こけし工人

こけし工人とは、伝統こけしを作製する職人のことである。創作こけし(近代こけし)を作る職人も、工人であるが、「作家」と称することが多い。

こけし工人とは比較的新しい用語でかつては、木地師木地屋木地挽とも)、轆轤師であった。また「こけし作者」、「こけし作家」、「こけし職人」とも呼ばれるが、現在では「こけし工人」(工人)が、ほぼ定着している[1]。 こけし製作者自身の作成した名簿にも、土湯温泉観光協会作成の「土湯こけし工人名鑑」などがある。 ただし、猪狩勝彦は「私はこけし工人という名が好きではありません。木地屋、轆轤師で良いのではないでしょうか」と語っている。(KokeshiWiki https://kokeshiwiki.com/?p=995)

こけし作りは、かつては、木地師と呼ばれる木製の椀、盆、皿などを作る職人の片手間仕事であった。 現在では木地師の家系ではない工人も多い。工人は木地挽きだけでなく描彩もすることが原則であるが、木地のみ(渡辺角治など)、描彩のみ(渡辺キンなど工人の妻が多い)の工人もいる。

系統別代表工人

土湯系

  • 佐久間浅之助
  • 西山弁之助
  • 佐藤吉弥
  • 佐藤松之進
  • 斎藤太治郎
  • 阿部新次郎
  • 阿部治助
  • (鯖湖亜系)
    • 渡辺キン
    • 高橋忠蔵

弥治郎系

  • 大野栄治
  • 鎌田文市
  • 佐藤喜一
  • 新山栄五郎
  • 新山久治
  • 佐藤栄治、

遠刈田系

  • 佐藤周治郎
  • 菅原庄七
  • 海谷吉右衛門
  • 佐藤秀一
  • 佐藤直助
  • 佐藤松之進
  • 磯谷直行
  • (文六系)
    • 佐藤文六(肘折系とする考えもある。『こけし辞典』247、305ページ)
    • 佐藤文吉
    • 佐藤丑蔵

鳴子系

  • 佐藤善七
  • 大沼岩蔵
  • 高橋盛
  • 高橋武蔵
  • 松田初見
  • 秋山忠
  • (外鳴子)
    • 河村清太郎
    • 宮本栄吉
    • 長谷川清一

山形作並系(山形系・作並系と分類する考えもある)

  • 小林倉治
  • 平賀謙蔵
  • 高橋胞吉
  • 小林倉治
  • 男沢春江

蔵王高湯系

  • 岡崎栄治郎
  • 木村吉太郎
  • 荒井金七
  • 秋山慶一郎
  • 斎藤源吉

肘折系

  • 佐藤周助
  • 奥山運七
  • 藤原政五郎

木地山系

  • 小椋久四郎
  • 小椋泰一郎
  • 伊藤儀一郎
  • 高橋兵次郎
  • 阿部平四郎

南部系

  • 藤井梅吉
  • 坂下権太郎
  • 佐々木与始郎
  • 佐藤七之助
  • 煤孫茂吉
  • 煤孫実太郎

津軽系

  • 盛秀太郎
  • 長谷川辰雄
  • 間宮明太郎
  • 村井福太郎
  • 奥瀬鉄則

独立系(雑系ともいう)

  • 阿部常吉
  • 柏倉勝郎

初出

用語としては、職人、職工ではない「工人」自体が新しい言葉である。(「工人」は中国語では労働者の意味。) それまでの職人というやや蔑視した呼称から、敬意をこめた呼称としては「作者」であった。[2]

鳴子の工人、「こけし製作-工人」という例はあっても、「こけし工人」と熟語として用いられたのは、さらに非常に新しい。その初出は確認できないが、比較的古いものを例示する。

  • 1955年 加賀山昇次「肘折のこけし工人たち」[3]

脚注

  1. ^ 『東北の顔 伝統こけしポケットガイド』p233「こけし工人系譜」
  2. ^ 『こけしと作者』
  3. ^ 「こけし手帖」4号p66(1955年8月)東京こけし友の会

参考文献

  • 橘文策『こけしと作者』大阪福音社、1939年。 
  • 『こけし辞典』東京堂出版、1971年。 
  • 土橋慶三『東北の顔伝統こけしポケットガイド(5版改訂版)』緑書店、1978年。 
  • 日外アソシエーツ『20世紀日本人名事典』日外アソシエーツ、2004年。ISBN 978-4-8169-1853-7 
  • 「デジタル版 日本人名大辞典+Plus」講談社

外部リンク

KokeshiWiki