『さらば愛しきアウトロー』(さらばいとしきアウトロー、The Old Man & the Gun)は、2018年のアメリカ合衆国の伝記犯罪コメディ映画。監督はデヴィッド・ロウリー。主演はロバート・レッドフォード。共演はケイシー・アフレック、ダニー・グローヴァー、ティカ・サンプター、トム・ウェイツ、シシー・スペイセクら。誰ひとり傷つけることなく大胆不敵な犯罪を繰り返した実在の伝説的紳士強盗フォレスト・タッカー(英語版)を描いている[3]。なお、レッドフォードは本作を以て俳優を引退すると明言している[4][5]。
ストーリー
1981年、74才のフォレスト・タッカーは単独での銀行強盗に成功し、逃走の際に警察をまくために、未亡人で牧場主のジュエルのトラックに便乗した。老眼鏡が必要な年齢だが魅力的なジュエルと意気投合するタッカー。
強盗仲間で同様に高齢なテディやウォラーと組み、ダラスの銀行を襲うタッカー。ダラス市警のハント刑事は私用で銀行に居合わせたが、逃走後に支店長が声を上げるまで気づかないほど犯行は静かでスマートなものだった。被害者たちは一様に、犯人が高齢で拳銃はチラつかせるが、とても紳士的で笑顔を浮かべ犯行を楽しんでいたと証言した。ハント刑事が調べを進めると、老人による銀行強盗は複数の州に渡り、過去2年間で93件に及んでいた。
銀行強盗を重ねつつ、ジュエルの家を訪ねる仲になるタッカー。老人の強盗はテレビ・ニュースで「黄昏れギャング」と名付けられた。事件が州を跨いでいるためにFBIに捜査権を奪われるハント刑事。だが、ハント刑事の元に中年女性ドロシーから、自分の父親が犯人だと情報提供の手紙が届いた。
タッカーの娘であるドロシーと会うハント刑事。父親の顔も知らずに育ったドロシーは、15才までは服役していることさえ知らされていなかった。亡くなった母親は夫を愛していたが、出所してもタッカーは家族の元に戻らず、犯行と服役を繰り返したと冷たく語るドロシー。
引退した先輩刑事からタッカーの資料を譲り受けるハント刑事。老刑事はタッカーが脱獄の名手であり、楽しむために銀行を襲うと懐かしそうに語った。現場に指紋などは残っておらず、タッカー逮捕の決め手が掴めないハント刑事。だが、強盗仲間のテディが逮捕され自白したことから、タッカーはあっけなくFBIに逮捕された。
少年院の脱走以来、実に16回の脱獄歴を誇るタッカーだが、今回はおとなしく刑期を終え、出所後はジュエルの家で束の間の平和を味わった。しかし、ハント刑事にご機嫌伺いの電話をかけたタッカーに、銀行強盗をやめる気配はなかった。
キャスト
製作
2016年10月、デヴィッド・ロウリー監督・脚本の新作映画に、ロバート・レッドフォードとケイシー・アフレックが出演することが決定した。コンデナスト・パブリケーションズ、エンドゲーム・エンターテイメント(英語版)製作の下で、レッドフォード、ビル・ホルダーマン、アンソニー・マストロマウロ(英語版)、ドーン・オストロフ(英語版)、ジェレミー・ステックラー、ジェームズ・D・スターン(英語版)らがプロデューサーとして参加している[7][8]。2017年3月、シシー・スペイセク、ダニー・グローヴァー、ティカ・サンプター、トム・ウェイツ、エリザベス・モス、イザイア・ウィットロック・Jrがキャストに加わった[9][10]。同年4月、キース・キャラダインがキャストに加わった[11]。
撮影
主要な撮影は、2017年4月3日にオハイオで開始した。
公開
2017年3月、フォックス・サーチライト・ピクチャーズが本作の配給権を獲得した[12]。本作は2018年8月31日にテルライド映画祭で世界初公開された[13][14]。
また、2018年9月10日にはトロント国際映画祭でも上映される[15]。本作は当初、2018年10月5日にアメリカで公開される予定だったが[16]、2018年9月28日に前倒しされた[17]。
作品の評価
Rotten Tomatoesによれば、批評家の一致した見解は「美しくマッチしたキャストが命を吹き込んだ物語『さらば愛しきアウトロー』は、映画ファンにとって純粋で気楽なエンターテイメントであり、そして伝説にふさわしい別れでもある。」であり、265件の評論のうち高く評価しているのは93%にあたる246件で、平均して10点満点中7.57点を得ている[18]。
Metacriticによれば、49件の評論のうち、高評価は47件、賛否混在は2件、低評価はなく、平均して100点満点中80点を得ている[19]。
出典
- ^ “The Old Man and The Gun”. Toronto International Film Festival. July 24, 2018閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』2020年3月下旬特別号 72頁
- ^ “さらば愛しきアウトロー”. WOWOW. 2020年5月28日閲覧。
- ^ “Robert Redford Announces Retirement From Acting”. 2018年9月3日閲覧。
- ^ “ロバート・レッドフォード、俳優引退の意向を語る”. 2018年9月3日閲覧。
- ^ “ロバート・レッドフォード俳優引退作『さらば愛しきアウトロー』Blu-ray&DVDが2020年1月リリース”. 映画ランド. (2019年11月22日). https://eigaland.com/topics/?p=111154 2020年5月28日閲覧。
- ^ Barraclough, Leo (October 28, 2016). “Casey Affleck Joins Robert Redford in ‘The Old Man and the Gun’”. Variety. 2018年9月3日閲覧。
- ^ Coggan, Devan (October 28, 2016). “Robert Redford, Casey Affleck to star in crime movie The Old Man and the Gun”. Entertainment Weekly. 2018年9月3日閲覧。
- ^ N'Duka, Amanda (March 23, 2017). “Tika Sumpter Joins Casey Affleck In ‘The Old Man And The Gun”. Deadline Hollywood. 2018年9月3日閲覧。
- ^ Fleming Jr, Mike (March 23, 2017). “Fox Searchlight Landing Robert Redford & Casey Affleck Starrer ‘Old Man And The Gun’”. Deadline Hollywood. 2018年9月3日閲覧。
- ^ Hipes, Patrick (April 18, 2017). “Keith Carradine On The Case For ‘Old Man And The Gun’”. Deadline Hollywood. 2018年9月3日閲覧。
- ^ Winfrey, Graham (March 24, 2017). “Film Acquisition Rundown: Fox Searchlight Buys ‘The Old Man and The Gun,’ Grasshopper Film Picks Up ‘Bronx Gothic’ and More”. Indiewire.com. 2018年9月3日閲覧。
- ^ Tapley, Kristopher (August 30, 2018). “‘First Man,’ ‘Front Runner’ and ‘Roma’ Among 2018 Telluride Film Festival Selections”. Variety. 2018年9月3日閲覧。
- ^ “Telluride Film Festival Program Guide”. Telluride Film Festival. 2018年9月3日閲覧。
- ^ Vlessing, Etan (July 24, 2018). “Toronto: Timothee Chalamet Starrer 'Beautiful Boy,' Dan Fogelman's 'Life Itself' Among Festival Lineup”. The Hollywood Reporter. 2018年9月3日閲覧。
- ^ McNary, Dave (April 19, 2018). “Robert Redford’s ‘The Old Man and the Gun’ Lands Awards-Season Opening”. Variety. 2018年9月3日閲覧。
- ^ Perez, Rodrigo (June 5, 2018). “‘The Old Man And The Gun’ Trailer: Robert Redford Will Act One Last Time For Director David Lowery”. The Playlist. 2018年9月3日閲覧。
- ^ “The Old Man & the Gun (2018)” (英語). Rotten Tomatoes. 2020年7月12日閲覧。
- ^ “The Old Man & the Gun Reviews” (英語). Metacritic. 2020年7月12日閲覧。
外部リンク