Z23型駆逐艦
Z23型駆逐艦(1936A型駆逐艦、Zerstörer 1936A)はナチス・ドイツ海軍(Kriegsmarine)が建造した駆逐艦である。Z31以降は改良型のZ31型駆逐艦(1936A(Mob)型駆逐艦、Zerstörer 1936A (Mob))として扱われることもある。 連合国からは両者を合わせてナルヴィク級駆逐艦(Nalvik class destroyer)と呼ばれていた。 概要1936A型駆逐艦は、1938年度建艦計画において発注された駆逐艦である。最大の改良点は主砲の大口径化であり、1936型までのドイツ海軍駆逐艦は主砲に127mm砲を採用しているのに対し、本型では150mm砲を搭載している。基本的な船体構造は1936型駆逐艦と変わりがないが、主砲の大口径化に合わせた改良が行われているほか、1936A(Mob)型では生産効率向上のために内部構造や機関部の一部簡略化が行われている。 主砲の砲塔配置は前部に1基、後部前寄りに前向きの砲塔が1基、後端部近くに2基搭載されている。ただしZ28だけは後部居住区が大型化しているため、前部と後部に2基ずつ搭載している[1]。当初の計画では前部砲塔を2連装砲塔とする予定であったが、1936A型の建造までに砲塔の製造が間に合わなかったため前面の砲塔も単装砲塔となっている。後に建造された1936A(Mob)型では建造当初から2連装砲塔を搭載していたほか、1936A型もZ23、Z24、Z25、Z29の4隻[2]は連装砲塔への換装が行われている。 15cm砲1936A型の150mm砲は軽巡の主砲や大型艦の副砲と共通の設計で、砲弾重量45kg、砲口初速835m/秒、最大射程23,500mとそれまでの127mm砲より強力なものとなっていた[3]。ドイツ海軍は第一次世界大戦末期にも150mm砲搭載の駆逐艦(S113、V116)を建造した実績があり、またドイツの仮想敵国であるポーランド、フランス、イギリスの海軍がいずれも火力に勝る大型駆逐艦を保有しているので、これらの艦への対抗上ドイツ海軍が自らの駆逐艦により強力な砲を載せようとするのは無理のない流れではあった。 しかし、本来大型艦での運用を想定していた15cm砲は、相対的に小さな駆逐艦の上では様々な問題を引き起こした。[要出典]
この結果、大戦中トライバル級を含むイギリス海軍の駆逐艦や(数字の上ではほぼ同格の主砲を持つ)軽巡との戦闘は何度か生起したが、ドイツ駆逐艦が互角または有利に戦ったと言える記録はあまりなく(訓練不足も災いした部分があるが)、ドイツ海軍も次級以降また主砲を127mmに戻すという措置を取っている。 同型艦1936A型は、1936A(mob)型と合わせて15隻が建造された。15隻中12隻はDeschimagのブレーメン造船所で建造され、Z37からZ39までの3隻はGermaniawerftのキール造船所で建造された。 さらに3隻が発注されていたが、1941年に捜索巡洋艦SP1型に設計変更され、その後建造中止となった。そのためZ40、Z41、Z42は欠番となっている。 本型以前に建造されたナチス・ドイツ海軍の1934型(Z1型)及び1934A型(Z5型)、1936型(Z17型)では第一次世界大戦において戦死したドイツ帝国海軍軍人[注釈 1]の名前が命名されていたが、本型からはZ(Zerstörerの頭文字)の艦種記号と2桁の艦番号のみが付与されるだけとなった。 1936A型:Z23型
1936A(Mob)型:Z31型
備考日本で簡単にプラモキットを入手できる(ピットロード、後にタミヤから発売)、事実上唯一のドイツ駆逐艦の級でもある。 脚注注釈
出典
ギャラリー
関連項目外部リンク
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