ローゼル (英 : Roselle、学名 : Hibiscus sabdariffa )は、アオイ科 フヨウ属 の植物。一年生 または多年生 の亜灌木 (亜低木)。和名 はローゼルソウ [ 1] 。別名ロゼリ草 、ローゼリ草 [ 1] 、レモネードブッシュ などともよばれる。風味が似ている事から「フレンチ・ソレル」などスイバ に類似した呼び方をされることもある。
分布
西アフリカ 原産という説や、インド からマレーシア にかけた地域が原産という説など諸説がある。奴隷貿易 が盛んになった17世紀に、オクラ とともに西インド諸島 や中南米 で栽培が行われるようになり、世界各地の熱帯地方 に分布している。
特徴
高さ2 - 3メートル (m) に育つ低木。茎 は滑らかな表皮をもち、赤紫色である。花はクリーム色 で葉腋 に単生し、短日植物 で、9 - 11月ごろに開花する。萼 と苞 は肥厚して赤く熟す。花弁の基部は暗赤色 。葉は楕円形または3深裂し、互生 する。
利用
萼と苞の肥大した部分は、酸味があって生食できる[ 3] 。その他にジャム 、ゼリー 、酒 、ハーブティー 、清涼飲料 など様々なことに利用される[ 3] 。また、葉 は野菜 として、茎 からは繊維 として利用される。ミャンマー では「チンバウン 」とよばれ、葉を炒め物やスープにする。ビタミンC やクエン酸 を含んでいる[ 3] 。
ハイビスカス・ティー
ハイビスカス・ティー
ローゼルは、 花や果実(正確には肥大した萼と苞)をハーブティー 、「ハイビスカス・ティー 」に利用する。
ハイビスカス・ティーは赤く、クエン酸 などの植物酸が豊富で酸味がある。さわやかな嗜好飲料 として、ビタミンC やペクチン などが豊富なため風邪 や咽頭痛 の薬としても使用されている。また、利尿作用や穏やかな下剤としての作用などからダイエット 効果を謳った使用法や商品もある。
エジプト ではカルカデ(كركديه, Karkadē(h), カルカデー)、メキシコ では冷やしたものをアグア・デ・ハマイカ(Agua de Jamaica)と呼ぶ。西アフリカの国々では、濃く煮出して砂糖を入れ、ビニール袋に詰めて凍らせたハイビスカスティーが売られており[ 4] 、セネガル 、ブルキナファソ 、コートジボワール などではビサップ(Bissap)、ガーナ やナイジェリア ではソボロ(Sobolo)とよばれる。
他のハーブ とブレンドされることも多く、特にローズヒップ とのブレンドは互いの成分による相乗効果が期待される。
その他
ブラジルの日系人 社会ではローゼルの塩漬け が「花梅」と呼ばれ、作り方は梅干し とほぼ同じである[ 5] 。
「洛神花」という生薬 としても利用されている。
ギャラリー
蕾
花
花
萼と苞
肥厚した萼と苞
肥厚した部分の位置
子房の除去器具
乾燥した萼と苞
ハイビスカス・ティー
萼と苞の甘味漬け
葉(幼苗)
脚注
参考文献
高橋章監修 『花図鑑 ハーブ』 1996年第1刷発行 ISBN 4795295379
レベッカ・ジョンソン、スティーブン・フォスター、ティエラオナ・ロウ・ドッグ、デビッド・キーファー 著、関利枝子、倉田真木 訳『メディカルハーブ事典』日経ナショナル ジオグラフィック社、2014年。ISBN 9784863132726 。
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
ローゼル に関連するメディアがあります。