STARTTLS
STARTTLS(スタート・ティーエルエス)は、平文の通信プロトコルを暗号化通信に拡張する方法のひとつ。 特徴暗黙のTLS(またはSSL。以下単にTLS)では、暗号化通信のために専用のポートを割り当てなければならない。STARTTLSを利用すれば、専用のポート番号を割り当てずに、途中から平文の通信を暗号化通信に切り替えることができる。 TLSはアプリケーション中立である。例えば、TLS 1.2の仕様書である RFC 5246 では以下のように述べられている。
プロトコルのSTARTTLS対応を規定するRFC
このうち、POP3、IMAP、SMTPについては、RFC 8314 でSTARTTLSよりも暗黙のTLS接続の使用が推奨となっている。 SMTPにおけるSTARTTLSTLSを使う方法は、TLSと同レイヤで動作するその他のプロトコルと同様であり、複数のTLSライブラリ実装でサポートされている。 TLSのSMTP拡張 (RFC 3207) で、クライアント(以下ではCとする)とサーバ(以下ではSとする)がセキュアなセッションを開始するまでのやりとりは、例えば次のようになる[2]。 S: <TCPポート25番で接続要求を待つ> C: <接続をオープンする> S: 220 mail.example.org ESMTP service ready C: EHLO client.example.org S: 250-mail.example.org offers a warm hug of welcome S: 250 STARTTLS C: STARTTLS S: 220 Go ahead C: <TLSネゴシエーションを開始> C & S: <TLSのネゴシエーション> C & S: <ネゴシエーションの結果を確認> C: EHLO client.example.org[注釈 1] … 最後のEHLOコマンドはセキュアチャネルを通じて送られる。SMTP認証を利用する場合[注釈 2]は、セキュアチャネルが開かれた後であれば、サーバからの応答をAUTH PLAINで送信しても問題ない。 2011年10月現在、STARTTLSをメール送信のために提供しているフリーメールサービスにはGmail[3]とiCloud[4]がある。 限界両エンドが1対1でセッションを構築するTLSをメールの通信に利用しても、間欠的な通信や他のサーバによる中継を前提とした電子メール[5]では、ホップ間のセキュリティは確保することができるものの、
など、電子メールの完全性や機密性の担保、送信者認証などはいずれも実現することができない[10]。電子メールに対してこれらの保護を適用するには、S/MIMEなど、上位層で行うことが必要となる[11]。 脚注注釈
出典
参考文献Eric Rescorla、齋藤孝道、古森貞、鬼頭利之(訳)、2003、『マスタリングTCP/IP SSL/TLS編』、オーム社 ISBN 978-4274065422 関連項目
外部リンク
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