュー当時
ブルース・ディッキンソン期
ブルース・ディッキンソン(Vo) 加入初期 (1982年)
ブレイズ・ベイリー期
ブレイズ・ベイリー(Vo) 2005年
その後、ヘヴィメタル停滞という時代の流れなどにより、バンドの活動はスケールダウンしたため、ソロ活動に行き詰まっていたブルース・ディッキンソン、エイドリアン・スミスにオファーをし1999年 に再加入。それにしたがってブレイズが脱退する形となった[ † 2] 。これにより、バンドはトリプル・ギターの全6人編成になる。
リユニオン期
21世紀も精力的に活動中である。メンバーチェンジの多いバンドとしても知られるが、ブルースとエイドリアンの復帰以降は20年以上同じメンバーで安定している。現在のメンバー構成での活動期間が、トータルでも連続でもアイアン・メイデン史上最も長い。
音楽的特徴
1980年デビュー当時。左ポール・ディアノ(Vo) 右スティーヴ・ハリス(B)
初期にはハードロック に強く影響されながらも、ディアノの歌唱法のようにパンク・ロック の荒々しさを取り入れたサウンド を身上としており[ † 3] 、NWOBHM の黎明期からシーンの牽引力として同時期の代表格バンドとなった。3rdアルバム『魔力の刻印 - The Number Of The Beast - 』では、前任者よりはるかに広い声域 を持つヴォーカリスト のブルース・ディッキンソンが加入し、メロディアスかつ整合性を重視する傾向が強まった。以降はパンクの要素が減少し、流麗なギターワークを主軸とした音楽性が固定化した。2000年代からはデイヴ、エイドリアン、ヤニックの看板ギタリスト三人が揃い踏みとなった編成でよりヘヴィなサウンドとなっている。
プレイにおける特徴としては、まずベースがアンサンブル を牽引する、ないしベースが中核として構築される特異なスタイルが挙げられる。強力な2フィンガー奏法 によるペンタトニックスケール を基本としたフレーズ や3連譜 を主体とするソロ によって組み立てられたスティーヴのプレイは後述するギターの構成の補強のみならず、スティーヴ自身の存在感を強くアピールしている。ギターにおいては音数多く刻まれる硬質なリフ や、叙情的で勇壮なツイン・リード のコンビネーションなどが総ての時代を通じての特徴であり、時に過剰なほどにインタープレイが盛り込まれもする[ † 4] 。ヘヴィメタルの性質上総じてアップテンポな楽曲が多い反面、リーダーでメイン・ソングライターのスティーヴがイエス やジェネシス やジェスロ・タル といったプログレッシヴ・ロック のファンであることを公言しており、影響も受けていることから、複雑な展開と動静の変化を盛り込んだ長尺の楽曲も多い。そうした独特の音楽性ゆえ、ラッシュ やカンサス らプログレッシヴ ・ハードロックとは別個に、後輩のメタリカ などと同様にプログレッシブ・メタル の源流のひとつとされることもある。
逆に『第七の予言 - Seventh Son Of A Seventh Son - 』以降のアルバムにおいては、歌詞の面で同じフレーズを多用するようになり、歌詞の長さが短くなる傾向にある。
エディ
エディ・ザ・ヘッド(Eddie the Head 、通称エディ)はデビュー時からのバンドのキャラクターであり、アルバムやシングル盤のジャケットにデビュー時から常に登場する。またライヴのステージ上に巨大なエディが出現することもある。ゾンビ であり、『死霊復活 』のジャケットに描かれた墓碑銘には"Edward T.H."とある。過去には凍結されたり、復活したり、ピラミッドになっていたり、宇宙へ向かったりしたこともある。作者はイギリス人アーティスト、デレク・リッグス 。
エディは、2008年にワールドツアー用にチャーターされたアストライオス航空 のボーイング757 の垂直尾翼 にペイントされた。そのB757を同社の操縦士 でもあるディッキンソンが自ら操縦している。同機は"エアフォースワン "に掛けて"Ed Force One"と呼ばれた。機材が重くなったので、2016年にはボーイング747-400 (ジャンボジェット)の改造機に交替している[ 16] 。
B757 - Ed Force One
B747-400 - Ed Force One
ロゴ
特徴的なロゴは、1979年 リリースのThe Soundhouse Tapes 以来(広告では1977年から使用している[ 17] )、バンドのすべての作品を飾ってきた。本書体は1976年 の映画地球に落ちてきた男 のポスターのデザイン(en:Vic Fair が手掛けた)に由来しており、en:Gordon Giltrap やナナ・ムスクーリ [ 18] も使用しているが、スティーヴ・ハリスは建築製図者の訓練経験を元に自らデザインしたと主張している[ 19] 。
ロゴタイプにはいくつかバリエーションがあり、1995年 リリースのX ファクター では横長のものが、1998年 リリースのヴァーチャル・イレヴン から2010年 リリースのファイナル・フロンティア まではR, M, Nの下端が他の文字の下端からはみ出ていないものがそれぞれ使用された。
メンバー
※2021年7月時点
現ラインナップ
ブルース・ディッキンソン (Vo) 2014年
スティーヴ・ハリス (B) 2010年
デイヴ・マーレイ (G) 2008年
エイドリアン・スミス (G) 2010年
ヤニック・ガーズ (G) 2010年
ニコ・マクブレイン (Ds) 2008年
ライヴサポート
マイケル・ケニー (Michael Kenney) - キーボード (1986年 - )
サイモン・ドーソン (Simon Dawson) - ドラムス (2025年 - )
旧メンバー
ダグ・サンプソン (Doug Sampson) - ドラムス (1978-1979)
ポール・ディアノ (Paul Di'Anno) - ボーカル (1978-1981) ♰RIP.2024
トニー・パーソンズ (Tony Parsons) - ギター (1979)
デニス・ストラットン (Dennis Stratton) - ギター (1980)
クライヴ・バー (Clive Burr) - ドラムス (1980-1982) ♰RIP.2013
ブレイズ・ベイリー (Blaze Bayley) - ボーカル (1994-1998)
アルバムごとの編成
一覧表
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
売上枚数
アメリカでのアルバム販売枚数の10位までを記す。 (アメリカSoundScan社集計による)
死霊復活 - Live After Death (1985年、558,578枚)
フィア・オブ・ザ・ダーク - Fear Of The Dark (1992年、421,786枚)
魔力の刻印 - The Number Of The Beast (1982年、357,463枚)
頭脳改革 - Piece Of Mind (1983年、347,400枚)
パワー・スレイヴ~死界の王、オシリスの謎~ - Powerslave (1984年、299,022枚)
サムホエア・イン・タイム - Somewhere In Time (1986年、291,420枚)
ブレイヴ・ニュー・ワールド - Brave New World (2000年、282,460枚)
ベスト・オブ・ザ・ビースト (ベスト盤) - Best Of The Beast (1996年、251,112枚)
第七の予言 - Seventh Son Of A Seventh Son (1988年、218,056枚)
ノー・プレイヤー・フォー・ザ・ダイイング - No Prayer For The Dying (1990年、213,745枚)
全世界でのアルバム売上トップ10位[ 22]
(ChartMastersより)
魔力の刻印 - (1982年、1,882万枚)
頭脳改革 - (1983年、1,245万枚)
パワースレイヴ - (1984年、901万枚)
フィア・オブ・ザ・ダーク - (1992年、750万枚)
サムホエア・イン・タイム - (1986年、652万枚)
第七の予言 - (1988年、646万枚)
鋼鉄の処女 - (1980年、630万枚)
キラーズ (アイアン・メイデンのアルバム) - (1981年、570万枚)
ノー・プレイヤー・フォー・ザ・ダイイング - (1990年、340万枚)
ブレイヴ・ニュー・ワールド (アイアン・メイデンのアルバム) - (2000年、302万枚)
ヒットチャート
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その主題がイギリス に置かれた記述になっており、世界的観点 から説明されていない 可能性があります。
ノート での議論と記事の加筆 への協力をお願いします。 (2021年9月 )
イギリスでの年間ヒットチャートの第1位を記す。 (イギリスThe Official UK Charts Company調べによる)
アルバム
魔力の刻印 - The Number Of The Beast (1982年、2週TOP)
第七の予言 - Seventh Son Of A Seventh Son (1988年、1週TOP)
フィア・オブ・ザ・ダーク - Fear Of The Dark (1992年、1週TOP)
ファイナル・フロンティア - The Final Frontier (2010年、1週TOP)
魂の書〜ザ・ブック・オブ・ソウルズ〜 - The Book Of Souls (2015年、1週TOP)
シングル
Bring Your Daughter To The Slaughter (1991年、2週TOP)
日本公演
この節は
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Killer World Tour (1981年)
The Beast on the Road Tour (1982年)
World Slavery Tour (1985年)
4月14日・15日 中野サンプラザ
4月17日・19日 東京厚生年金会館
4月20日 名古屋市公会堂
4月22日 福岡サンパレス
4月24日 フェスティバルホール
4月25日 中野サンプラザ
Somewhere on Tour (1987年)
5月11日 名古屋市公会堂
5月13日 日本武道館
5月17日 京都会館
5月18日 広島厚生年金会館
5月20日 フェスティバルホール
No Prayer on the Road Tour (1991年)
Fear of the Dark Tour (1992年)
The X Factour Tour (1996年)
Virtual XI World Tour (1998年)
Brave New World!! Tour (2000年)
Dance of Death Tour (2004年)
A Matter of Life and Death Tour (2006年)
SOMEWHERE BACK IN TIME WORLD TOUR 08 (2008年)
2月15日 パシフィコ横浜
2月16日 幕張メッセ
The Final Frontier World Tour (2011年)
THE BOOK OF SOULS WORLD TOUR 2016 in JAPA N(2016年)
Legacy of the Beast World Tour (2020年)
THE FUTURE PAST WORLD TOUR 2024 (2024年)
脚注
注釈
^ 1976年と記述されている資料もある[ 5] 。
^ マネジメントはサンクチュアリで残った。
^ ポールはパンクのサウンドや精神への愛を語っている[ 14] 。一方で、スティーヴ・ハリスはパンクを嫌っており、影響を明確に否定している[ 15] 。
^ 必然的にリフを担当するプレイヤーが不在となるため損なわれる低音の音圧をスティーヴが補うことで可能となる。
出典
参考文献
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
アイアン・メイデン に関連する
メディア および
カテゴリ があります。