Novell Storage Service
Novell Storage Service (NSS) はノベル が 1998 年販売を開始したNetWare 5.0 (32bit) から搭載され、現在は Novell Open Enterprise Server (OES x86,OES x86-64) に移植された Linux のファイルシステムのひとつである。従来の NWFS (NetWare File System) に取って代わられた。Open Enterprise Server 2015 より拡張され NSS64 となった。 概要ファイルサーバ専用ファイルシステムであるため NSS32 では次のような特色がある(括弧内はOES2015 より実装されたNSS64 の数値)[1],[2]
NSSで作成されたボリュームには次のような付加属性がある[3]。
ファイルのアクセス制限NWFS (NetWare 3.x/4.x) と同様に SRWCEFMA のアクセス属性でアクセス制御(Novell ではトラスティ - trustee と呼ぶ)を行う[4]。
ユーザにトラスティのないディレクトリは不可視であるため、ユーザ自身がアクセスできないディレクトリは存在すらわからない。ユーザに関係のないディレクトリが見えないため、クライアント側では不要な共有フォルダの一覧を開くためのネットワークトラフィック、キャッシュ能力が低くても必要な共有ディレクトリを開くことができる。不要なフォルダが見えないため、クライアントからは必要なファイルにアクセスしやすい。 一般に読み出し専用のディレクトリにはトラスティ RF を与える。ユーザが自由に読み書きできるディレクトリであればトラスティは RWCEFM を与える。A権(アクセス制御権)を与える場合は注意を要する。管理者レベルではなくユーザレベルで権限を他人に委譲することができるからである。S 権は本来与えるべきではない。[5]管理者やバックアップ用のオペレータから管理不能の不可視のディレクトリを作成することができるからである。逆に言えば、管理者が信頼できない場合、ユーザ側が S 権を行使して管理者を排除することができる。
権利継承NWFS から継続して権利継承 (Inherited Rights) の考え方が適用されている。例えるなら先祖の権利が子孫に継承されるような仕組みである。上位のディレクトリに与えた権利は自動的に下位のディレクトリにも適用される。そのため、他のファイルシステムのように深いディレクトリや数の多いファイルの権限を書き換えるような操作は行われないため、アクセス権を与えるトラスティ操作、アクセス権を奪うリボーク(Revoke) 操作はファイルの多寡に限らず一瞬で完了する。 この権利継承をブロックする機能を IRF(Inherited Rights Filter) と言う。 プールとボリューム最大デバイスサイズとパーティションサイズは2TBであるが、異なるデバイス、パーティションを組み合わせて NSS プールと呼ばれるボリュームプールを作ることができる。このため、パーティションサイズの小さなデバイスを統合して巨大なボリュームを構成することができる。ボリュームサイズの縮小、拡大はオンラインで一瞬で完了できる。例えば、100Gのボリュームサイズを0バイトにオンラインで変更することもできるが、その場合はボリューム全体が容量不足で書き込み不可となる。逆に50Gバイトのボリュームを100Gバイトに変更することもできる。この作業をオンラインで実行できるため、クライアントOSから見ると一瞬でサイズが増えたように見える。 修復機能fsck, chkdisk, vrepair といった修復ツールで修復を行わずにボリュームを修復してマウントできる。そのため、障害後の再起動が非常に早い。 欠点ファイルサーバ専用ファイルシステムとしては優秀だがいくつかの欠点がある。
外部リンク脚注
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