VAB装甲車(フランス語: Véhicule de l'Avant Blindé)は、フランス製の装輪式装甲兵員輸送車である。1976年に就役し、5,000両が生産されている。
後部の左右両側に装備されたウォータージェット推進装置による水上航行能力とNBC防護機能、優れた路外走行能力を併せ持っており、多数の派生型が存在する。
バリエーション
VABには大きく分けて4x4輪式と6x6輪式の派生型が存在し、フランス軍では主に4輪型が使用されている。
- 装甲兵員輸送車型
- 助手席上に7.62mm機関銃NF-1もしくは12.7mm重機関銃M2のターレット、またはプロテクター M151 RWSを搭載。
- 火力支援車型
- キャビン上部に20mm機関砲ターレットを搭載。
- 戦車駆逐車型
- キャビン上部にHOT対戦車ミサイル発射機を搭載。
- 戦場救急車型
- ジュネーヴ条約に基づき、武装は撤去されている。衛生兵の項目を参照。
- 指揮統制車型
- より強力な無線機を搭載。
- 迫撃砲運搬車
- 81mm迫撃砲を車内に搭載するか、120mm迫撃砲 RTを牽引し、弾薬と運用要員を運搬する。
- 装甲工兵車型
- 工兵用の作業用車両。6x6輪となっているのが特徴。
などが挙げられるほか、フランス国家憲兵隊に放水銃あるいはブルドーザーブレードを装備したVBRGと呼ばれる派生型が配備され、暴動鎮圧を主任務としている。
発展型のMk.2のほか、現在Mk.3が開発中である。
戦闘経験
VABは、フランス軍歩兵連隊はもちろん、砲兵連隊や騎兵連隊、工兵連隊などでも現在まで広く使用されており、湾岸戦争やユーゴスラビア内戦および、コートジボワール内戦、マリ北部紛争への介入任務などに投入された。
フランス以外ではモロッコが西サハラにおけるポリサリオ戦線との戦闘に、レバノンがレバノン内戦などの同国内の武力紛争に投入したほか、ウクライナでもロシアとの戦闘に投入されている。
採用国
登場作品
- 『ブラックホーク・ダウン』
- マレーシア陸軍PKO部隊の装甲兵員輸送車として6x6輪式が登場。ソマリア民兵に苦戦する第75レンジャー連隊とデルタフォースの救援に出動し、現場に到着すると負傷者などを限界まで収容して脱出する。
- 撮影には、ロケ地となったモロッコのモロッコ陸軍所属車両が使用されている。
脚注
出典
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 91. ISBN 978-1-032-50895-5
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 81. ISBN 978-1-032-50895-5
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. p. 349. ISBN 978-1-032-50895-5
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
VAB装甲車に関連する
メディアおよび
カテゴリがあります。