NGC 80 はアンドロメダ座 にあるレンズ状銀河 。くじら座 にある棒渦巻銀河 のNGC 47 やアンドロメダ座のNGC 68 と相互作用を起こしている。周囲の銀河とNGC 80銀河群を形成しており、そのグループ内で最も明るい銀河である[ 4] 。
イギリス の天文学者ジョン・ハーシェル によって1828年 8月17日 に発見された[ 5] 。ニュージェネラルカタログ を編纂したドイツの天文学者ジョン・ドライヤー はこの天体について、「小さくかすかで丸く見えるが、中心部だけ明るい」と記録している。
2013年 5月18日 には、12等級 まで明るくなっていたC/2012 F6 レモン彗星と見かけ上0.21度まで接近した[ 6] 。
観測された物理量
NGC 80はNGC 80銀河群を代表する銀河であるため、複数の手法や観測装置によって幾たびも物理量の測定がなされた[ 7] 。
1999年 に、NGC 80を含む数万個の銀河についての情報をまとめたツヴィッキーカタログがアップデートされた際は、フレッド・ローレンス・ホイップル天文台 の1.5m望遠鏡に取り付けられたFASTと名付けられた分光器 を用いて、NGC 80の視線速度が5684±27km/sと求められた[ 8] 。
2001年 に2MASS で観測された銀河のうち4192個の銀河のKバンド での光度関数が求められた際には、NGC 80の赤方偏移が0.018993と求められた[ 9] 。
同年に世界中7か所の望遠鏡で30年以上にわたって得られたデータセットから銀河群の物理量を決定するSMACプロジェクトでは、NGC 80の赤方偏移を0.019117と求めた。[ 10] 。
2MASS を拡張させた2MASS XSCカタログに掲載された天体の中から距離を測定するために分光観測 を行う2MASS赤方偏移サーベイという観測が行われており、そのデータのうち銀河群について解析した結果が2007年 に発表された。それによるとNGC 80の視線速度は5698km/sで、距離は76.83Mpc だった[ 11] 。
2008年 に発表された、球状星団 から楕円銀河 までの異なるスケールの星の集団からなる天体についてデータを精査した論文では、NGC80までの距離をほかの測定結果より近い73.4Mpc と報告している[ 12] 。
2015年 には再び2MASS赤方偏移サーベイからの銀河群のデータについて解析がなされ、NGC 80の視線速度を5736km/sとしている[ 13] 。
同年に発表された、アメリカマクドナルド天文台 のホビー・エバリー望遠鏡 の分光器を用いて銀河の超大質量ブラックホール を探すサーベイでは、得られたスペクトルからNGC 80の視線速度を5646.3±14.2km/sと求めている[ 14] 。
2016年 にはスピッツァー宇宙望遠鏡 などのデータからCosmicflowsと呼ばれる18000近くの銀河のデータベースが作成・更新され、NGC 80の視線速度を5736km/s、距離を76.21Mpc と求めている[ 15] 。
2019年 に発表された、MASSIVEサーベイ[ 16] の結果の一部によると、銀河系 近傍の92の銀河について詳細な分光観測がなされ、その中にはNG C80も含まれていた。データセットによって、[Fe/H]=-0.30・[Fe/H]=-0.10という二通りの金属量の値が得られた。
NGC 80内での金属量の分布はかなり特異的であることが分かっており、銀河の核 に含まれる恒星の金属量はその周囲の22.5倍も多く、特にマグネシウム に富んでいる。さらに、恒星の年齢も核周囲のバルジ では100億年を超えているのに対し、核に含まれる恒星の年齢は70億年程度と分かっている[ 17] 。
NGC 80銀河群
NGC 80の周囲の銀河を含めたNGC 80銀河群が形成されており、そのうちのNGC 91とNGC 93は特異銀河 のArp 65としても記録されている。
2008年 に発表されたロシアのBTA-6 望遠鏡を用いてNGC 80銀河群中の7つの銀河の分光観測を行った結果、どの銀河もおおむねバルジの恒星の年齢は100億~150億年であったが、IC 1548だけは活発な星形成 がより最近に起こっており、バルジの年齢が30億年、核の年齢が15億年と分かった。またこの銀河の周囲に見られた薄いガスの構造から、IC 1548が渦巻銀河 からレンズ状銀河 に形を変えたと考えられている。こうした変化は近傍の他の銀河からの相互作用 によって起こり、その際にはスターバースト と呼ばれる活発な星形成が起こることが多い。また、この観測からは銀河群中のNGC 83 がサブグループを形成しており、NGC 80銀河群に取り込まれていることも分かった[ 18] 。
翌2009年 には同じ望遠鏡を用いて銀河群中の13の円盤銀河を観測した結果が発表され、銀河群中のUCM 0018+2216という銀河では現在も星形成が活発に行われていることが分かった。さらに、絶対等級 が-18等級 より明るい銀河では、2層の恒星構造が確認された[ 19] 。
ギャラリー
関連項目
脚注
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外部リンク